あしひきの 山の間照らす 桜花
この春雨に 散りゆかむかも
=巻10-1864 柿本人麻呂歌集=
山の間を照らすように咲いている桜は、この春雨に散ってしまうのだろうか。という意味。
万葉人には桜の花の時が近づくと花が咲くのを待ち望む心が、咲いた桜が春雨にぬれて散ってしまうと花が散るのを惜しむ心が、ある。現代人よりも自然に咲く花に対する愛着が強く感じられるようだ。
万葉の頃はサクラといっても自然に咲く桜、すなわち山桜であった。
この万葉歌碑は名古屋の東山植物園の万葉の散歩道に立っている。(2010/12/24写す)