片岡の この向つ峰に 椎蒔かば
今年の夏の 蔭にならむか
=巻7-1099 作者不詳=
片斜面のこの向かいの岡に、椎の実をまけば、若木の影をせめて今年の夏の日陰に見なせるだろうか、という意味。
「 片岡 」 は地名と見るのがすなおな解釈かもしれない。「 片岡 」は奈良県北葛城郡王寺町から香芝市の志都美地方にかけての地域とみられ、志都美神社(しづみじんじゃ)本殿裏の森がこの歌を鑑賞するにふさわしいとされる。
本殿裏は椎の木を中心とした原生林で奈良県指定の天然記念物に指定されている。
神社参道入り口にこの歌の歌碑が建っているとのことだが、私はまだ未訪問地だ。
ここに掲載した万葉歌碑は、かつて訪問した明日香の万葉文化館庭園に置かれているものである。