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2017年度公開企画決定!!
お隣人さんなしで大丈夫?パート8
「我が事、丸ごと」何のこと?
厚労省や自治体が提唱する「我が事、丸ごと」とはどういうことなのでしょう。
市民・住民として”よりよい暮らし方”を目指し、話し合いませんか?
と き:2018年2月25日(日)13:00~16:40
ところ:ひと・まち交流館京都 3F 第4・5会議室
参加費:500円
【内 容】
✺永田 祐さん(同志社大学准教授)による経過・現状報告
「介護予防・日常生活支援総合事業」「地域包括ケアシステム強化法」など
✺身近な取り組み例発表
・ 総合事業利用者さん:当事者になって思うこと
・ 片山 博昭さん :北区紫竹学区のまちづくり
・ 谷口 早月さん :「おいでやす食堂」の取り組み
・ 南條 千人さん :介護予防とリハビリテーションの役割
2017年4月からスタートした、京都市等における「介護予防・日常生活支援総合事業」について一年間を振り返り、これからに向けての課題について率直な意見交換をしましょう。
また、2017年6月2日に公布された「地域包括ケアシステム強化法(介護保険法、社会福祉法、児童福祉法、障害者総合支援法、医療法の一括改定)に関連して政府が盛んに喧伝している「我が事、丸ごと」や「地域共生社会」とは一体何を意味するのでしょうか。
抽象的な議論ではなく、具体的な事例に基づいて話し合いましょう。
2018年2月5日(月)までにお申し込みください。☎・FAX:075-581-9956 / メールmycare_hitomachi@yahoo.co.jp
会の終了後、懇親会を行います。多数の皆様のご参加をお待ちしております。
ダニエルズ ルーチェ(京都駅前 京都タワービル北新館4F、参加費5,000円)
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利用者は「マイケア」を望み、施設は人手不足に悩む
奈倉 道隆会員
久しく、医療や介護の教育に携わり、今は介護福祉施設などでボランティア活動しています。よわい83となり、介護にいっそう親しみを感じるようになりました。
自律的生活のための介護をとり戻そう
教員のころ「年をとったら、介護に依存せず、『自律的に生きる』ために、自分の意思で介護を利用しょう」と講義していました。『自律』というのは、自立(自分の力だけで生きること)と違い、「自分でできないことは人に頼みますが、お任せするのでなく、自分の意思で頼む」ということです。こんな話を介護施設の利用者さんにしますと、「なかなかそうはいきません」とか、「そんなこと言ったら施設にいづらくなります」ともいわれます。
ホームにいて賢く生きるには、自分の意思を抑えて、職員の意向をくみ取って行動するのがよいそうです。職員は施設のケアプランに従って介護することになっていますから、プランにないことを希望されても困るでしょう。今後の介護は、「本人や家族の意思を十分にくみ取って施設のケアプランをたてること」、「生活の変化に応じて柔軟に変えられるプランにしていくこと」が望まれます。マイケアプラン研究会の課題だと思います。
利用者を支配する心が虐待を招く
職員に随順し「可愛いがられるお年寄り」になると気持ちがいいと語る利用者。甘えてくれると介護しやすいと語る介護者。人手不足の時も思い通りに利用者が支配できれば、介護がしやすくなると語る職員。数は多くないと思いますが、そういう人々がおられます。
怖いのは、職員が「自分が支配しているつもりの利用者が職員の意向に反する行動をしたとき」です。職員は腹をたて、暴力をふるいかねません。「利用者を自分の所有物」と思いこんでいるときは、「何をしてもいい」とか「自分の意志に従わせよう」という気分になり、力ずくの行動をしたくなるからです。
人権意識が足りないことが根本ですが、施設の現状は人手不足です。しなければならないことが山のようにあって時間に追われ、しかも絶対に事故を起こしてはいけないとか、法令を順守せよとか、職員の義務は多大です。「利用者本位のケア」をすべきことは分かっていても十分できません。高齢の私は、明日にも入所するかもしれません。利用者の私は、マイケアプラン研究会を思い出し「だまってたら あかん」と叫びたくなるでしょう。でも、いま、そうしたらどうなるでしょう。
