いにしへに ありけむ人も 吾(わ)が如(ごと)か
三輪(みわ)の檜原(ひばら)に 挿頭(かざし)折りけむ
=巻7-1118 柿本人麻呂歌集=
昔の人も私と同じように、三輪の桧原(ひばら)の檜(ひのき)を手折って、山葛(やまかずら)として頭にかざしていたのでしょう。という意味。
「桧原」は桧(ひのき)の生えている原。「挿頭(かざし)」は枝や花を折り取って髪に挿すこと。檜(ひのき)の葉をかざすというのは三輪の神への信仰の行為だったようだ。
三輪山の北西の麓、山の辺の道沿いに檜原神社がある。神域を示す鳥居と朱塗りの垣はあるが、社殿はない。大神神社と同じで背後の三輪山をご神体として拝する原初的な社なのである。
檜(ヒノキ)
ヒノキ科ヒノキ属の針葉樹。日本と台湾にのみ分布する。葉は鱗片状で枝に密着し、枝全体としては扁平で、細かい枝も平面上に出る。ヒノキは、日本では建材として最高品質のものとされる。正しく使われたヒノキの建築には1,000年を超える寿命を保つものがある。戦後人工的に植えられたヒノキが現代に花粉をまき散らし、公害となっているのもヒノキの一面を見るようだ。
こちらの万葉歌碑は、奈良県橿原市にある万葉の森に置かれているもの(2011/11/14写す)。