moonpool

魂のため息

CORE

2010年09月30日 | 詩・詞
核兵器廃絶

ある晴れた空から
ゆっくりと落ちてきた二つのBoys

FATMAN
時代を焦がした熱波の脅威
影だけ残して消え去って
残りは瓦礫の山ばかり

LITTLEBOY
時代を切り裂く光の暴威
光音に消された慟哭の群れ
慈悲の恵みの雨さえも黒く澱んだ殺意に変わる

誰もが100年経っても
草木が生えてこないだろうと諦めていた



時は流れて
思いのほか早く草木が芽吹き
平和らしきものも根付いてきた
かに見えたが
そう、歴史は繰り返されてしまったらしい



姿を変えた二つのBoys
見えない何かが心に降りてきた

FATMAN
飽食と怠惰の時代
虚飾と過食を繰り返し
歯止めがきかぬ欲望の渦

LITTLEBOY
理由なき凶行の時代
ナイフを片手に漂う濃霧
霧が晴れてみれば幼い顔があるばかり

どこで狂いだしたのか
それともこれが本性なのか

人の心の核心の
質量はどれほど重たいのか
それは罪の重さか
心の広さか

予定通りに行くと

2010年09月29日 | 詩的ショートショート
粋

東京スカイツリーも
だいぶ完成に近づいてきた

近い明日
あるいは既に
東京の空に色を添えていることだろう

予定通りに行くと
わたしの家ではもうテレビがみられない
アンテナもなければチューナーもないから

そんなことよりも
いつになったら
サクラダファミリアは完成するのだろうか
その全貌を見る頃には
わたしはとっくに死んでいるだろう

もしかしたら
戸籍だけは生きているかもしれない
このずさんな日本での話だが

そんなくだらないことを考えていたら
どこをどう歩いたのか
建設途中の大きな街の
「予定」通りを歩いていた

遠い存在のあなたに

2010年09月28日 | 詩・詞
粋

わたしは愛想を尽かし
祈ることをやめた

あなたはあなたの身を守ればいい
守れるものなら

遠すぎるあなたに
わたしは刃を向けるけど
届くわけがないから
この
一度きりです

わたしはわたしのことだけを考えます
余裕があれば目の届く範囲を愛します

おたがい
この距離と時間では
無力だった
それだけのこと

わたしはもう祈らない

広すぎるこの世界で
宇宙で

遠い星に願い事?
それとも神様?


声の置場

2010年09月27日 | 詩・詞
過去

それはもう
遠い昔と呼ぶ頃で

初めて自分の声を
カセットテープに録音して
聞いた違和感

あの妙な恥ずかしさ

それもいつの間にか
風邪と勘違いした
声変わり

もうソプラノでは無くなった

歌うことが
ちょっと嫌いになって

歌わずに詩を書きはじめた頃

自分の声を
カセットテープに録音して
聞いた違和感

今でもあの違和感が付きまとう

普段、僕が聞いている
僕の声を
再現するには

どうしたらいいのですか?

なんて
無意味なことは置いといて

カラオケが大好きで
今でも詩を書いている
馬鹿な大人です

まだ、あのカセットテープがあるようなら
捨ててください

この詩の中に
声があります。

冷やし中華終わりました。

2010年09月26日 | 詩・秋
そんな冷やかしとも取れる文句が
入り口に張られていた。

残暑がまだまだきびしい日々

店内の入れば
冷やし中華を食べている男がいた

「あれ、終わったんじゃないの?」
「ご要望があればつくりますよ、どうです?」
「じゃあ、ひとつ」
「あいよ!」

これもひとつの
臨機応変

何の文句もございません。