天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

2018 平成最後の夏休み、北海道旅行 その6

2018-09-09 | 旅行記:2018 夏休み北海道

その5からの続き

平成30年8月16日





朝から雨の旭川。

こんな日は美術館に行くに限る…という訳で、旭川駅前から路線バスに乗って北海道立旭川美術館へ。
ちょうど「フランス近代絵画と珠玉のラリック展」を開催中。
アンリ・ルソーに似た作風の絵があるなと思ったら、ルソーと同じ素朴派のカミーユ・ボンボワの作品だった。この画家のことは知らなかったのだが、なかなか苦労人で肉体労働者やサーカス団のレスラーをしながら独学で絵を描いていた人物とのこと。生きるために忙しく働かざるを得ない労働者の束の間の休日を描いた作品は、何だか日本のサラリーマンの胸に刺さる…

美術館を出てもまだ降り止まぬ雨。
また路線バスに乗って、午後はカールツァイスのプラネタリウム投影機に会いに旭川市科学館サイパルへ!
オホーツク道央プラネタリウム巡り 北網圏北見文化センターと旭川市科学館サイパル


プラネタリウムを観たら、雨の旭川ともお別れ。
特急「ライラック」に乗って札幌へと移動する。

札幌駅で宇宙クラスタ仲間と合流して、一緒に食事…さあ北海道らしいグルメを!と思ったけど生憎時間も遅くて適当な店も見つからなかったので、ここまで来てファミレスでお茶を濁す羽目に(笑)


今夜の札幌での宿は、新札幌駅前にそびえ立つ高層ホテル。
以前は外資系高級ブランドのホテルで、まだ若くてカネが無かった僕はいつもJR北海道の札幌発道内夜行列車の車内から「ああ、いつかあんな豪華なホテルに泊まってみたいものだ…」と見上げていたものだが、いつの間にかホテルの経営が変わっていてリーズナブルなお値段でも泊まれるクラスになっていたので今回思い切って予約してみたのだ。

休暇の度に北海道で乗り鉄していた若い頃から、気が付けばもう二十有余年…
あの頃見上げていたホテルに泊まれる程度には懐に余裕が出来たけれど、若さと気力体力の余裕はなくなっていく一方だ。
そしてあの頃よく乗っていた道内夜行列車も今ではもう走っていない…



平成30年8月17日

今日は新札幌駅から快速エアポートと普通列車を乗り継いで苫小牧に移動、旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」を見に行く。
苫小牧のミールを見てきました


ミールを展示している苫小牧市科学センターの隣りにある苫小牧市民会館の食堂で昼ごはん。
食堂のメニューサンプルケースも宇宙推しだ。


市民会館の食堂としてはメニューが随分と充実していて、特に中華系の料理が得意のようだったがリーズナブルさに惹かれてラーメン・カレーセットを注文。
カレー味のラーメンなのではなく、きっちり「ラーメン」と「カレー」が出てきました。何だか懐かしいお味で満足。

ミールを堪能してから札幌に戻り、道内在住の宇宙仲間と合流して向かった先は…


遂に出ました北海道名物、サッポロビール園のジンギスカン!
思えば北海道に来てから一週間になるのに、毎日スーパーの閉店前特売の割引惣菜とかセ○コーマートのオニギリとガラナとかサイ○゛リアのイタリアンとかしか食べていなかったからなぁ…
最後にやっと、これぞ北海道というグルメが出てきたぞ!
しかもしっかりジンギスカン鍋が北海道の形してるし(笑)


生まれた時からジンギスカンに慣れ親しんだ道民の宇宙仲間に鍋奉行ならぬジンギスカン奉行を任せて、
高まる期待…









よし、状況を開始する!
カンパ~イ!!僕はノンアルコールビールだけど(笑)
っていうか、みんなジンギスカンの生ラム肉が焼けるまでにジョッキ半分くらい飲んじゃってない?

かくして東北海道を巡った平成最後の夏休みは、ミールとジンギスカンで無事に幕を閉じたのであった(完)

しかし、まさかこの後一ヶ月も経たないうちに北海道が地震であんなことになろうとは…
これは応援に行かねばなるまい、よし来年また行くぞ北海道!!