離職の理由を知って職務体制の改善を図ろう
職員の中には、「利用者本位の介護」でなければ…、と分かっておられる方が大勢おられます。そして、それができない現実に悩んでいる人も少なくありません。たとえ自分は努力してやれるとしても、チームで進める介護は、仲間との協働が大切です。やればできるのにできないという現実は苦しく、未来への希望が奪われます。これが、苦しんで離職する原因の一つですが、本当の理由は語られないまま去っていかれますので、管理者は知らないままで終わるでしょう。
人手不足の解消はどうしても必要ですが、募集しても、この現実を知る人は敬遠するでしょう。理事や幹部職員がこの現実に取り込んで問題を改善しようと懸命に努力すれば、すぐには解決しなくても。離職を留める力にはなるでしょう。そのためには、施設長らが,現場で真剣に取り組もうとする第一線の職員と、膝を突き合わせて話し合う努力が必要です。その雰囲気が職員の意識を変える力になれば、進化の道は開かれると思います。
打開して施設を進化させる道を切り開こう
生き物も、進化しないものは滅びます。施設も進化しないと苦境を脱却できません。その突破口を考えるのも研究会の役割です。教員時代の晩年に、デンマークへ短期留学し、色々なヒントを得てきました、それを紹介するのでなく、日本の現状を踏まえた研究会などで、討論の材料にしたいと思っています。マイケア(私のための介護)ができる社会をめざす研究が始まることを望んでいます。(本研究会会員・介護福祉士・老年科医師)
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よりよい介護をつくる市民ネットワーク主催
第2回シンポジウム(だまってたらあかん!)に関する報告
2017.11.26.(日)の午後、ひとまち交流館・京都において約100人の参加者を迎えて第2回のシンポが開催された。
先ず、佛教大学名誉教授で京都市高齢者施策推進協議会会長でもある浜岡 政好さんが「スタートした総合事業の問題点と課題」というタイトルで基調講演を行った。内容は、総合事業の誕生の経過、地域支援事業と総合事業の相違、新・総合事業の新しさは何か(新・総合事業の目的・考え方、京都市の新・総合事業の構成、新・総合事業の新しさ)、新・総合事業の何が問題とされたのか(京都市の総合事業の問題点と当面の課題、この半年間の新総合事業の推移からみえる課題は何か?)、そして最後に高齢者施策の介護保険への収斂、「介護の社会化」から「介護予防」へ、「介護予防」の自助・互助化と総合事業、こうした介護保険の政策方向をどう反転させるか(だまってたら あかん)、と締めくくった。
続いてマイケアプラン研究会(小國 英夫)、京都市日ノ岡地域包括支援センター(堀田 晃平さん)、銭形企画訪問介護事業所(高橋 弘江さん)、京都ヘルパー連絡会(神田 知加子さん)の4人から発表が行われた。
小國は「利用者アンケート」の概要を説明。
堀田さんは訪問介護が介護型、生活支援型、地域支え合い型に分かれた結果、利用者のニーズとサービスの乖離が起こっていることを指摘された。また、要支援者へのサービス提供から撤退する事業所が広がっているため、ヘルパー難民が増えている実態が報告された。
高橋さんは総合事業の厳しい現実の中で事業所が苦しんでいる状況、それに対して行政からは「応諾義務違反、努力義務違反」で指導される現実、そして今のままでは生活支援型ホームヘルプは消滅するのでは、そして専門職が行う生活支援はこれからどうなるのかと苦しい現実を報告した。
神田さんは生活支援型で訪問時間が短縮されたこと、包括支援センターがどのサービスが適切なのか決めかねている事例もあること、共同作業では相当な混乱があること(寸劇を交えて)、そして何よりも生活支援に関する考え方が「誰でもできる」と軽視されていること、介護保険からの「卒業」が求められていること等々について報告した。
フロアからは沢山の質問紙が出され、活発な意見交換が行われた。また奈倉 道隆さん(マイケア会員、老年科医で介護福祉士)からもフロアから介護の本質と重要性についての発言もあり、会場から大きな拍手があった。
そして最後に総合司会を担当した中川 慶子さん(きょうと介護保険にかかわる会)が次のようなまとめを行い、このシンポの内容を近く京都市に提言することを提案し参加者全員の賛同を得た。
【まとめ】
