むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

中国が偏狭な排外民族主義を煽り出したのは、弱みの現れ--いよいよ中国経済崩壊か?

2010-09-29 18:03:50 | 中国
中国が何かし出した場合、現象面だけに目を奪われるのは、中国を知らない素人の発想。今回、日本の右翼・右派陣営には、中国・中国人の本質を理解せずに、民主党政権を非難する無責任かつ低能な論調が多いように思われる。それこそ中国と同じナショナリズムという低次元に自らを貶めて、低レベルな感情論でいがみ合うというもので、それこそ中国の思う壺である。日本は先進国なんだから、ナショナリズムに走って自らの品格を下げる必要などない。
まして、今回の騒動で、結果的にイメージを落としたのは、中国のほうである。シンガポールの英字紙や米国の主要紙すら中国批判の論調を掲げたほどだから、国際世論的には中国が負けたことになるのだ。

それより、ここ数年尖閣問題で挑発してこなかった中国が、いきなり尖閣問題で騒動を引き起こした理由と背景を詮索する必要がある。そもそも、なぜ、この時期なのか?

それは、現在上海万博開催終了時期が近づいている点に注目する必要があるだろう。以前から北京五輪と上海万博の終了が、中国バブルの終焉だと指摘されていたが、北京五輪後で実際には矛盾はたくさん噴出していた。庶民経済は不況で、出稼ぎのため中国を脱出する庶民が跡を立たない。
しかし、そこは一党独裁の強みで、上海万博を演出することで何とか乗り切って(糊塗して)きた。しかしその上海万博が終われば、後がない。
ここで台湾が反中的な民進党政権なら、台湾に矛先を向けることはできただろうが、それも敵わない(もっとも、そんなことはいくらでも情報操作すればどうってことないが)。それなら、従来から中国政府が嫌ってきた人権派・新リベラル・親台湾民進党の菅と仙谷をスケープゴートにするのが一番だ。ちょうど民主党は代表選の真っ最中だったから、虚をついた形になる。

しかも、今回の騒動で、中国側はレアアース対日禁輸方針を打ち出したり、ネットなどで経済制裁などを叫ぶ勢力が噴出したりしているが、日中の力関係を考えれば、客観的にみて日本のほうがはるかに強い立場にあるので(ただし、別項目で述べるように、現在ポスト団塊世代が中枢にいる日本はなぜか主観的には「中国より弱い」と弱気になっているのだが)中国が「経済制裁」などしたら、日本も困るが、数倍困るのは中国のほうなのだ。何よりも庶民が物価高騰の生活苦で、日本に出稼ぎに行くことで何とかしのいでいるんだから、「対日経済制裁」などしたら、庶民の逃げ道がなくなって、暴発するのは明らか。ただ今回、実際経済制裁をしなくても、ここまで日本人の感情を傷つけ、日本における中国イメージを悪化させた以上、そのツケは中国にじわじわ回ってくることは明らかだ。

しかしこれが数年前、余裕があった時期の中国なら、こんなおろかな方策には出なかっただろう。冷静に考えれば、中国にとってはマイナスにしかならない今回の騒動を仕掛けた裏には、それだけ中国が余裕を失い、冷静な政策判断ができなくなっていることの現われだと見てよい。

そうであれば、そういう中国の弱みを見透かして、徹底的に法律論で臨んで、引き伸ばせばよかったと思うが、民主党政権には中国のことを見透かせる人材がいないらしい(別に私を使えといっているのではない)。
もちろん自民党政権時代にもおらず、したがって自民党は媚中土下座外交を繰り返してきたのであるので、右翼が民主党だけを非難するのは筋違いだ。
もちろん日本の在野には中国の本質を見透かす人たちもいるのは事実だが、それを日本の政治というアリーナが掬いとれない点が、日本政治の問題だろう。もちろん、民主党は湯浅誠を内閣参与として招き入れるだけの度量はあるが、まだまだ不足している。
この点だけは民主党政権を批判するべきかもしれない。

いずれにせよ、今回、外交上手だったはずの中国が後先も計算できず、排外民族主義を煽っていることは、中国がそれだけ弱っている証拠である。

近代以降の日中は宿命的な関係にある。両者ともに知恵をもって、うまく距離感を保った友好関係を築ける間はいいが、どちらかがバランスを崩しはじめると、バランスを崩したほうが負ける。
戦前は日本が中国を侵略するという暴挙を犯したために日本が連合国を敵に回して結果的に敗戦という敗北を喫したが、歴史はめぐるというべきか、今回は中国側がバランスを崩した。その結末は中国の崩壊という形となって現れるだろう。

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