北海道胆振東部地震で被災された皆さんにお見舞い申し上げます。微力ながら応援していきます。
天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

2018 平成最後の夏休み、北海道旅行 その5

2018-09-09 | 旅行記:2018 夏休み北海道

その4からの続き

平成30年8月15日


朝8時半に北見駅前のビジネスホテルをチェックアウト。
そのまま北見駅を8:56発の旭川行き特急「大雪2」号で出発。今朝の「大雪」も自由席は空いている。

途中、常紋トンネルを通過中に終戦記念日の黙祷をして、11:50に旭川駅に到着。
すぐに駅近くのビジネスホテルに荷物を預けに行く。…なんだか連日次から次に駅前ビジネスホテルに荷物を預けるリレー競技にでも参加している気分だ(笑)


旭川駅に戻って、コンコースの立ち食い蕎麦屋で昼食。

旭川駅は数年前に駅舎を建て替えてモダンなターミナル駅に生まれ変わったが、あいかわらず立ち食い蕎麦屋が営業してくれているので嬉しい。
かき揚げは売り切れていたので鶏そばを啜り込む。


旭川駅12:30発の富良野線美瑛行き普通列車に乗車。
以前の旭川駅は富良野線の乗り場が操車場の奥にあり、改札口からプラットホームまでがかなり遠くて難儀した思い出があるが、生まれ変わった旭川駅ではもちろんそんなことはなく富良野線への乗車もスムーズに出来るようになっている。


雨のそぼ降る中を走り続け、午後1時過ぎに富良野駅に到着。
ここから人気の観光列車「富良野・美瑛ノロッコ3号」に乗車。


「富良野・美瑛ノロッコ号」は自由席車もトロッコ車両で、吹きさらしの大きな窓から美しい美瑛の田園風景を満喫…出来る筈なのだが生憎の雨。
それでも、日本では珍しい運転席付き客車からの遠隔操作でディーゼル機関車に押されて走るヨーロッパ式ペンデルツーク列車の走りを楽しむことは出来る。


雨の中を走って50分ほどで終点の富良野駅に到着。駅では札幌直通の観光特急「フラノラベンダーエクスプレス」が待っているが、「フラノラベンダーエクスプレス」の発車までまだ時間があるのでその間に美瑛まで「富良野・美瑛ノロッコ4号」と折返しの「5号」でもう一往復しよう。


雨だというのに元気な外国人観光客を大勢乗せて、ほとんど満席で富良野と美瑛の間をシャトル運行した「富良野・美瑛ノロッコ号」。
もうラベンダーの季節でもないし、雨で田園風景も見えないが、それでも“富良野・美瑛”は特に台湾や中国では名高い大人気観光コースらしく、皆大喜びで乗車して鉄道の旅を楽しんでいたのが印象的だった。外国人観光客には日本の楽しい思い出をたくさん作って欲しいものだ。


さて富良野駅で札幌行きの「フラノラベンダーエクスプレス」の発車を待つ間に腹ごしらえを…と思ったら、何と待合室の一角で立ち食い蕎麦店「圭子ちゃんの店」が健在ではないか!
この「圭子ちゃんの店」は今から二十年ほど前、僕が大学生の頃に北海道の乗り鉄中によくお世話になった店だ、懐かしい…


「圭子ちゃんの店」の天ぷら蕎麦、二十年前と変わらぬ味で感激!
太めでしっかりした蕎麦の麺、甘みのある濃い口の出汁、そしてあっという間に出しに溶けてしまう掻き揚げ…嗚呼思い出す、我が青春の鉄道旅行の日々!

懐かしい蕎麦を味わっていたら、カウンターの隣にバックパッカーを背負った白人の青年が立って、やや緊張した面持ちでわかめ蕎麦を注文して、慣れない手付きで箸を使い実に美味そうに食べ始めた。
「まるで昔の僕のようだな…旅を楽しんでくれ、青年よ!」彼が将来、若き日に遠い日本の駅で食べたNoodleの味を懐かしく思い出してくれたらいいな…


さて、そろそろ「フラノラベンダーエクスプレス」の出発時刻。
「フラノラベンダーエクスプレス」はラベンダーが見頃のシーズンを過ぎた後もそのまま秋まで運転を続ける観光特急。
以前はJR北海道は観光特急に積極的で、富良野系統だけでなくトマムやニセコ方面にも多数の観光特急を走らせていたが、昨今の経営危機の影響で今期はこの「フラノラベンダーエクスプレス」のみとなっている…寂しい。


富良野駅16:51発、札幌行き観光特急「フラノラベンダーエクスプレス4」号が入線!


