飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(関東):群馬、伊香保 伊香保嶺に・・・水沢観音

2011年08月22日 | 万葉アルバム(関東)

伊香保嶺に 雷(かみ)な鳴りそね わが上(へ)には
故(ゆえ)はなけども 児らによりてぞ
   =巻14-3421 作者未詳=


 伊香保の山の雷さま、どうぞ鳴らないで下さい。私は気になりませんが、いとしいあの娘が怖がりますから。という意味。

「伊香保嶺(いかほね)」は群馬県の榛名山。「雷(かみ)な鳴りそね」は、」はカミナリ+禁止の意の副詞ナ(ナとソの間に動詞の連用形をはさみ、禁止の意)+鳴ルの連用形+禁止の終助詞ソ+ひとに希望、依頼をする終助詞ネで、鳴ラナイデホシイ。「故(ゆゑ)」は支障。「子ら」のラは音調を整えるための接尾語。「よりてそ」のソは、指定を表す終助詞ゾの上代語。(中西進編「万葉集」講談社文庫、日本古典文学大系「万葉集」岩波書店等を参考)

この万葉歌碑は伊香保の水沢観音境内に建っている。

水沢観音は、推古天皇の御代、上野国司高光中将の菩提所として建てられた伝えられている。万葉の頃すでにこの土地に祀られた寺である。
坂東三十三観音霊場16番札所。宗派は天台宗。
水沢観音本堂は本尊に千手観音をまつる江戸時代、天明7年(1787)の建築で、棟唐破風は鮮やかな彫刻が施されている。
六角二重塔は、6体の地蔵尊が安置されていて、回転式になっていて、真心を込めて左に3回廻すと願いがかなうと伝えられている。