朝日新聞にも出ていたし、日刊スポーツにも出ていたワールドカップ決勝戦に関するオシム評論。
さすが、個性的な表現満載で楽しめました。
部分的にダイジェストで引用させてもらいます。
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美しく華麗なサッカーではなかったが、見応えのある決勝戦だった。
スペインは今まで通りのパスサッカーをやろうとした。
これに対しオランダは「ゲームを壊す」ことで主導権を握ろうとした。
あえて戦術的ファウルを繰り返し、ボール保持者を物理的につぶすことで、スペインのリズムを寸断した。
美しくもないし、オランダらしくもないが現実的なアプローチだ。
スペインの清らかな泉をオランダがかき混ぜて泥水にした。
甘いデザートにワサビを大量にかけようとした。
その構想は、90分は機能したが、120分は続かなかった。
乱戦に持ち込む手法は美しくないし、本来のオランダらしくない戦術だが、現実的な選択肢のひとつ。
彼らの見事な点は、多くの戦術的選択肢を持っており、相手によってうまく選んで実行できる能力の高さだ。
スペインは大会前のイメージと比べると物足りない。
優勝の一番の要因は、守備が安定していたことだろう。ピケとプジョルのバルサコンビが磐石だった。
3カ国を例に挙げて日本が積極的に学ぶべきポイント。
スペイン
選手が喜んで生き生きと取り組める練習メニュー
試合に必要な技術や戦術眼を養い、スピードや持久力も向上するようなメニュー。
ドイツ
10年以上かけて、系統的、組織的に育成に力を入れる。
実績のない若手を抜擢し、先発させるリスクを冒す勇気。
それをドイツ国内メディアがサポートしたこと。(ここが日本と絶対的に違うはず。※注=nanapon)
チリ
ピエルサ監督に数年計画でチームを任せ、よく走り、組織的で連動的なスタイルを作り上げた。アグレッシブなプレーと走力で相手を圧倒するような数的優位のサッカーを繰り広げた。日本人よりも小柄だけど、運動量と規律、勝手に手を抜かない粘り強いメンタリティを持つ。
4年後のブラジル大会の対策より、12年後のW杯を目指し、現在10~15歳の年代の発掘と育成を重視すべきだ。とくに今の日本代表に不足している、大柄でスピードのある選手は、意識して育てなければ、簡単に見つかるものではない。
A代表と各年代別代表が連動できるように、しかるべき人々に責任と権限を持たせ、長期的な計画で進歩することを目指したいものだ。
その際、もっとも大切なのは忍耐力。目先の勝敗にこだわるなと申し上げたい。毎年のように監督や方針を変えても進歩するとは限らない。
4年後に向けて「また苦難や試練が待っている」と考える必要はない。サッカーは本来、楽しみや喜びのためにあるもの。
アイディアや創造性を生かして、日本らしいサッカーという新しい作品、作風作りに挑戦する心構えがあれば、苦労も喜びに変わるだろう。そういうポジティブなメンタリティで進んでいって欲しい。
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オシムワールド全開ですね。
決勝戦の論評も面白いけど、今後の日本サッカーをどのように育成していくかの意見がとっても頷けます。
今の日本は、政治もビジネスも何もかも、短期決戦。
そんな先のことよりも、明日の飯。
先が見えないからこそ、長期的なビジョンをしっかり組み立てて、そこに向かって力を合わせて進んでいかなければどうにもならないはず。
長期的・多面的・根本的な視点が何よりも大切なのに、たぶん短絡的に4年後にベスト4以上を目指すということで戦略も監督も決まっていくのであろう。
そして、馬鹿なメディアが、持ち上げたり、蹴落としたりする。
他国の成功事例を見るにつけ、日本はなかなか地に足が着いた進化は望みにくいのかなあ、と、弱気な気持ちになってしまう今日この頃です。
さすが、個性的な表現満載で楽しめました。
部分的にダイジェストで引用させてもらいます。
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美しく華麗なサッカーではなかったが、見応えのある決勝戦だった。
