「起きなさい」
カーテンを閉めない私は、今朝はこの明るさに目覚めた。
ああ、秋だ。
かぎろひの空も近い。
そう思った。
一昨日森を歩くと、陽の当たりにくい場所でも
小さな花が微笑んでいた。
私は花の名を調べない。
おおよそ名に興味を持たずに生きてきたせいだが。
名は人が勝手につけた名である。
それとも天の声か、天からのインスピレーションか?
家の柿の種から育った柿の木は、確か山の畑で五年目だ。
猪に折られたか、この間の強風で折られたか、
ますます背は低くなってしまっていた。
柿を見ると一人で生きていこうと思った
小四の秋を思い出す。
二十歳になる頃までは、秋が一番好きだった。
秋には詩のノートを持って、スケッチブックを脇にはさみ、
どこへともなく出かけた。
どこでもよかったのだ。
どこでもいい、ここではないどこかへ。
今は畑に出かけるだけ。
これが主人の今日の成果だとか。
どこが?なにがなんだか来週にならないとわからない。
水が少なく、風が強く、
大根は死んでいなかっただけましくらいで、
なぎ倒され、鹿に踏まれ、
土を盛ってはみたけれど、慰めだろうな~。
しかし少しは生き延びてくれるだろうと期待する。