読書感想日記

最近読んだ本の感想

「蘭学者 川本幸民」 北 康利 著 PHP研究所

2010-02-26 00:26:19 | 歴史物
 類は友を呼ぶ、という。
 優秀な人物のことは、同様に優秀な人でなければ、その人物の素晴らしさや魅力、苦悩といったものは、理解できないのでしょう。
 日本中の極めて優秀な人材が、努力もしない者たちからの妬みやひがみをものともせず、高い志をもって切磋琢磨できる時代…
 それは、当時の我が国が近代国家への道を歩みはじめた時代である…
 そこには、藩のトップに立つ者が彼らを応援したこと、つまり世襲とはいえ、トップに立つ者が、人材を正しく評価できる優秀な者であったことが大きい。
 更には、貧乏な学生でも学問に集中できるよう、自らの私財を投じて、身を削り、正に命を削って後輩の育成に打ち込む教育者たちがいたから…
 そして、巣立った人材が、先人の志を受け継いで優秀な後輩を育てるという、国家が発展するための好循環が生まれていきます。
 それに比べて、自分の不勉強を完全に棚に上げて、国を代表する優秀な官僚を悪者にする現政権では、優秀な人材は官僚を選ぶことをためらい、我が国の力は、間違いなく衰えていくでしょう。
 そしてまた、当時のトップに立つ者や教育者たちの姿は、現総理たちとは、まさに正反対。
 総理たちよ、子どもの教育が大切なら、額に汗することなく手に入れた豊潤なお小遣いや献金を、子どもの教育に使えばいいじゃないか?
 更には、子どもたちの夢を育て、国威の高揚に有効な手段であるスポーツや技術の向上のためにも、私財を投じることはできないのか?
 それだけではなく、国家の宝であるはずの優秀な人材を妬み、蔑むような風潮にある現在の我が国は、本当におかしい。
 なぜ、一部のワイドショー等マスコミは、フィギュアスケートについて、魂をどこかの国へ売り渡した元選手を起用してまで、完璧な演技をした我が国の選手を貶め、不可思議な採点を得ている選手を褒めるような報道をするのか?
 そんなに、自分の国を貶めて楽しいか?
 しかしこれは、日本スケート連盟による、フィギュアスケートのスケーティング等の技術についての広報不足も大きな一因だろう。
 国民の多くが、一つ一つの技のどこを見て評価すべきか知らないために、多くの選手が理不尽な採点に苦しんでいる現実を知らず、一部マスコミらの言うがままに思いこんでしまうのは、まさにスケート連盟の「怠慢」ではないのか?
 スケート連盟は、これからも理不尽な採点があった場合、選手を庇うことなく抗議せずに、ただ黙って従うつもりなのか?
 全く、この国は、どうなっているんだ?
 国力を貶めるような政権交代ではなく、強い日本を取り戻せるような国家維新が起きないものか…
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「すごいぞ日本」 産経新聞「すごいぞ日本」取材班 産経新聞社

2010-02-19 23:36:42 | ドキュメンタリー
 日本人って、やっぱり凄い。
 真面目さ、高い能力、研究心、探求心…決して妥協を許さず、非常に優れた製品を作り上げる精神は、我が国古来より受け継がれてきた、職人気質でしょう。
 こんなに素晴らしい技術をもつ人々の姿は、とても素敵で、心強いものです。
 というより、日本政府は、どうしてもっと国を挙げて応援しないのだろう、と疑問に思ってなりません。
 外国、特にすぐ隣国では、官民が協力して産業、文化、スポーツ、果ては軍事までも、あらゆる方面での技術の革新や向上に努めて、日本を追い越しつつある一方で、技術力で生き残るしかない我が国は、基礎技術研究の遅効性や重要性といったことを全く理解しない者どもが偉そうにして、事業仕分けというショーを催し、国の大切な分野の予算をばっさり削るばかり…自分たちは、親や弱い企業から金を無心するくせに…
 …それはともかく、ここに取り上げられた人をはじめ、日々努力している日本中の技術者たちに「皆さんの作った製品を買います。どうぞこれからも頑張って下さい。」と応援したくなり、これからは国産品を買おうと思いました。
 そして、暗い時代が続く中、日本という国を、そして日本人という民族を、もっと誇りたい、と嬉しくなりました。
 あー、冬期オリンピックを見ていても、日本選手の能力は、海外の選手と比較しても全く劣っていないのだから、国がきちんとバックアップしてあげれば、もっと選手本来の力を発揮して、素晴らしい成績が出せるはずなのに…と残念でなりません。
 それでも、好成績を出している日本選手の姿を見て、やっぱりすごいぞ日本!
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「謎手本忠臣蔵」上・下 加藤 廣 著 新潮社

