「マイケアプラン研究会」活動報告

マイケアプランは高齢者の権利宣言
いつまでも自分らしく生きるために・マイケアプランを応援します

ほっとなマイケアプランニュース第131号より

2013-02-06 | ほっとなマイケアプランニュース
ほっとなマイケアプランニュース第131号より


“おとなり隣人さんなしで大丈夫?”と
      “マイケア暮しの勧め”との関係
                              
山本 三沙子会員

  公開企画開催が間近となりました。 “お隣人さんなしで大丈夫?”シリーズも4回目となり、いよいよお隣人さんなしでは自宅で最期まで生きていくのはむずかしいなあと実感する毎日です。お隣人さんとはもちろん向こう三軒両隣のお隣人さんだけでなく、遠くの心の通じるよき隣人も含みます。
最近一人暮らしの男性の同級生が亡くなりました。古稀を迎え現役で働く人も少なくなりましたが、彼は長年培ってきた中国とのパイプ役を仕事として続け、バリバリの社会人でした。残念ながら地域での活躍は聞いていませんでしたが、同級生とはよく飲み、丸山明宏ばりのいい声でカラオケも大好きでした。2回も結婚し、子どもにも恵まれましたが最終的には一人暮らしとなり、最期はお風呂で。ご近所の方が新聞が取り込まれていないのに気付き、3日目の発見となったそうです。元気で働き、寝込むことなく逝った彼を羨ましいと思います。私の夫も含めこんな逝き方をする人は大勢います。でもそんなうまいこといかないのが通例、と自分のこととなると悲観的観測となってしまいます。
今回の公開企画の三つの寸劇の中に、一人暮らしで、わがままで、病院へは絶対行かない、寝込んでもヘルパー、子ども、友達をうまく使いながら一人暮らしを続けたい老女を入れてみました。はてさて参加者の皆さんがどのような反応を示されるか・・・ 人それぞれがどんな状態になっても自分の希望する毎日を送れるのか、どこまで主張が通せるのか、経済的事情、家族の状況、隣人との関係、etc.、自分を曲げないと生きていけないなら、どこまで折れ合っていけるか、自分を見つめたいと思います。曲げても折れ合っても自分の願いがあっての譲歩です。これが“マイケア暮らし”です。今までは勝手な言い分だけを言いっぱなしできましたが、やはり最期が近づいていることは紛れもない事実であり、現実を見つめて可能性のあることを考えないといけないと痛感しています。元気で頭は少々(?少々ではないか・・・)忘れっぽくなってはいますが、ちゃんと決断できる今、わがプランをたて、伝えたい人に伝え、ご近所さんにも「倒れていても救急車呼ばないでね」とお願いをしたいと思っています。でもいくらお願いしていても、私が夫の時に救急車を呼んだように呼ばれるでしょうね。その場に遭遇すれば呼ばないという選択肢はありません。呼ばれちゃったらその後どうするかを考えておきましょう。 念には念をいれた“マイケア暮らし”を描くために、ぜひお誘いあわせの上、2月24日(日)の公開企画にご参加くださいますよう、会員一同お待ちしております




公開企画2012 “お隣人さんなしで大丈夫?”パートⅣ 
“マイケア暮らしの勧め” ~あなたは自分を活かしていますか?
   
    日 時:2013年2月24日(日)13:00~16:30
    場 所:ひと・まち交流館 京都 3F 第4,5会議室
         (下京区河原町五条下ル 市バス 「河原町正面」下車
             京阪電車 「清水五条」下車徒歩10分)
    参加費:500円     
    申込み:電話・FAX 075-581-9956
           メール:mycareplan@mail.goo.ne.jp
    終了後 交流会もあります。(会場:月陽  会費:5000円)
    締 切:平成25年2月20日(水)
         多くの皆様のご参加をお待ちしております。




マイケア・カフェから  
 1.「原発事故避難の方の暮らしは?」                                            佐竹 紀美子会員

