御いのち 観劇メモ（３）千秋楽の微笑み返し編

公演名　　　　御いのち
劇場　　　　　御園座
観劇日　　　　2008年6月22日（日）
上演時間　　　12：00～15：45
座席　　　 　 1階5列


もうこれで終わりなんてもったいない！　
そう心から思える千秋楽。素晴しかった。
初日の印象からすると正直言って信じられない（笑）。
私は３回しか見ていないけれど、１週間前と比べてもまだ変化、いえ、深化し
ていたと思う。このまま続けていたらどうなっていたんだろう。

花の宴の舞が終わって、観客の大きな拍手に包まれたラスト。
幕が完全におりてしまう間際に、踊り手の顔に笑みが浮かんでいるのを見た。
それは・・・
役のうえでお咲によって新しい踊りの命を授けられた、信吾の笑顔だったのか。
それとも役者片岡愛之助が思わず見せた会心の微笑み返しだったのか。

鳴りやまない拍手のなかのカーテンコール。
舞台下手のほうから、花の宴の衣装のまま主演の二人が登場。
愛之助さんが竹下景子さんの手をとって舞台中央まで進み出る。
ゆったりと、優雅な佇まいの三方礼。
フシギだ。まるで私たちが宴の招待客で、いま二人の舞踊家に祝福と労いの
拍手を贈っているような感覚。
愛之助さんの口が、ありがとうございました、と動いているのが見える。
それにしても１回きりの、なんて短いカーテンコールなんだろう！（笑）








公演の様子については、またあらためて。

愛之助さんについて少しだけ書くと、初日以来、３週間ぶりに肉眼で見る顔
は少し痩せたように見えた。
そのせいか、初めの頃よりも精悍な顔立ちになっている。
信吾としては、私が見たなかでは千秋楽が一番よかった。
冒頭からすでに、追っ手に追われて逃げ回っている武士の悲壮感が漂い、半ば
ヤケになっている状態が真に迫っている。
私の好きな雪の中のシーンでは、お咲が泣いているように信吾も同じように
涙を流していた。父を思い、師を思い、自分の本心をすべてさらけ出した人間
が見せるえも言われぬ表情・・・。
師匠との苦しい別れの場面も、再び戻ってきて弟子としてやり直したいと乞い
願うところも、それから、初めてお稽古をつけてもらう時のとびきり嬉しそう
な顔も、どれもとてもよかった。
ああ、だからもったいない！（笑）これで終わりなんて。

終演後、舞台写真が貼ってあった掲示板に行ってみると、カラッポ。
見事に全部はがされていた。
今回は舞台写真の販売もないのに、せめて余韻に浸らせておくれよ～～～。
開演前に写真を撮っておいてヨカッタ。
（上の画像はその舞台写真より）


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