2010-02-13 23:21:51 | 歴史物
 屈辱の中で命を絶った殿の仇討ち…武士の本懐を見事に果たす物語は、武士の忠義を語る上で、もはや王道でしょう。
 中でも、浅野内匠頭を中心とした赤穂の武士たちの忠実でいさぎよい姿は、時代を超えて「義」に身を捧げることを美談として、現代に語り継がれています。
 しかし一方では、一部疑問を抱いてしまう話しではないでしょうか。
 果たして、大名ともあろう人物が、時や場所をわきまえずに、面目を潰されたと思慮分別を失い、自らの藩を潰してしまう行動をしてしまうものでしょうか…
 仇役となる相手側を悪役に仕立てることで、物語の流れを仕方のない成り行きであるように見せて、仇討ちという美談に仕上げていますが、実は、この物語の陰には、いろいろな思惑があり、真の物語はその陰に隠された…
 政治とは、諜報と謀略によって作られ、そして潰されるもの…いつの時代でも…
 瓦版という、報道媒体を通じて世論を操作しようとした当時の権力者たちの姿は、豊富な資金に物を言わせたのか、取り込みに成功した一部のマスコミによるワイドショーや週刊誌などを通じて、あまりにも都合のいい偏った報道をさせ、国民の目線をごまかそうとしている現在の与党の権力者たちの姿と重なった…
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「おとうと」 幸田 文 著 新潮社

2010-02-07 01:01:21 | 小説
 家族とは、最も理解し合い、助け合えるはずの関係のはず。
 しかし、親子の間では、ねじれたものになってしまうことがある。
 内面では、我を忘れんばかりに心配したり、あるいは当人と一緒に喜んでいるのに、態度や言葉では、なぜか全く逆の反応をしてしまう…そんなことは、ありませんか。
 そして、語らいや触れ合いを求められているときに、つい面倒がって避けてしまったり、優しさを求められているときに、逆に傷つけてしまう…
 親子なのに、どうして、素直になれないのでしょう。
 躾なのか、叱咤激励しているつもりなのだろうか…
 一方では、妙に反発したくなるものなのでしょうか…
 そして、つい本当の気持ちを伝え損ねてしまい、いつまでも誤解し続けたり、すれ違ってしまい、後悔ばかりが重なってしまうのです。
 さあ、何十億という人の中から、せっかく縁があって家族となったのですから、飾らず、素直に自分の気持ちを表現してみませんか。
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「魚神」 千早 茜 著 集英社

2010-02-06 22:16:52 | 小説
 水の世界でしか生きられない主人公たち。
 つまり、その世界がどれほど汚されても、外の世界へは出られない。
 だからこそ彼らは、狭い世界の中で、互いを傷つけ、そして求め合う…
 遥か彼方には、素晴らしい憧れの世界があるという…
 しかし、彼らは、決してそこにはたどり着くことはできない。
 万一、たどり着いたとしても、彼らが生きて抜いていくことはできないのだ。
 そこは、彼らとは違う生き物たちの世界。
 そう、彼らこそ、水の世界を汚す張本人であり、それでも飽きたらずに主人公たちの身体を、そして生命を弄ぶ、まるで魔物のような生き物たち。
 …これは、主人公たちの抱く夢の世界なのだろうか…
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