飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(明日香):雷丘

2012年01月16日 | 万葉アルバム(明日香)

大君は 神にしませば 天雲の
雷(いかずち)の上に 廬(いお)らせるかも
   =巻3-235 柿本人麻呂=


 大君(おほきみ)は神でいらっしるので、雷(いかづち)の上に仮宮をお作りになっていらっしゃる。という意味。

この歌は天皇が雷岳(いかずちのおか)に行幸した時、柿本人麻呂が作った歌で、
「天雲の雷の上に」という表現から雷岳は壮大な山のように感じられるが、実際はわずか高さ20メートルほどの小さな丘なのである。こんな小さな丘に天皇がいほりしたのは、雨乞いだったのではないかと考えられる。
ここでの「大君」は、持統天皇ではないかとみられている。
平安時代初期に編集された説話集・「日本霊異記」に、雄略天皇(5世紀後半ごろ)の侍者、小子部栖軽(ちいさこべのすがる)に呼びつけられた雷神が雷丘に落ち、地上の雷を捕らえたとあるほか、栖軽の死後に墓を建てたとの記述もある。
当時すでに雷神が雷丘に落ちたという伝承があり、雨乞いの重要な場所だったのであろうか。

この万葉歌碑は、雷丘の道路脇に建てられている。