天雲に 近く光りて 鳴る神の
見れば畏し 見ねば悲しも
=巻7-1369 作者未詳=
天雲の近くに光る雷(かみなり)のように、見れば恐れ多いし、見なければ悲しいし。という意味。
この歌を詠んだ人が恋したっている人を雷にたとえた歌で、恐れ多い程に身分が高い人だったのだろう。
山辺の道の穴師の里の奥深い山裾に穴師坐兵主神社(あなしにいますひょうずじんじゃ)がある。
穴師坐兵主神社は訪れる人が少なくひっそりとたたずんでいるが、山奥に似合わず小さいが瀟洒な伽藍を目の当たりにする。垂仁天皇2年に倭姫命が天皇の御膳の守護神として祀ったといわれている。なんと紀元前の話である。三つの神社を合わせて祀っているため、神殿はいずれも三ツ屋根造りとなっている全国にその例を見ない神社なのである。
この万葉歌碑は神社の片隅に置かれている。