筑波嶺の さ百合の花の 夜床にも
愛(かな)しけ妹ぞ 昼も愛しけ
=巻20-4369 防人の歌=
筑波山の小百合の花の夜床、そこでも愛しい妻は、昼でも愛しいよ。という意味。
防人として出発した男が後に残した妻を思慕する歌。夜の床のいとしい妻を思い出し、昼は昼でいとしいと感情を高ぶらせている。大らかな愛に溢れた歌で、その夜床を筑波山に咲く百合の花のようだと回想し妻のいとしい姿を重ねている。
この万葉歌碑は茨城県下妻市の大宝八幡宮の境内、鐘楼の正面の位置に置かれている。
同じさ百合の花の万葉歌碑が境内の別の場所にある。
万葉歌碑は次の万葉仮名で刻まれている。
都久波祢乃 佐由流能波奈能 由等許尓母 可奈之家伊母曽 比留毛可奈之祁
裏面 建立者 茨城県下妻市下妻戌431 万葉東歌研究会長 大木昇・百合子
揮毫 文化功労者 国文学者 犬養孝
監修 大阪府堺万葉歌碑の会代表 沢田富美子
平成二十二年七月二十五日