「フラノラベンダーエクスプレス」に使用されているのはJR北海道の観光列車「ノースレインボーエクスプレス」車両。

運行開始が平成4年なので、もうかなり古い車両なのだが、それを感じさせないバブリーな雰囲気の車内。
自由席車もグリーン車並みのハイデッカー(というかこの3号車は完全な2階建て車両)で、乗り心地は素晴らしく良い。
でもこの通り、富良野駅発車時点では自由席車はガラ空き、もったいない…


3号車の1階にはビュッフェとラウンジを備える。
昔のJR北海道が運行していた寝台特急「北斗星1・2」号の小さなロビー室を彷彿とさせる雰囲気。


せっかくなのでビュッフェでコーヒーとケーキのセットを買って、ラウンジで頂きます。

それにしても、これだけ立派な列車を運行しているのに利用者が少なすぎるのが気になる…
やはり、危機的状況にあるJR北海道を支援するという意味でJR九州のデザイン顧問・水戸岡鋭治氏に列車とサービスを総合的にリニューアルしてもらった方が良いのではないか?
…と簡単に言ってるが、実際そういう事って可能なのかな?でも見てみたいぞ、水戸岡デザインに生まれ変わった「ノースレインボーエクスプレス」!




2階の座席に戻ると、ビュッフェからアイスクリームのケータリング販売があったので売り上げ貢献のためにラベンダーアイスクリームを購入。
新幹線のアイスクリーム程スゴく堅くなくて、程良くやわらかくて美味しいアイスだった。


18:46、「フラノラベンダーエクスプレス4」号はすっかり暗くなった札幌駅に到着。
すぐに旭川行きの特急ライラックに乗って引き返す。


午後8時半、旭川に帰ってきた。
これで5日間有効の「Peachひがし北海道フリーパス」を使い切った。有効期間最終日の今日は徹底的に乗り鉄したので、かなり元を取って得したようで気分が良い(笑)

明日は夕方まで旭川に滞在するので気が楽だ…おやすみなさい。

その6に続く

2018 平成最後の夏休み、北海道旅行 その4

2018-09-09 | 旅行記:2018 夏休み北海道

その3からの続き

平成30年8月14日


昨夜は釧網本線沿線の斜里郡清里町にある温泉センター併設のホテルで一泊。
久々に温泉大浴場に入れたので随分リラックスできた。


朝からまた温泉に入り、ホテルの送迎車でJR清里町駅まで送ってもらい、10:59発の網走行き快速「しれとこ摩周号」で出発。
ホテルの人によると冬の時期は冠雪した斜里岳の眺めが素晴らしいとのこと。この次は是非、冬に来たいものだ。

「しれとこ摩周号」の車内は観光客でほぼ満席だったが、座席に荷物を置いて占有している乗客に注意して荷物を網棚に上げさせ、何とか座ることが出来た。
終点の網走駅には1時間足らずで到着、ここで特急「大雪4」号に乗り継ぐ。




特急「大雪」は網走から札幌までを直通運転する特急「オホーツク」を途中の旭川駅止まりに運行変更して登場した特急列車だが、旭川で運行を打ち切ったのは老朽化したディーゼル車両の走行距離を短縮して負荷を減らし、延命と整備のコストカットを図る為という何とも消極的というか緊縮的な理由なので、「大雪」という伝統ある国鉄時代の名門急行列車の愛称が復活したのも素直に喜べない…

それでも、この乗車率の低さを見るとそれもやむを得ないかという気持ちになる。
夏休みの観光シーズン真っ只中だというのに、自由席車はガラ空き。わざわざ1両の車両の半分を自由席と指定席とに分けている意味もあまり無いような…

自由席がガラ空きで快適だけど何とも寂しい特急「大雪4」号は網走駅を12:35に発車。
小雨の中を走り続けて、50分ほどでオホーツク地方の中心都市の北見に到着。空いていて快適なのでもっと乗っていたいけれど、ここで下車する。

北見駅前のビジネスホテルに荷物を預けたら、観光案内所で路線バスの時間を聞いて北網圏北見文化センターにプラネタリウムを観に出発!
…晴れていたら、北見の街並みを見ながら歩いて行くつもりだったんだが。
オホーツク道央プラネタリウム巡り 北網圏北見文化センターと旭川市科学館サイパル

プラネタリウムを観終える頃には雨も上がっていたので、さっき特急「大雪」で通った北見駅へと続く石北本線の高架橋沿いの道を歩いて駅前のビジネスホテルに戻り一休み。
このビジネスホテルにも温泉大浴場があるらしいが、その前にもう一度北見駅へ。


夕刻17:41に発車する網走行きの普通列車に乗って網走へと引き返す事にする。
石北本線の普通列車は国鉄型のキハ40、正統派の鈍行列車だ。


夏休み期間中だが、部活帰りの高校生や帰宅する通勤客も乗る時間帯の列車だからか2両編成に増強されている。


高校生たちに混じって北見駅を出発…
北海道の鈍行列車の、旅のお供はやっぱりこれ(笑)


