大君は 神にしませば 赤駒の
腹這ふ田居たいを 都と成しつ
=巻19-4260 大伴御行=
天皇は神でいらっしゃるので、栗毛の馬が腹まで浸かって耕作する田んぼでさえ都にしてしまった。という意味。
壬申の乱(672)平定後、天武天皇が飛鳥浄御原宮を築いたことを讃えた歌だが、天武天皇の人間業とは思えない力を持っていることを賛美している。
日本の国名を従来の「倭」から「日本」に改め、新しい王朝が出来たことを宣言、また「天皇」という称号を採用し、日本と中国が対等で従属国にはならないことを宣言した。天武天皇により日本に初めて統一国家が誕生したといえる。
飛鳥浄御原宮の近くにある飛鳥坐神社横にこの歌碑が立っている。歌碑は犬養孝先生の揮毫である。
飛鳥坐神社は甘樫の丘の東方、飛鳥の集落の突き当たり、こんもりとした鳥形山と呼ばれる丘に鎮座している。祭神は事代主命(ことしろぬしのみこと)・高皇産霊命(たかみむすびのみこと)・飛鳥三日比売命(あすかみかひめのみこと)・大物主命(おおものぬしのみこと)の四座。境内に並ぶ陽石(男性の性器の形をした石)の数々はお参りして子宝に恵まれた人が奉納したものといわれ、現在も厚く信仰されている。
また、毎年2月に豊作と子孫繁栄を願う伝統の奇祭「おんだ祭り」が行われる。