 昨年7月から「マイケア・カフェ」を月に1回月末の午後に開催してきた。
あまり事前の綿密な準備もなく、いわば私の勝手な思いつきで始めたものである。一応のねらいは私の地域デビューの一つとしての「お隣人さん作り」である。またかかわっている「社会福祉士・高齢問題なんでも相談会」や、行政絡みの「居場所作り」の動きも気になっていた。きっかけは、東日本大震災のささやかな支援で知り合った岩手県の「元気玉カメちゃんカフェ」に感銘したことである。運営はマイケアプラン研究会と、地元の「介護者の会・はげましの会」の有志の協力で、お一人様、お二人様、親世代の介護問題が気になる方など、どなたでもご一緒にという気楽な会とした。また会費制とし、ボランティアも同じ会費をいただき、その範囲でまかなっていくことにした。しかし現実は什器類やお茶やコーヒー、お菓子もボランティアから差し入れ持ちより歓迎である。内容は毎回、ミニミニコンサートとお茶と、少しは勉強というか高齢問題に絡んだ話題を提供することにした。会場は私の生活圏であり、シャッター商店通の貸しギャラリー・スペースで、20人ぐらいが丁度よい広さである。
さて、第6回目、1月の会に、思いがけなく福島から避難されてこられた方が電話を下さりご参会いただいた。近所の公営住宅には、かなりの方が避難生活をされていることを震災後2,3か月から聞いてはいたが、何とか応援したいと思いながら、プライバシーの壁で全く知り合うことができなかった。また思いをどのように受けられるかなど考えると、積極的に接点を求めることがとても難しかった。
 しかしやっとのきっかけが大晦日におとずれた。区福祉会館を会場に、お一人様などの忘年会を福祉ボランティアでされるという案内を、所属の老人クラブからいただき、そこに避難の方もお招きすると書かれていたので参加した。結果的に避難してこられた方はたった2人であったが、お近づきになることができた。そしてカフェのご案内配布の了解をいただいた。それをご覧になっての電話であった。カフェの会場もチラシに大きい病院の通りとわかりやすく書いていたが、Aさんはその病院なら通院しているからわかるとのことで、寒さを避けて病院のロビーで待ち合わせた。自己紹介もそこそこに、話し合いながら会場につき、福島に何度も行ったことのある私の夫に気分ほぐしに話し相手になってもらい、そのうち参加者とも話をしていただけ、前もっての確認で自己紹介をして下さるなど雰囲気に溶け込んでいただけた。
 プログラムは、地域の子供たちが作った「かるた」をネタに地域の歴史などの逸話を織り込んで、子供と大人の感覚の違いなどを話し合いながら進めた。地元とはいえ知らないことが皆さんの関心を呼び、京都についてのチョットしたガイドになったように思えた。
 その後友人の篠笛演奏になったが、東北に思いを馳せる「りんご追分」や「南部牛追い唄」など話しを交えての演奏であったので、Aさんは少しほっこりされたように感じた。そしてコーヒーをいただきながら演奏者に、ご主人の尺八や、娘さんの二胡のことなど話され、また避難してこられてからの生活環境の大きな違いから、ご主人の認知症が急激に進み、デイサービスなどを利用しながら、結果的に12月の末に老人ホームに入れてもらったと避難先での越し方を話された。そして故郷でもなかなか入れないのに、避難先の京都でこんなに早く入れていただいて申し訳ないと、感謝や遠慮のお気持ちを話された。周りは演奏者も、その友人たちも福祉系の仕事をしてきた方ばかりなので、関心を持って聴きうなづき、ねぎらいの言葉をかけあった。Aさんの夫さんは、広いお庭の手入れが大好きだったとのこと。避難先の集合住宅で、コンクリートの閉ざされた暮らしと、見知らぬ人々で声も掛け合えない生活に、心労から認知症が進行したのではないかと、みな悲しい現実に共感しあった。でもとてもよいホームで、自分としてはありがたいと、おっしゃられた。
 今も、4,5日誰ともしゃべらない日があるとのこと、またすぐ近くの駅へ行く道もそばのデパートも行けないといわれ、1年半もお住まいになっているのに・・・!と驚いた。今度は一緒に散歩しましょうねといって再会を約した。
 私は何度も切り口を変えては接点を求めてきたつもりだが、プライバシーの壁で積極的にかかわれなかった。現地支援で昨秋にやっと岩手県の海岸部に出かけ「元気玉かめちゃん」に会ってきた。これからが本当の支援が問われるという今、避難してこられた方に出会った。
 大震災・原発事故から2年がたとうとしている。東北を忘れてはいけないと思いを新たにした。