途中の駅では、降ったり止んだりの小雨模様の中で駅前屋内型盆踊り?を開催中。
北海道では盆踊りもこういうスタイルなのか。

網走で釧路方面行き普通列車に乗り継いで、やって来たのは…


釧網本線原生花園駅
オホーツク海に面した砂丘にある小清水原生花園に最寄りの、初夏から秋にかけての観光シーズンのみ営業する臨時駅だ。
観光客が利用しない深夜帯の列車も通過してしまうので、さっき降りた19:16の列車が本日の釧路方面行き最終列車となる。



最終列車から降り立ったのは僕一人。駅のプラットホームにまで、真っ暗闇の砂丘の向こうからオホーツク海の波の押し寄せる音が響いてくる…
あの波音の向こう、暗いオホーツク海の向こうはもう樺太とロシアだ。
今年の夏休みは、ここまでやって来た。今度の冬の旅ではあの海の向こうへ行こう、ロシアへ!

という訳で、原生花園駅で年末年始に予定しているロシア・モスクワ旅行への決意を新たにしたのであった。
…もっとも、ここから見えるオホーツク海の“向こう側”はロシア極東の沿海州とシベリア地方であって、モスクワとは方向がまるで違うのだけれどもね(笑)

誰もいない夜の原生花園駅に滞在することおよそ8分、今度は網走方面行きの最終列車がやって来る。
本当は波打ち際まで行ってオホーツク海の水に足先を浸してみたかったのだが、何しろ駅から砂丘に続く道には灯りが全く無くて危険なのと、時間も無くてもし最終列車に乗り遅れたら大変なことになるので諦めてこのまま網走へと戻る。
でも、夜のオホーツク海の波音をじっくり聞けたので満足だ。


北見へと戻る普通列車の停車駅…西女満別駅は確か女満別空港の旅客ターミナルビルに最寄りの駅だった筈だが、空港アクセス駅という訳では無いみたい。
この駅で降りて空港に行く人なんて年間何人いるんだろう?


午後9時前、北見駅に戻ってきた。
さあ、ホテルで温泉大浴場に入ってから寝よう!おやすみなさい…

その5に続く

2018 平成最後の夏休み、北海道旅行 その3

2018-09-08 | 旅行記:2018 夏休み北海道

その2からの続き

平成30年8月13日


今日は朝から釧路駅前のビジネスホテルをチェックアウトしたらそのまま荷物を預けて、釧路駅前のバス乗り場から釧路市内線の路線バスに乗って行動開始。
釧路市郊外の大型スーパー前のバス停で下車して、向かった先は…


何やら鉄道線路が敷かれた工場のような場所。


社員駐車場の奥に、鉄道車両が見える。

ここは、日本で唯一の石炭貨物列車が走る太平洋石炭販売輸送臨港線春採駅
これまた日本で唯一の炭鉱での石炭採掘事業を行っている釧路コールマイン株式会社の春採選炭工場に隣接しており、太平洋の海底地下から採掘された石炭をそのまま貨車に積み込めるようになっている。



現在、太平洋石炭販売輸送臨港線では「海底炭鉱から選炭工場に石炭が出てきた時だけ」石炭貨物列車を走らせるという運行ダイヤになっているらしく、日本唯一の石炭貨物列車の走る姿を見られるかどうかは運次第。
しかも原則、休日は運休となるそうなので、夏休み中でお盆休み期間真っ只中の今日は石炭貨物列車は走っていない事は最初から分かっていた。

それでも、日本唯一の石炭貨物列車が走る鉄道を線路だけでも見てみたくて、こうしてやって来たという訳。





石炭貨物列車は走っていないが、それでも運が良い事に春採駅構内の側線にエンジンを停止したディーゼル機関車に連結された石炭車の長い編成が留置されているのを踏切から間近に見ることが出来た。


留置線に沿ってショッピングセンターの裏道のような場所を歩いて、日本唯一の現役の石炭車を敷地外の公道からじっくりと眺める。

太平洋石炭販売輸送では石炭輸送の徹底した効率化を行っており、石炭貨物列車は全て前後2両のディーゼル機関車で石炭車を挟み込んだプッシュプル編成を組み、選炭工場のある春採駅と石炭積出港のある知人駅との間でシャトル運行を行っている。
また、石炭車は2両1ユニットの連接車となっており、貨車では極めて珍しい2両で3つの連接台車を有する構造をしていることがわかる。


線路沿いに歩いていくと、春採湖の湖畔に出た。
釧路市内にあるとは思えないほど自然豊かで静かな場所で、湖の向こう岸の丘の上には天文台や釧路市立博物館の建物も見える。