スペインは今まで通りのパスサッカーをやろうとした。
これに対しオランダは「ゲームを壊す」ことで主導権を握ろうとした。
あえて戦術的ファウルを繰り返し、ボール保持者を物理的につぶすことで、スペインのリズムを寸断した。
美しくもないし、オランダらしくもないが現実的なアプローチだ。
スペインの清らかな泉をオランダがかき混ぜて泥水にした。
甘いデザートにワサビを大量にかけようとした。
その構想は、90分は機能したが、120分は続かなかった。
乱戦に持ち込む手法は美しくないし、本来のオランダらしくない戦術だが、現実的な選択肢のひとつ。
彼らの見事な点は、多くの戦術的選択肢を持っており、相手によってうまく選んで実行できる能力の高さだ。
スペインは大会前のイメージと比べると物足りない。
優勝の一番の要因は、守備が安定していたことだろう。ピケとプジョルのバルサコンビが磐石だった。
3カ国を例に挙げて日本が積極的に学ぶべきポイント。
スペイン
選手が喜んで生き生きと取り組める練習メニュー
試合に必要な技術や戦術眼を養い、スピードや持久力も向上するようなメニュー。
ドイツ
10年以上かけて、系統的、組織的に育成に力を入れる。
実績のない若手を抜擢し、先発させるリスクを冒す勇気。
それをドイツ国内メディアがサポートしたこと。(ここが日本と絶対的に違うはず。※注=nanapon)
チリ
ピエルサ監督に数年計画でチームを任せ、よく走り、組織的で連動的なスタイルを作り上げた。アグレッシブなプレーと走力で相手を圧倒するような数的優位のサッカーを繰り広げた。日本人よりも小柄だけど、運動量と規律、勝手に手を抜かない粘り強いメンタリティを持つ。
4年後のブラジル大会の対策より、12年後のW杯を目指し、現在10~15歳の年代の発掘と育成を重視すべきだ。とくに今の日本代表に不足している、大柄でスピードのある選手は、意識して育てなければ、簡単に見つかるものではない。
A代表と各年代別代表が連動できるように、しかるべき人々に責任と権限を持たせ、長期的な計画で進歩することを目指したいものだ。
その際、もっとも大切なのは忍耐力。目先の勝敗にこだわるなと申し上げたい。毎年のように監督や方針を変えても進歩するとは限らない。
4年後に向けて「また苦難や試練が待っている」と考える必要はない。サッカーは本来、楽しみや喜びのためにあるもの。
アイディアや創造性を生かして、日本らしいサッカーという新しい作品、作風作りに挑戦する心構えがあれば、苦労も喜びに変わるだろう。そういうポジティブなメンタリティで進んでいって欲しい。
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オシムワールド全開ですね。
決勝戦の論評も面白いけど、今後の日本サッカーをどのように育成していくかの意見がとっても頷けます。
今の日本は、政治もビジネスも何もかも、短期決戦。
そんな先のことよりも、明日の飯。
先が見えないからこそ、長期的なビジョンをしっかり組み立てて、そこに向かって力を合わせて進んでいかなければどうにもならないはず。
長期的・多面的・根本的な視点が何よりも大切なのに、たぶん短絡的に4年後にベスト4以上を目指すということで戦略も監督も決まっていくのであろう。
そして、馬鹿なメディアが、持ち上げたり、蹴落としたりする。
他国の成功事例を見るにつけ、日本はなかなか地に足が着いた進化は望みにくいのかなあ、と、弱気な気持ちになってしまう今日この頃です。
先に書かれてしまったか…まぁ、まごまごしている私が悪いので、全然OKですが(笑)。
オシムの本、買っています。図書館で借りることができるのは2週間だし、その間に読めるとは限らない。
だけど、オシムの本は、是非読みたいと思って、衝動買いです。でも、きっと良い買い物をしたと思っています。
オシムのコメントは、私にはアカデミックに聞こえます。だから好きなのですが。
岡田監督は、選手も言っていたけれど「学校の先生」タイプ。
だから、明らかに違うんですが、その違いが面白い。
示唆にも富んでいるので、オシムの世界を想像するだけでも、面白いし、勉強になります。
