北方の国の白夜はこのようであろうかと、
ガラス越しにうつる月明りに幾度も目覚めながら、
吹雪の日にも滝に坐り続けた人を、真夜中、ふいに思い出した。
わたしはその人を勝手に「月明かりの人」と名付け呼んでいたが、
桜の季節にはいっそうその人の剣舞の姿は美しかろうと、
蒲団の中からカーテン越しにぼんやりとうつる月の姿を見ていた。
わたしは女で、月明かりの人は男だけど、
姿形もそっくりのもう一人の自分がそこにいるのではないかと、
あの日、立ち止まったのだった。
似ている!
その人もそう思った。
袴姿で舞う劇は、月よりの使者が書かせたもの。
かぐや姫を信ずる人は、月明かりに涙する。
その舞いは、月夜、
花びらの下で舞うがもっとも美しい。
狼は大神。
夜寝ないあの人は、
このような月の夜は、空を見上げたに違いない。
ガラス越しにうつる月明りに幾度も目覚めながら、
吹雪の日にも滝に坐り続けた人を、真夜中、ふいに思い出した。
わたしはその人を勝手に「月明かりの人」と名付け呼んでいたが、
桜の季節にはいっそうその人の剣舞の姿は美しかろうと、
蒲団の中からカーテン越しにぼんやりとうつる月の姿を見ていた。
わたしは女で、月明かりの人は男だけど、
姿形もそっくりのもう一人の自分がそこにいるのではないかと、
あの日、立ち止まったのだった。
似ている!
その人もそう思った。
袴姿で舞う劇は、月よりの使者が書かせたもの。
かぐや姫を信ずる人は、月明かりに涙する。
その舞いは、月夜、
花びらの下で舞うがもっとも美しい。
狼は大神。
夜寝ないあの人は、
このような月の夜は、空を見上げたに違いない。