湖畔に太平洋石炭販売輸送臨港線の線路は続く。
ちょうど線路沿いにトレッキングコースもあるので、このまま線路に沿って歩いて行く。


線路は続くよ、春採湖に沿ってどこまでも…


森の中も線路は続く…


やがてトレッキングコースは跨線橋で線路を見下ろす場所に。


ここを走る石炭貨物列車を見送れたら最高だろうなぁ…


春採湖畔を過ぎると、今度は太平洋の海岸に出た。


太平洋石炭販売輸送臨港線は僅か4キロの路線だが、その沿線は都市近郊から緑豊かな湖畔、そして太平洋の沿岸と実に変化に富む事が線路沿いに歩くとよく分かる。
海沿いの線路は霧の彼方へと消えて行った。今度は石炭貨物列車が走ってる日にまた来たい。



太平洋岸から釧路駅まで歩いて戻る。
途中、幣舞橋の上からは釧路港に接岸している帆船「海王丸」の姿が…

釧路駅前のビジネスホテルで荷物を受け取り、次の目的地へと列車で出発。


乗車するのは観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」


大きすぎる車窓からの風が吹きさらしの、木のベンチシートは釧路湿原に向かう観光客に大人気…
でも、今日乗るのはこのトロッコ車両ではないぞ。


僕が乗るのはくしろ湿原ノロッコ号に1両だけ連結されている、一般形車両の自由席車。

…今や北海道で唯一の国鉄型普通列車用客車50系51型が、車内がほぼ原型を留めたままで使用されているのだ!
昔ながらの小さめの二重窓を全開にして吹き込む風は、トロッコ車両よりも心地よい本物のノスタルジックにあふれている…と感じるのは鉄道愛好家だけか(笑)

13:35、「くしろ湿原ノロッコ4号」は釧路駅を発車。
かつて太平洋石炭販売輸送臨港線の前身である釧路臨港鉄道が昭和61年まで乗り入れて旅客輸送も行っていた東釧路駅を過ぎて根室本線から釧網本線に入り、一路、釧路湿原を目指す。


釧路湿原の中に入った!
釧路川の洪水対策として設置された岩保木水門が車窓に見える。


日本離れした風景の中を走る。


「くしろ湿原ノロッコ号」の車窓に蛇行する釧路川が見えてくると、終点の塘路駅は近い。
カヌーと手を振り交わしながら終着駅へ…


14:17、塘路湖にほど近く釧路湿原の観光拠点となっている塘路駅に到着。

「くしろ湿原ノロッコ号」はここで折り返して釧路に戻るが、僕は後続の網走行き普通列車に乗り継いで釧網本線をさらに進んで清里町駅まで行き、今日の行程を終了する。
お疲れ様でした…

その4に続く

オホーツク道央プラネタリウム巡り 北網圏北見文化センターと旭川市科学館サイパル

2018-09-08 | 宇宙

北海道のオホーツク海沿岸地方で唯一のプラネタリウムがある北見市の北網圏北見文化センター
文化センターと名乗っている通り、プラネタリウムのみならず科学館と博物館、そして美術館も備えた総合文化施設です。





※記事中の写真・動画は北網圏北見文化センターの許可を得て撮影・掲載しています

科学館の展示物には、こんな凄いものも。




なんと日本のN-Iロケットの模型です!
JAXAの全身、宇宙開発事業団(NASDA)が1975年から1982年まで打上げていたロケットで、日本初の静止衛星「きく2号」を1976年2月に打上げた実績を持っています。
…しかし、いかんせん古い世代のロケットなので最近は科学館等の展示でも見かけることは殆どありません。僕もN-Iロケットの模型展示は初めて見ました。一体いつ頃から展示されているんだろう?


しかもこのN-Iロケットの模型、可動式で動きます!
種子島宇宙センター大崎射点(中型ロケット発射場)の、今は無き移動式組立棟が実物同様に移動して打上げを控えたN-Iロケットが姿を現します。

…僕は既に赤錆びた廃墟となった姿の大崎射点の移動式組立棟しか見たことが無いので、現役時代の動く姿を見るのもこれが初めて。
まさか種子島から遠く離れたオホーツクの科学館でそれを見ることになるとは…


さらに、こんな展示も。月の石!
まさかこれも遠く離れた九州の、先日惜しまれつつ閉園したスペースワールドに展示されていたものを持ってきたのでは…(ということはさすがに無いでしょうけど、特にレプリカである旨の解説も見当たらなかったので、もしかしたら…?)

