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筑波嶺の さ百合の花の 夜床にも
愛(かな)しけ妹ぞ 昼も愛しけ
=巻20-4369 防人の歌=
筑波山の小百合の花の夜床、そこでも愛しい妻は、昼でも愛しいよ。という意味。
防人として出発した男が後に残した妻を思慕する歌。夜の床のいとしい妻を思い出し、昼は昼でいとしいと感情を高ぶらせている。大らかな愛に溢れた歌で、その夜床を筑波山に咲く百合の花のようだと回想し妻のいとしい姿を重ねている。
万葉集には「かなし」という言葉が114語あり、悲哀、愛(かな)し=いとしい、懐古 、孤独、孤愁 と言った意味に使われているが、
この歌のように「愛(かな)し=いとしい」として用いられているのが一般的のようだ。
この万葉歌碑は茨城県下妻市の大宝八幡宮境内の、
神楽殿と宝物殿のあいだに、巻9-1757/1758の万葉歌碑と共に置かれている。