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成長していく人

2011年08月18日 | 大学でのひとこま
私のよく知っている学生にBくんという人がいます。
B君は1年生の時のゼミを私が担当したので、最初のころからよく知っている学生の一人です。1年生のころ、彼の授業態度が悪いので(このクラスはB君だけじゃなくて、とにかくうるさいクラスでした。)、まったく困ったもんだと思ってました。一言でいうと態度が大きい。ふまじめ。いつもふざけてる感じで、ゼミ中も私語が多く、ほんとにやれやれと思ってました。そのBくんに個人面談をした際に(うちの学科は非常にアットホームなので個人面談なんかよくあるんです)、僕はねえ、将来は外国で仕事できたらいいなあと思ってんすよね~ってまあありがちなことを不真面目に言うので、「はあ、なるほどね」とかるーく聞いておりました。

それから2年くらい経って、震災がきました。
3月の末だったか、わたしのこのブログもよく読んでくださっているMさんから、とある外国人ジャーナリストの紹介がありました。被災地を取材したいので被災者を紹介してほしいというお話でした。わたしはすぐBくんのことが頭に思い浮かびました。Bくんは気仙沼・大島でわたしが被災地支援をするきっかけになった、大島出身の学生です。わたしはそのジャーナリストを大島まで連れて行きました。

Bくんが、1年生の時に外国で仕事したいと言ったその言葉をわたしは忘れていませんでした。きっとよい機会になると思いました。しかし震災後間もない大島、彼の家は大変な被害を受けていましたから、取材を断られてもしょうがないと半分あきらめながら連絡をとりましたが、B君は大変喜んでインタビューを受けてくれました。

このことをきっかけに、B君と将来の話を真剣にするようになりました。
Bくんはもう不真面目な態度は一切とらなくなっていました。大島でわたしがであった彼のご家族は、本当に素晴らしいご家族で、わたしは訪問して本当に良かったと思いました。家族の方に会って初めて、よくわかったことがいろいろありました。

Bくんはこの夏一か月ほど海外でインターンシップをします。私は彼に留学も勧めました。今、被災地支援で奨学金の公募がどんどん来ているのです。私は奨学金の紹介をしただけですが、Bくんは自分でよく検討し、海外の大学院進学を目標に具体的に活動を始めました。1年生の時からTOEICも強く勧めてきましたが、この間750点を超えたという報告がありました(わたしは海外留学に行くなら日本で最低750は取って行けと、この子たちには常々言ってきました。)。

海外で仕事したいんっすよね~と軽く言ってたBくんは、本気で努力を続けていました。
今回のことでわたしも多くのことを学びました。英語習得の必要性をとき、生き方を考えなおすきっかけになる本を紹介し、さまざまなアドバイスをしても結局やるかやらないかは本人次第。でも本気になれば、若い人の成長には、目を見張るものがあります。態度が悪くてやれやれと思った学生はほかにも大勢いて、だけどどの子も一人ひとり向き合えばまた全然違う姿を見せてくれます。毎年思うことですが、18歳から22歳の、子どもから大人になっていく成長の時に、ほんとにわずかでも何かの役に立つことができたと思えることは本当に私の喜びです。

わたしはBくんの学年の担任でしたが、実はB君以外にも素晴らしい成長を遂げつつある子が何人もいます。どの子のことも本当に楽しみです。そしてこの子たちの成長に、今回の震災は大きな影響があったことを私は強く感じます。東北は大変な被害を受けましたが、この子たちが必ず復興の支えになっていくと信じています。




コメント (4)
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