北網圏北見文化センターには他にも先史時代からアイヌ文化、北海道開拓期の豊富な展示を持つ博物館もあり、プラネタリウムの開演を待つ間も飽きることがありません。
そろそろ投影開始なのでプラネタリウム室へ…





北網圏北見文化センタープラネタリウムの直径15mドームに鎮座する投影機、1984年式の五藤光学研究所GMⅡ-AT
僕の地元の熊本博物館プラネタリウムの初代投影機GM-15-ATの同系列の後継機で、スタイルもよく似ているので親しみを感じます。


美しくライトアップされた投影機。


プラネタリウムドーム内には小さい子供が投影中に怖くならないようにぬいぐるみも完備。


プラネタリウム鑑賞後は、こんな素敵な店名の館内カフェで寛ぐことも出来ます。

光学式の投影機のみならず全天周映像にも対応しているので、最新の全天周映像作品も楽しむことが出来る北網圏北見文化センタープラネタリウム。
流氷観光等でオホーツク海沿岸地方に足を伸ばすことがあれば、一度訪れてみてはいかがでしょうか?


続いては北海道第二の都市旭川にある日本最北のカールツァイス・プラネタリウム設置館、旭川市科学館サイパル





直径18mドームの中央に鎮座まします投影機はカールツァイス社製ZEISS STARMASTER ZMP
カールツァイスの中型ドーム用投影機の最新型標準機ですが、日本で導入しているのはここ旭川市科学館サイパルだけです。






プレートに刻まれた番号は578。


日本唯一のカールツァイスSTARMASTER ZMPの能力を遺憾なく発揮するのは、生解説の一般番組投影回。
一時間以上待ってでも観る価値があります。


上映待ち合わせの場所となるプラネタリウムドーム外周には、STARMASTER ZMPのメンテナンスの為に本国ドイツのカールツァイス社から専門の技師(マイスター)が訪れた際の写真も貼り出されていました。
これも必見!


そしてしっかり全国プラ「レア」リウム33箇所巡りのポスターも。
旭川市科学館サイパルは第2番札所です。



プラネタリウムドームのエントランスには、先代の投影機も保存展示されています。
先代機もカールツァイス社製…いや、ドイツが東西に分けられていた頃に当時の東ドイツにあったカールツァイス・イエナ社製の名機ZKP-1!



小型ドーム用のプラネタリウム投影機の決定版として大量に生産され、共産圏だった東ドイツから世界各国に輸出されたZKP-1。
今でも東欧や旧ユーゴ諸国では現役で活躍している姿をよく見かけますが、日本ではここ旭川市科学館サイパルの全身である旭川市青少年科学館と、岐阜市の「岐阜プラネタリウム遊園地」に納入された2機のみです。


ZKP-1のプレートに刻まれた番号は165。
ちなみに岐阜のものは73とのこと。

最新型のSTARMASTER ZMPと古典名機ZKP-1、2つのカールツァイスに出会えるプラネタリウムが旭川市科学館サイパル。
まさに最北の聖地です!


ZKP-1の向かいには、旭川市天文台で使われていた望遠鏡も展示されています。

旭川市科学館サイパルでは屋上に2つの天文台ドームを備え、天体観測会も実施されています。カールツァイスSTARMASTER ZMPでファイバーオプティクスの星空を観た後は、屋上で本物の星を見るなんて最高ですね!
…あいにく僕が行った日は雨が降っていたけど。
よし、また行こう。今度こそ旭川市科学館サイパルで2つの星空を見るぞ!

皆さんも是非、北海道で素敵な星空巡りの旅を!

2018 平成最後の夏休み、北海道旅行 その2

2018-09-02 | 旅行記:2018 夏休み北海道

その1からの続き

平成30年8月12日


今日は帯広駅9:26発の特急「スーパーおおぞら1号」で出発。
帯広から釧路方面へと向かう朝一番の優等列車で、なおかつ札幌始発の朝一番の釧路直行特急なので自由席の混雑が心配だったが、2両連結されている自由席車の乗車率は帯広での若干の下車客もあり50%ほど。
自由席乗り放題フリーパス所持者としてはゆったり座れるのでありがたいが、夏休みの観光シーズンにこれで大丈夫かJR北海道…と不安になりながら帯広駅を発車。




「スーパーおおぞら1号」は十勝平野を抜けて太平洋岸に飛び出し、そのまま海沿いを終点の釧路までひた走る。

かつてはディーゼル特急として日本最速の最高速度時速130キロを誇り道東まで駆け抜けていた「スーパーおおぞら」だが、度重なる車両トラブルと事故で減速を余儀無くされ現在の最高速度は時速110キロと少々物足りない。
それでも富士重工業製高性能気動車キハ283は制御付き自然振り子式車体傾斜装置を存分に活用して車体を大きく傾けさせて海沿いの曲線区間を走破、以前と変わらぬJR北海道特急らしい“攻撃的な走り”を見せてくれた。