2.「ケータイメール使えますか? 失語症になったらどうしますか?」

 老人保健施設でのこと、穏かなやさしそうな女性に話しかけたら、手を振ってしゃべれないとしぐさをされる。こちらの言うことはわかっておられるようなので、筆談はいかがですかと聞くとうなずかれしばらくやり取りをした。日常の暮らしのことは施設職員さんもご家族もよく通じておられるように思う。しかし細やかな表現などはどうなっているのだろうか、表現の楽しみはないのだろうか、などと短いコミュニケーションを終えてからつくづく思った。
 知り合いのお母さんのこと、ご近所関係の見守りの行き届いた最先端を誇る地域での一人暮らしであったが、倒れて気がつかれるまでに2日間、知らせを受けて息子さんはガラスを破って、何とか命を取り留めることができたそうだ。救急治療はすんだが、失語症といわれ、言語療法も受けられたが、言葉の回復はないまま転院となり、そこでは言語療法士はおられない。50音表を作って何と指さししてもらう試みも、もどかしくあまり役に立たなかった。あるとき、ケータイを持ってきて欲しいとの訴えがわかり届けておいた。その後、一人暮らしの孫さんにおばあさんの電話機から受信、もちろん声も無く不審に思ったが、後でおばあさんが一人でかけたとわかった。それを聴いて私はその方の冷静な判断と意思表示に感動した。80歳台後半の方である。

2,3年前に、発達障害の小学生に、ケータイ電話がとても役に立つと相談員の友人から聞いた。一人で出かけても迷子にならない、電話で交信しながら誘導もできるとか。などから考えると、高齢者の失語症には、きっとよい方法があるのではないかとネット検索をしたり友人と話したりするうちに、どうやらPADなどが利用できるらしいとわかった。残念ながら私は全く機械音痴なので、どういう働きをするのかわからないのでこの文も的を外れたことをいっているのかもしれないが、NPO法人でそういった研修などをされている方を知った。マイケアカフェでも、ケータイ使えますか?ということを課題のひとつにしたいと考えていた。それは失語症のことを意識していたわけではなく、お隣人さん(グループメンバー)同志の電話掛け合い安心ネットのようなことを想定していた。

 先の2例を経験して、矢張りこういったことに無関心でいられない。生活の最低のコミュニケーションは何とかできているということだけではなく、表現活動をすることが自分らしく生きることにつながり、意欲を持って生き抜く手段となるのではないかと思う。俳句やエッセイなどで前向きな時間が持てたらよいのにと思う。
 老人保健施設や聴覚言語療法士の分野ではないかもしれない。機能訓練という視点でなく、生きる暮らしの質という事で身体障害者・高齢者の補装具屋日常生活用具として、もっと簡便な道具が開発されるのも遠い日ではないと思う。いやすでに開発されているのであろう。
 先のNPOの方の話では、支援学校高等部で教員、保護者、生徒の皆さんに研修をしているとのことであり、また知的障害の高校生は、サンタさんにスマホをお願いしたと聞いた。現実に高校生の中でスマホを楽しんでいるそうだ。
いつかこのNPOに研修をお願いしたいと思っているIT弱者である。またこの文の中で誤解や無知から来ているところがあると思うので、どなたかご指摘をお願いしたいし最新情報などを教えていただきたい。



次 回 定 例 会
★ 第148回2月定例会
   2月15日(金)13:30~16:30 3F 第3会議室
   内 容:・公開企画について 
        ・言語障害と最新OA機器
       ・その他 
   読書会: 17~19時  西村 佳哲著 『自分をいかして生きる』
      
 次 々 回 定 例 会                   
★ 第149回3月定例会
   3月15日(金)13:30~16:30 3F 第3会議室
   内 容:・公開企画開催反省
       ・平成25年度事業について
       ・その他 
     読書会:17:00
もうすぐ春ですねえ。花粉、黄砂、有害粉塵に負けない
でお過ごしください。