1.保険から給付へという総合事業への移行は順調よくいっているとは考えられない。(8月19日の京都新聞、共同通信の全国調査では45%の自治体が事業の運営に苦慮している。京都市は順調よくいっていると回答。)
(1)介護型、生活支援型をなくし従来のように一本化すること、支え合い型は8時間という短時間研修の内容を改善し現実に機能するように取り組むこと。
〇支えあい型では、単なる家事代行と位置づけ、ヘルパーの専門性を無視した制度となっている。スーパーのレジ係よりも安い賃金設定には納得いかないものがある。
(2)訪問介護事業所は特に小さな法人・事業所では大幅な報酬のダウンにより経営が成り立たなくなっている。
(3)ヘルパー不足は、相当以前から問題となっているが、今回の改正でさらにヘルパーの不足は深刻化している。ますます応募者がない。担い手の人材育成に力を入れること。
2.支援の必要な利用者の生活が成り立たない実態がある。(短時間、細切れの支援)
3.地域包括支援センター間で新制度への認識・理解不足などがあり、ケースの対応に格差が生じている。
4.京都市の指導性については疑問が生じている。(事業所に応諾義務違反、努力義務違反が課題と指導) 事業所は京都市に苦情が言えない状況にある。
5.現場との乖離に目を向けてください。
6.地域づくり問題
◎住民主体、市民レベルでの合意形成が今後ますます必要。
【マイケアプラン研究会が実施した利用者アンケート概要】
今回の調査では正直、回答者を探すことが難しかったこと。また、インタビュアーが質問紙を使ってヒアリングをする予定だったが、結果的には事業所の方々等にお世話になったものが多く、調査の意図をインタビュアーに十分伝えきれずに実施されたこと等々の問題があり、残念ながら量的にも質的にも非常に不十分な調査となった。
【結果概要】
回答者総数=55名(10月末現在)
基本属性①ご本人による回答85% ②女性74% ③80歳以上73% ④一人暮らし47%
問1 地域包括支援センターか居宅介護支援センターから説明を受けていたのは64%、誰からも説明を受けていないケースが9%。
問2 以前から介護予防サービスを利用していた人は80%。
問3 調査時点までに要支援認定を受けていた人は75%。
問4 ヘルプサービスの利用者割合は、介護型利用者25%、生活支援型40%、支え合い型2%。
問5 総合事業実施以降の変化については、利用時間64%、料金38%、サービスの質78%、暮らしの質75%、心身の状態73%が「変化なし」としている。しかし、利用時間減少20%、料金値上がり9%、サービスの質低下2%、暮らしの質低下5%、心身の状態悪化11%という指摘もあった。
問6 ケアプランの作成は地域包括が84%。わからないは9%。
問7 ケアプランへの要望等が反映しているとするのは84%、されていないという回答も9%あった。
問8 ケアプランの自己作成(マイケアプラン)に関心あり25%、なしは64%。
問9 サービス担当者会議に参加は73%、不参加9%、参加を求められたことがないとする11%。
問10 担当者会議では67%が発言していると回答。
問11 基本チェックリストは42%の人が利用したと回答していたが、そのうち48%が自分の状態や意見を反映していないと答えていた。
問12 自由記述部分には貴重なご意見もたくさんあった。
● 制度が難しくてよくわかりません。
● 良くなる見込みがない(介護予防できない)という理由でサービスを中止しないでほしい。
● ケアマネの研修が足りない。こちら(利用者)の方が良く知っている。
● 総合事業の説明が極めて不十分。
● 訪問介護の時間が短縮され、サービスの手抜きが目立つ。そのため生協などのサービスを利用している。
● 保険料が増えて困っている。
● 法改正が進んで行くと今後は介護保険が受けられるか否か不安。
● 言語療法士のいるリハビリサービスを増やしてほしい。
● 利用者のその時々の状況に合わせて対応してほしい。
●「自立支援」という言葉に惑わされます。共同作業などの事が良く分かりません。ヘルパーさんは制度の方ばかりにサービス内容を合わせようとしているようです。立てば元気に見えますがしゃがむと激痛がはしるのですが。
● 国は社会保障の責任を放棄しています。
● ケアマネが自分で勝手に決めて押し付けてくるので困ってます。
● 来年度以降のサービスがどうなるか大変心配。
● 要支援1だがデイサービスを週2回利用したい。