午前11時に釧路駅に着いたら、駅前のビジネスホテルに荷物を預けて釧路市こども遊学館へプラネタリウムを観に行く。
日本最東端プラネタリウム巡り 釧路市こども遊学館と厚岸町海事記念館

プラネタリウムを観たらすぐに釧路駅に引き返し、13:25発の根室行き普通列車に乗車。




釧路駅を出て市街地を抜けると、すぐに「最果て感」が漂い始める根室本線の車窓…




車窓に厚岸湾が見えてくると、厚岸駅に到着。




厚岸駅で下車する。

厚岸は漁港の町で、牡蠣やサンマ等の豊富な海産物や最近では国産ウイスキーの蒸留でも知られているが、僕の目的はここでもプラネタリウムだ!
日本最東端プラネタリウム巡り 釧路市こども遊学館と厚岸町海事記念館


午後5時、プラネタリウムを観終えて再び厚岸駅に戻ってきた。
これから釧路に帰ってホテルでゆっくり風呂とメシ…というのはもったいない。せっかく日本最東端のプラネタリウムを求めてここまで来たのだ、こうなったら鉄道の日本最東端も目指すぞ!

という訳で厚岸17:11発の根室行き普通列車に乗り込み、さらに東へ!


次第に暮れなずむ根室本線を一路東進!
…しかし、あちこちで野生の鹿が線路内に侵入していて度々急停車。見通しの悪いカーブの先には必ずと言っていい程、鹿が入り込んでいる。
幸い衝突事故は起こさなかったが、列車は遅れるし急ブレーキを掛け続ける運転士さんの心労も大変なものだと思う…本当に大変だ、JR北海道。


車窓に再び太平洋が見えてくると、最果ての街・根室が近い…


午後7時前、東根室駅に到着。
根室本線は一つ先の根室駅が終着駅だが、この東根室駅が日本最東端の駅である。
これで今日はプラネタリウムに続き、鉄道駅でも日本最東端を制覇した事になる。




東根室駅を発車していく根室行き列車。
この先で根室本線は西に向かってカーブし、根室の市街地方面へと続いている。




夏の日が暮れた最東端の駅に佇む…

しかし実際には東根室駅は根室市内の住宅地のド真ん中にあり、駅周辺には普通に団地や住宅が建ち並んでいて“最果て駅の風情”等というのもは皆無なのだ(笑)
それに近所の住人からは交通機関としても無視されている駅らしくて、列車を降りて自宅に向かうような乗客の姿も全く無い。駅にいるのは僕も含めて数人の「鉄道ファンか観光客」のみ。

やがて駅のすぐ隣りにある家で住人の子供たちが庭に出て花火で遊び始めた。
夏休みの家族の日常風景と最果ての日本最東端駅が隣り合わせに同居する、なかなかシュールで妙に情緒ある光景だった…


最東端の駅で過ごすこと約20分。
さっき降りた列車が根室駅で折り返して、釧路行きの最終列車になって再び東根室駅にやって来た。
今日はこの列車で釧路に戻って終了。午後9時半過ぎには釧路に着く、そしたらすぐホテルで風呂に入ろう…等と考える間もなく、ガラ空きの最終列車の座席で眠りに落ちた。

さて明日は何をしようかねぇ。

その3に続く

日本最東端プラネタリウム巡り 釧路市こども遊学館と厚岸町海事記念館

2018-09-02 | 宇宙

北海道東部には、2つの“日本最東端のプラネタリウム”があります。
今年の夏休み、その2つの最東端をはしごして巡ってきました。

1つ目の最東端は、釧路市こども遊学館





JR釧路駅からも徒歩圏内、釧路市街地の北大通や有名な観光地である幣舞橋界隈にも程近い場所にある釧路市こども遊学館。
ドーム直径15mのプラネタリウムを備え、日本プラネタリウム協議会(JPA)に加盟しているプラネタリウムとしては日本最東端にあります


釧路市こども遊学館のプラネタリウム入り口。
スターエッグという愛称が付けられています。




これが釧路市こども遊学館のプラネタリウム投影機。
世界で初めて設置された、そして現在世界唯一のコニカミノルタ社製GEMINISTARⅡで、光学式投影機INFINIUM Sと電子式投影機Digistar Ⅱを組み合わせたもの。
現在Digistar Ⅱを投影しているのも、日本ではここ釧路市こども遊学館だけです。
その希少性から、釧路市こども遊学館のプラネタリウムは全国プラ「レア」リウム33箇所巡りの第3番札所に選ばれています。




