mitakeつれづれなる抄

普段いろいろ見聞き感じ考え、そして出かけた先で気になることを書き綴ったブログです。

梨木神社と染井の水

2010年04月14日 | まち歩き

 京の三名水というのがあります。いや、あるそうな。京都盆地の地下にはうねうねと流れる水脈があるうちでの三名水。

 先日、上京区北之辺町の、約400年前に和泉式部縁の軒端の梅があった東北院(とうぼくいん)が、かつて建っていたという廬山寺の辺りをうろうろし、一通り撮影が終わって(門前を写しただけですが)寺町通りの反対側を振り返ったら、こんもりした森が。入ってみると井戸端に一人の女性が水を汲んでおり、傍らに剥げた説明板が。下の写真。

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 「染井」とあります。そこで思い浮かびました。以前読んだ麻生圭子さんのエッセイで、

  • 「御所の近くに住んだもの、そんな名水と知らず、夜中思うがままに闇の中を入ったら、犬が吼えて、宮司さんが起きて来られた」
  • 「そして夜中はポンプ止めてる」

という、そんな文章を思い出しました。そうか、これがその染井か。であるならば此処は梨木神社だった。

 染井の水です。そこにいた女性の話では、テレビなどマスコミで取り上げられることが多く(麻生さんのエッセイもマスコミか)、多い時には20人ぐらいポリタンクを持って行列をつくることもあるそうな。

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 井戸ですが、本来の目的は神社参拝の手水場(ちょうずば)です。

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 蛇口があり、普通に水も出せますがポンプで汲み上げているそうなので、使った方は賽銭箱にいくらか入れましょう。

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 ここの住所は上京区染殿町。「染井」の謂れは、染物の染料を落とすのにここの水を使うと色が綺麗に染まる、という事から来ているそうで、染殿町もその昔は染物屋さんが並んでいたのでしょうか。

 梨木神社の拝殿です。

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 御所のすぐ隣にあるので随分前から建っていると思いきや、右大臣三条実萬、太政大臣三条実美を祭神とする、京都としては明治18年創建の「とても新しい」神社だそうです。

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 拝殿の前景。左へ行く通路の先が染井の水。拝殿の傍から入りましたので、だんだん遠ざかって行く格好です。

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 参道途中の鳥居。

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 そして、御所清和院御門そばの鳥居にある神社額束。

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 京都市が設置した案内板。ちなみに此処は東西の短い通りである「広小路通り」が突き当たった場所です。広小路通りと見るとやはり名古屋市を連想するのは、やはり名古屋人だからか。

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 萩の花でも有名だそうで、これは夏の終わりに又来なければならない。

 御所と寺町通りに挟まれたところに梨木神社があり、この他に使い用も無い空間がいかにも京都らしいと言えばそれまでか。自転車がよく通ります。右の塀が御所。塀が切れている所が清和院御門。

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 京の三名水、三銘水かな。他の二つは、醒ヶ井と縣井。醒ヶ井は一旦は枯れたものの。下京区四条通醒ヶ井西入ル柏屋町の和菓子屋さん宅で湧いているそうです。縣井は御所北西部にあったそうですが、今は枯れてしまっています。

 染井で出会った女性も話していましたが、何も三名水に限らず、京都盆地の水脈が流れているところを掘れば、それは良い水に出合うそうで、「三名水」というのはどこか演出っぽい響きを感じますのは私だけでしょうか。・・・と言いながら私もブログ記事にしているわけで。