● 45分では不十分。しかし週2回にはしたくない。
● 介護保険はいろいろ制約があり使いにくい。
(以上、文責 小國 英夫)
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会員より ふたことみこと
たそがれ通信 55
〈 される側 〉から 受けとめる
藍 植男 会員
4~5号前に関西の介護施設での「寝たきりにさせない10の基本」を紹介しました。今回は、13年前に創設された 関東の介護施設で各職種の職員が身を挺して調査した結果を知り、前者を思い返しながら紹介します。
今年のはやり言葉には「忖度」など新顔がありますが、福祉・介護関連では相変わらず「思いやり」「総合」「自立」などがよく出てきました。皆さんの中にも(現在/あるいは過去に、在宅で/あるいは施設で)介護保険を利用して(あるいは制度発足前に)高齢者と暮らすという経験をもっている方は多いと思います。
その際に、「介護を受ける側の身になって」との言葉をよく聞かれたことと思います。 これを、「最初に考慮されないといけないのは介護を受ける当人の利益である」「介護する家族の都合を先に考えてケアプランを決めてはいけない」というように、頭で理解することは簡単なことです。しかし、それが「当人との生活の中でどういうことなのか?」と問われ、「日常生活の具体的な場面で、これまでとどう違うのか示してほしい」と求められると、その答・具体的な対応の仕方は簡単なことでないことに気づきます。
私自身も、これまで指導者の名前を挙げて〈利用者ファースト〉の考えを示してきたつもりでいました。しかし、どうも〈頭での理解〉に留まっていたようです。また、専門家・専従者も器具・用品を介してのケアについてはかなり踏み込んで論じてきて、その結果として機械浴といった〈非人道的な拷問〉は少なくなったものと思います。しかし、業界でも模範となる_先進的な組織・施設において これで初めて示されたことから分かるように、「こんなことが、いままで見過ごされていたのか」「《介護の社会化》などと言いながら本人の利益をどんな目で見ていたのか」と、驚きを禁じ得ません。さらに、介護保険制度の改悪(国の責任逃れ・事業者への締め付け・住民への誅求強化)の進行の中では、憤りと今後への不安が高まってき、せっかくの良心的な介護実践が効率を旨とする劣等処遇政策によってつぶされるのではないかと心配が募ります。過労・気遣い等の 労苦が報われない福祉労働から逃げ出す人が増えない仕組みを作らないことには⋯と思いながら、以下を紹介し、検討していきます。
基になった資料は『誰も気づかなかった 介護の真実 疑似体験から聞こえてきた心の声』(介護老人保健施設プロスペクトガーデンひたちなか編 講談社2012)です。この施設は、日本の大学病院から米国有名大学に留学した医師が、そこで知った先進的介護施設をモデルに「医療を受けた人が、社会の中で、在宅で_生活できるように訓練するシステムがあまりない」日本 に気づき、郷里の老人を老親のつもりで介護しようと創設。各種職員は(事務も調理も)介護を行ううえでは平等という点は、あすなら苑と同様。また、たとえば食事には週1回はサシミも出るとのことです。
病院付設でないこの施設の長(医療法人理事長兼任の医師)は、実務を副施設長(ケアマネジャーCM)に任せ、思い切った企画等にゴーサインを出す役割を果たす人のようです。本は、副施設長の女性がまとめました。
急いで本題に入ります。「あすなら苑」(以下Aならと略記。)の〈あなたの大切な人を寝たきりにさせないための 10の基本ケア〉の ①は「いつもすがすがしい空気の中で過ごせる」でした。「プロスペクトガーデンひたちなか」(以下Pひたちなかと略記。)では、3階建ての2階に中庭のような屋上があり夏にはビアガーデンが設けられ、2か月に1回は居酒屋も開かれ、焼酎やみんなで作った各種の果実酒なども楽しめます。喫茶コーナーは日頃利用できます。また、屋外には、地形を利用 樹木の森林浴効果を生かし、8種の舗装を組み合わせたリハビリ用通路を設けています。
Pひたちなかの画期的な疑似体験〈職員自らの人体実験〉とは、「今までなぜだれもやらなかったのだろう」と思われるようなことなのです。体験を提起したCM=40歳代の副施設長は、導入の経緯について 次のように記しています。〈介護の現場⋯の大変さという側面にはスポットの当たることもあるのだが、私たちは被介護者の側・実際に介護される高齢者の方々の気持について、真剣に考えず、理解しようとしてこなかったのではないだろうか?⋯⋯ないがしろにされてきた面が数多くあるのではないかと気づきはじめた。」「そして、本当の意味で利用者の立場に立って介護というものを考えてみようと「利用者疑似体験プログラム〉をやることになった。〉
