飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(関東):筑波嶺、雪かも降らる 

2009年12月07日 | 万葉アルバム(関東)

筑波嶺(つくはね)に雪かも降らる否(いな)をかも
かなしき児(こ)ろが布(にの)乾さるかも
   =巻14-3351 東歌=


白く見えるのは筑波山の峰に雪が降っているのかな、いや違うのかな。私の愛しいあの娘が布を乾しているのかな。という意味。

当時の常陸の国は、布生産が東国一だったようだ。
布が山に干されている風景は雪が降ったように見えたのである。雪の降る季節ではないのに、雪に布を掛けて、歌うことで、若者の幸福感が伝わる。
「かなしい」は愛しいということ。
 万葉学者中西進さんは、本来、悲しいという感情は何かに対して愛があるから起こる。例えば、「どうでもいい」と思っている人に対しては悲しいという感情は生まれないはず。愛しているから「愛しい」、といっている。

 この歌碑は、筑波山麓の「つくばテクノパーク大穂」に建っている万葉集20基のうちのひとつである。