>そして、馬鹿なメディアが、持ち上げたり、蹴落としたりする。
やっぱり、結果に一喜一憂するのではなく、どうして勝てないのか、勝てなくても、試合で何を披露すれば国民に響くのか…そのことを良く掘り下げて考えてアクションに移すことが、大事ですよね。
表面だけをペロッと舐めて、それが「本質だ!」みたいに騒ぐのは、金輪際止めていただきたいです、聞いていますか?…メディアの皆さん。nanaponさんの仰るとおりですよ。
これ、多分に自戒を込めているのですが。
オシムの言葉:
サッカーは本来、楽しみや喜びのためにあるもの。
そうですね、その言葉をいただいて:
仕事は本来、楽しみや喜びのためにあるもの。
長期的視点をもちつつ、常に決勝トーナメント進出と
優勝を狙いたいものです、はい(汗)。
> サッカーは本来、楽しみや喜びのためにあるもの
「サッカーで勝つための試行錯誤」が楽しみや喜びにつながるのか、「そうだ。大事なのは勝敗じゃなく、楽しいサッカーをすることだ」と理解するのか。
個人的には、断然前者です。勝敗は二の次で、攻撃さえしてればよし、とする「内容派」のサッカー論には辟易します。
少なくともわたしにとっては、勝利への意思と必死のプレーこそが胸をうちます。
長期的な視点と言っていくらスパンを長くしようが、最終的にはある時点での「勝利」を目的にするものです。「目先の勝利にとらわれない」ことに満足するのではなく、12年後なら「12年後にいかに勝つか」から逆算したいものです。
ちなみに、Danchoさんの
> 勝てなくても、試合で何を披露すれば国民に響くのか
というのは妙な話だと思っています。
サッカー選手は徹頭徹尾、試合に勝つために努力すればよいのであって、どう響くかは見た人間の責任でしょう。それ以上のものを、チームや選手に背負わせるのは筋が違う、としか思えません。
Jリーグなら興業の側面が強いのでまだ理解できなくもありませんが。
>オシムのコメントは、私にはアカデミックに聞こえます。だから好きなのですが。
アカデミックと同時にクリエイディブなコメントが多いですね。
>岡田監督は、選手も言っていたけれど「学校の先生」タイプ。
今回は、選手もいろいろ見たけど、監督や、審判の一挙手一投足も面白かったです。
>表面だけをペロッと舐めて、それが「本質だ!」みたいに騒ぐのは、金輪際止めていただきたいです、聞いていますか?…メディアの皆さん。nanaponさんの仰るとおりですよ。
スポーツに限らず、日本のメディアはもっと視聴率や部数におもねらないで、自信を持って独自の主張を展開していって欲しいです。
社会の木鐸ですよ。(もう誰もそんなこと言ってないか。)
☆川島さん、こんにちは。
>そうですね、その言葉をいただいて:
仕事は本来、楽しみや喜びのためにあるもの。
ほんと本来そうなんですよね。
ついつい忘れがちになります。
>長期的視点をもちつつ、常に決勝トーナメント進出と
優勝を狙いたいものです、はい(汗)。
はい、川島さんは、デルボスケ監督とイニエスタの一人二役で。(笑)
☆オミクロンさん、こんにちは。
> サッカーは本来、楽しみや喜びのためにあるもの
>個人的には、断然前者です。勝敗は二の次で、攻撃さえしてればよし、とする「内容派」のサッカー論には辟易します。
少なくともわたしにとっては、勝利への意思と必死のプレーこそが胸をうちます。
もちろん勝負だし、プロなのだから勝つことを前提にしないといけないと思います。
>長期的な視点と言っていくらスパンを長くしようが、最終的にはある時点での「勝利」を目的にするものです。「目先の勝利にとらわれない」ことに満足するのではなく、12年後なら「12年後にいかに勝つか」から逆算したいものです。
そうですね。
しかし今はついつ目先の短期的な視点が横行しています。
12年くらいの構想を立てて、逆算してやっていったらいいとつくづく思いますよ。
>サッカー選手は徹頭徹尾、試合に勝つために努力すればよいのであって、どう響くかは見た人間の責任でしょう。それ以上のものを、チームや選手に背負わせるのは筋が違う、としか思えません。
これはメディアの人たちに向けて言ってるので、選手たちにではないと思いますよ。