疑似体験では、体験する職員が CM等の作成した一利用者の状況を事前によく把握して、その利用者(入居者)になりきって勤務時間を過ごします。
(利用者は365日その処遇を受けているのだから 7時間低度では短すぎるのではないか〉と思われるかもしれませんが、体験記を見ますと問題点・課題・提案等がたくさん出され、効率の点から見れば十分な成果があったと認められます。申し遅れましたが、設定は、13行ほどで示されていて、〈 82歳・要介護度4・ほぼ寝たきり・右半身まひ・失語症〉です。( 性別は、その職員にあわせます。)はじめは「希望者だけ」の予定でしたが、しぶしぶ参加した人からも感謝の言葉が出、それを知った施設長も「有効だから全員がやるように」と指示、職員は職務として参加しました。
この際、共通の設定として次のような条件・制約を設けました。 一部を示しますと、㋐まひに似せるため、右手にミトンを装着して三角巾で釣る;右脚はソフトギプスで固定;㋑排尿はパッドにし、2時間後に交換;㋒体位交換は職員にしてもらい、その位置にひもなどで固定;㋓嚥下障害を体感するため顔面をテーピング;㋔口腔ケアは寝たままで介助者にしてもらう。
業務上の体験なので実習記録の提出が課されました。抽記しますと――
①ベッドの高さが少し低いだけで景色が見えず、気分が沈んでしまった。
②ベッドに寝て15分で腰・かかとが痛くなり、30分で耐えられなくなった。
③白い天井・白い壁に囲まれ人の動きが目に入らない寝かされ方で不安。
④職員同士の話・車いす・掃除機の音が伝わり、他人への話も気になる。
⓹予兆なしでいきなり入室・声かけされるのは驚きを越して恐怖を感じる。
⑥おむつ・パッドを自分でつけること_替えてもらうのは更に恥ずかしい。
⑦寝たままではどうしても_残尿感があって膀胱が痛んでも排尿できない。
⑧人に顔を合わせなくても、人中では車いすにかけていては排尿できない。
⑨排尿の後拭かないので蒸れてくる。少し時間がたてば冷たくなり不快だ。
⑩動いている人には適温でも、肌着・靴下なしでは布団を着ていても寒い。
⑪パジャマだけや濡れたオムツのため 体調不良になり、翌日やっと回復。
⑫休まろうとしている時に 検温・体操などで起こされて、落ち着かない。
⑬自分が吟味して導入した車いすだったが 10分で仙骨が痛くなり苦痛に。
⑭なるべく車いすで過ごすように とのことだが、体験すると違うと痛感。
⑮横の人の介護に来た時にこちらを向き、にっこりしてくれるだけで和む。
⑯介護者の無作法・不衛生などの行動が目につき、一種の不信感に繋がる。
この体験から、多くの職員が自発的にこれまでの自分の利用者への接し方を振り返って反省を言葉に出し、日常の個々の場面に結びつけて改善案の提起をしはじめました。9割近くが〈体験して、利用者の立場を感じることができた〉と答え、〈利用者に対して知らず知らずのうちに行なってきた理不尽な仕事ぶりへの失望感・申し訳ないという気持と、そうだったのかという宝物を発見したような感動〉と受止めて、姿勢を正した人もいます。
〈体を少しでも動かせるだけで幸せ〉〈利用者は8時間だけで終わるのではなく、ずっとこれに耐えてきた〉と、自分と相手の立場を構造的に捉えた人も少なくないようです。調理担当者は、ソフト食(例えば常食をミキサーにかけてトロミ剤で固めたもの)を 利用者として食べてみての〈まずい、こんなの食事じゃない〉との強烈な批判により、血相を変えて改善に取り組みました。単なる栄養補給ではなくて、どんなものかメニューで示し、しっかり味見して、〈おいしいな〉と思えるものを作り、利用者が潜在的に持っている〈生きる意欲〉を引き出していくようになったそうです。そうなれば、食事介助の担当者も自然と〈魚の煮つけですよ〉といった声をかけるようになり、利用者の中に、食べることの喜びが広がったようです。Aならでも全職種が協働して業務に当たっている様子を紹介しましたが、ここでも 事務職が予算枠重視の食材調達等は できないだろうと思います。
他にもいろいろありますが、紙面の関係もあり、この辺でとどめます。