ドーム内には全国プラ「レア」リウム33箇所巡りの案内ポスターが…っていうか一番目立つド真ん中に明石市立天文科学館のブラック星博士の姿が!?(笑)


こちらはドーム内に展示されていた先代(釧路市青少年科学館)の投影機、五藤光学研究所製のGX-10-T。
投影機を分解した状態で展示しているのは珍しいかも。


小さい子供が投影中に怖くならないように用意されたぬいぐるみ。
こども遊学館と名乗るだけあって、細やかな心遣いですね。

さて釧路市こども遊学館の投影は、星空解説とオリジナル番組の上映というスタイル。
オリジナル番組は職員の方と地元劇団との協働による手作りで、熱心にプラネタリウム運営に取り組んでおられる姿勢が伝わってきました。
ちなみに僕はこの日「軌道星隊シゴセンジャー」のTシャツを着ていたのですが、職員さんから一目見るなり「あっ明石から来られたんですか?」と言われた…プラネタリウムファンを見破る眼力も恐るべし!




プラネタリウム投影を終えてドームの外に出ると、手作りの小惑星探査機「はやぶさ」の1/2模型が。
細部まで作り込まれていて、よく出来ています。


よく見ると「はやぶさ」だけではなく金星探査機「あかつき」やソーラーセイル「イカロス」の姿も。


釧路市こども遊学館の館内から見下ろすプラネタリウムドーム。
ドーム外殻が白くて丸いので、スターエッグという愛称の通り大きな卵のように見えます。
建物にすっぽりとドームが収まっていて、ニューヨークのアメリカ自然史博物館ヘイデン・プラネタリウムによく似た印象です。


螺旋の通路が巡る吹き抜けの空間もあり、こちらはニューヨークのグッゲンハイム美術館にそっくり。

釧路でニューヨークを感じる意外な感覚を味わったら、JR釧路駅から根室行きの列車に乗って次の最東端プラネタリウムへ出発。




釧路から列車で約1時間足らず、厚岸駅で下車して漁港方面に向かい20分ほど歩くと厚岸町海事記念館に着きます。
ここに本日2つ目の最東端プラネタリウムがあるのです。

厚岸町海事記念館のプラネタリウムは日本プラネタリウム協議会(JPA)に加盟していないのですが、
ここが地理的には正真正銘の日本で一番東の端にあるプラネタリウムです!



受付で入場料金を払う時に入館者アンケートの記入を頼まれて、『どこから来たか』の欄に『厚岸町外・北海道外・その他(熊本県)』と記入すると「えええっプラネタリウム観るために九州から来られたんですか!?」とびっくりされ、「ちょっと待ってて下さい、今プラネタリウムの担当者を呼んできますから!」とわざわざプラネタリウム担当の職員さんに挨拶までされてしまい、なんだかかえって申し訳ない気分に。


プラネタリウムの投影が始まるまで、館内の展示を見て回ります。
さすが厚岸は漁業の町だけあって、海の仕事に関する展示が豊富で興味深いです。漁業用の各種エンジン類や実物の漁船の操舵室を丸ごと展示なんてのもあります。


厚岸では捕鯨も行われていたそうで、捕鯨船から撃ち込む銛(捕鯨砲)やクジラの髭も展示されています。


プラネタリウムがあるので宇宙科学に関する展示コーナーもありますが、これが何ともレトロな雰囲気…
でもきれいに整備されていて、とても状態が良いです。


投影時間になったのでプラネタリウム室へ。




厚岸町海事記念館プラネタリウムの投影機。
五藤光学研究所GX-T
昭和63年に厚岸町海事記念館が開館した時以来ずっと使われている機種のようです。


コンソールから見たドーム内と投影機。


この日はお客が他にいなかったので特別に許可を頂いて、投影中の様子も撮影させて頂きました。
この風景画像は実際にドームのてっぺんによじ登って撮影した写真をもとに描き起こしたそうです…と、ここで遅れて来た子連れのお客さんが急遽入室、投影プログラムも子供向けのものに差し替えられました。
この良い意味での緩さというか臨機応変さ、いいですね!
ここは是非また来たい、そう思わせてくれる厚岸町海事記念館プラネタリウムでした。

…以上、夏休みの“2つの日本最東端のプラネタリウム巡り”。
皆さんも北海道東部に旅行されたら釧路湿原や海鮮グルメもいいですが、時にはちょっと趣向を変えて日本最東端のプラネタリウム巡りなどいかがでしょうか?