moonpool

魂のため息

アイノネ

2016年11月27日 | 詩・詞
息の根を止めるように

サヨナラのくちづけ

まだ目覚めない
あなたはまだ夜の中、夢の内

朝の生活の音が響く
目覚めの一杯の珈琲に
それでも決まって朝食はご飯とみそ汁

ずいぶん前に
パンとベーコンエッグにサラダ
あなたは嬉しそうに食べた
「うん、おいしいね。」
いつものこの言葉が無かっただけなのに
なんだか涙が出て
意味が分からないあなたはただおろおろするばかり
それを見たら笑っちゃって
そういうあなたが大好きで

それなのに

まだ目覚めない
あなたはまだ夜の中、夢の内

私の名前ではない名前をつぶやいて
泣いている

添い寝してそっと抱きしめたら
安心したような表情で寝息を立ててる

それは私の名前なのか
そうじゃない名前なのかわからない

けど

夢の相手の
息の根を止めるように

サヨナラのくちづけ
おはようのあいさつ

夜と夢との決別に
目覚めの時間

目が合った瞬間のあなたの微笑みに
ちょっと撃たれて、愛

ご飯とみそ汁の朝食に
おかずはトーストに相手の名前を書いて

泣いてみせた












居眠り

2016年11月10日 | 詩・詞


うららかな春のぬくもりに居眠り

    穏やかな風にカーテンが揺れる
    窓の外をぼんやりと見る
    ふりをして
    うとうとしている君を見ていた


したたかに乗り切る夏の居眠り

    薄っぺらなノートは団扇代わりで
    教科書は関係のない冬のページ
    早弁もそこそこに
    朝練で疲れきった日に焼けたおまえ
    
忙しないつかのまの秋は居眠り

    運動も芸術も食欲も恋は、いつか
    順調に色鮮やかに空回りした
    読書の秋を気取って
    チラホラと本を枕にさあ、夜はこれから

厳しさの終わりの冬は居眠り

    進学も就職も一段落した職員室の
    未完成の卒業アルバムと冷めた珈琲
    パソコンの画面は「っっっっっっっっz」
    咎められる事の無い先生の寝言

居眠りしている僕は僕を見ている

    これが夢か現実か区別がつかない
    夢の中でも不自由だから空は飛べない
    一炊の夢、杞憂は
    すべてはまだ居眠りのなか