今回は、一施設での_勤務する職員を対象にした実験を取り上げましたが、この内容は施設利用者・介護を受ける人すべてに関係する事柄です。また、在宅介護する人にとっても心得ておかなければならないことです。さらに将来介護を受ける私たちも知っておくべき貴重な情報と思います。
ここで私が学んだことの一つを記します。それは、知っているだけでなく(例えば次のような日常の場面で)実行できる行動についてです。知人Dさんが入院したことを知り、4人部屋を訪ねた時、私は〈他の同室の方の休息しておられるのを妨げてはいけない〉と思い、そっと部屋に入り、その人とだけ小声で会話して、また静かに退出していました。しかし、上記①~⓹の環境・心情等を考慮すると(また見舞客の少ない人もおられることを考えると)、私はDさんの同室者A・B・Cさんに対して失礼な接し方をしていたのでは⋯と反省しています。重篤な人は別として、同室者の方には はっきりと顔を向けてあいさつをしないといけないのでしょう。煩雑にならない範囲なら、孤独になりがちな人には日に1回の時報であっても、生活するリズムに役立つ刺激になるとのことです。世間話(地域の情報)は聞こえる程度の大きさで話した方がよいのではないでしょうか。
〈話しかける〉〈コミュニケーションを結ぶ〉ことには、㋐感情表現する=いま現在作り出している〈生〉の表出するという面と、㋑情報を伝達する=相手方がそれに応じて行動することを促すという面があり、教育・介護など各分野で㋑が優勢を占め、一方的な関係〈一般人の大多数が対象としての客〉になっている点をどうするか?に触れられずに紙面が尽きました。この点は、次の機会に記せたら…と思います。
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次 回 定 例 会
★第200回12月定例会
12月15日(金)13:15~16:50 ひと・まち交流館京都3F 第3会議室
内 容:・総合事業開始後報告 会員支援計画書
・公開企画について
・よりよい介護をつくる市民ネットワーク
第2回シンポジウム報告
・その他
ニュース発行・発送:1月5日(金)10:00~
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/10/0b/eb6218f05062bd9aff5c6bceac6fa5d1_s.jpg)
★第201回1月定例会
1月19日(金)13:15~16:50 ひと・まち交流館京都3F 第3会議室
内 容:・総合事業実施状況
・公開企画について
・マイライフ ・その他
ニュース発行・発送:2月2日(金)10:00~
~つぶやき~
オランダのソーシャルワーカーのお話を聞く機会があった。人口15万人ぐらいの町に11か所のデイケアセンターがあり、高齢者の孤立を無くすような取り組みが費用は自治体が出すが口は出さない、デイケアに任せているシステムとのこと。いい企画なら予算措置が取られるというのも素敵。ホームドクターや専門職、ボランティアがきちんと整備され、セーフティネットが張り巡らされ、いつでも無料で参加できるデイケアセンター。そんなことは日本では夢のまた夢…… ボランティアや、寄付行為、隣人愛、など外国と日本では歴史が違い、今回の総合事業での支え合い型のボランティアに対するとらえ方も違っているように思える。不備ばかりあげつらうのではなく、もっと素直に人を信頼することが求められているのかもしれない。「人を見たら泥棒と思え」「声をかける人を見たら誘拐犯と思え」とは悲しい限りである。しかし、これも悲しい。「介護保険 使う頃には 懐疑保険」
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ぼんさんも走る師走がやってきます。
いそいでこけないように、元気で、明るく
よいお年をお迎えください。font>
マイケアプラン研究会 事務局
〒600-8127 京都市下京区西木屋町通上の口下ル梅湊町83-1 「ひと・まち交流館 京都」
京都市市民活動総合センター メールボックス33 TEL・FAX075-581-9956
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郵便振替:00900-5-120923 マイケアプラン研究会
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