名草(なぐさ)山に 言(こと)にしありけり 我(あ)が恋ふる
千重(ちへ)の一重(ひとへ)も 慰めなくに
=巻7-1213 作者不詳=
名草山は絶景だなあ、でも「なぐさ」は言葉だけだったかな、私の恋の苦しさの千の一つも慰めてくれなかったもの。という意味。
「名草」掛詞「慰」。なぐさ【慰】〔名〕人の心をなごやかに静まらせるもの。気をまぎらわせるもの。なぐさみ。なぐさめ。
「言にしありけり」:(「し」は強意の助詞)言うだけで実がない。有名無実だった。
紀三井寺
和歌の浦の絶景を望む景勝地に建っており、春は早咲の桜の名所として名高い。西国三十三所観音霊場第2番目の札所である。万葉集にも登場する名草山。和歌浦の対岸にある古くからの代表的なゆったりした山(標高230m)。金剛宝寺護国院(紀三井寺)はその名草山の中腹にある。紀三井寺の寺名のおこりは寺の境内に清浄水、楊柳水、吉祥水の三霊水があり、近江の三井寺と区別して紀三井寺とよぶようになったといわれている。
この万葉歌碑は、和歌山県和歌山市の紀三井寺、本堂前に置かれている。
紀三井寺観音堂から望む和歌の浦<クリックで拡大>
紀三井寺から車で15分程で和歌の浦に着き、振り返ると和歌の浦の東方に名草山がある。
高さは228㍍の小高い山であるが、中腹には西国三十三所第二番札所紀三井寺がある。