数あるポピュラー・ミュージックの中で、ぼくが最も好きな曲を挙げるとしたら、必ず五指に入るのが、プロコル・ハルムの「青い影」です。
この曲は1967年4月にリリースされると、発売後3週間で約40万枚を売り上げ、イギリスのチャートで6週連続No.1となる大ヒットを記録しました。全米での最高位は5位、他にもヨーロッパ各国でヒット・チャートを席捲しました。もちろん日本でもヒット、当時のGSがこぞってレパートリーに取り上げ、ゴールデン・カップスやズーニーヴー、スパイダースなどがレコード化しています。
「青い影」が収録されているのが、プロコル・ハルムのデビュー・アルバム「青い影」です。
ぼくがこのアルバムを買ったときは、ちょうどレコード盤からコンパクト・ディスクへの移行期で、このアルバムがぼくが生まれて初めて買ったCDということになります。
シングル「青い影」の大ヒット後、プロコル・ハルムはアルバム制作に取りかかりますが、レコーディング前にレイ・ロイヤー(ギター)とボビー・ハリスン(ドラム)が脱退します。
脱退したふたりに代わって加入したのはロビン・トロワー(ギター)とB.J.ウィルソン(ドラム)。ふたりともブリティッシュ・ロック史の中にしっかり足跡を残す名手です。
トロワーとウィルソンを加えたプロコル・ハルムはファースト・アルバムを制作するのですが、イギリス盤には「青い影」は含まれていません。
アルバムを一貫して覆っているのは、ほの暗くてミステリアスな雰囲気です。
非常に印象深いのは、ブルッカーの黒っぽくてソウルフルな歌声です。
要所要所で前に出てくるのがトロワーのヘヴィなギター。
そしてプロコル・ハルムの看板とも言えるのが、当時珍しかったツイン・キーボードです。
終始絡み合うブルッカーのピアノとフィッシャーのオルガンの織り成すサウンドは、「青い影」に見られる荘厳な雰囲気だけでなく、ブルースやジャズ、トラッド・フォークなど、ルーツ・ミュージックへの指向も伺わせます。
名曲「青い影」(原題を直訳すると「蒼白な」という意味に近い)の荘厳な雰囲気のイントロは、バッハのカンタータ140番「目ざめよと呼ぶ声あり」をモチーフにしたとされています。また一説にはパーシー・スレッジの「男が女を愛する時」にインスパイアされた、とも言われています。当時は「クラシックとR&Bが結婚して生まれた名曲」と言われていました。
今ではエレクトーンの教材に欠かせぬ曲です。またCMにもたびたび起用されているので、ほとんどの方がこの曲を聴いたことがあるのではないでしょうか。
ちなみに荒井由実は、この曲を聴いたことがきっかけとなって音楽を自作するようになった、ということです。
1970年代にはジョー・コッカーがこの「青い影」をスマッシュ・ヒットさせています。最近ではサラ・ブライトマンやアンジェラ・アキがカヴァーしているようです。
アルバム「プロコル・ハルム」(アメリカ盤)
シングル「青い影」
アルバムの主だった収録曲は、ホンキートンク調の「メイベル」、R&Bっぽい「クリスマス・キャメル」、ヴォードビル風の「グッド・キャプテン・クラック」、軽快な8ビートの「カレイド・スコープ」、オルガン主体で、ヘヴィなギター・ソロがフィーチュアされたクラシカルな「ヴァルプルギスの後悔」などです。「青い影」と「ヴァルプルギスの後悔」以外は、どちらかというとR&Bをベースにしたアメリカ指向のサウンドだと言えるかもしれません。
なお、「プロコル・ハルム」という一風変わったバンド名は、作詞したキース・リードの友人で、プロデューサーのガイ・スティーヴンスの飼い猫の名前から付けられた、ということです。
◆青い影/A Whiter Shade Of Pale
■リリース
アメリカ1967年9月、イギリス1967年12月
■歌・演奏
プロコル・ハルム/Procol Harum
■プロデュース
デニー・コーデル/Denny Cordell
■録音メンバー
【プロコル・ハルム/Procol Harum】
ゲイリー・ブルッカー/Gary Brooker (vocals, piano)
マシュー・フィッシャー/Matthew Fisher (organ)
ロビン・トロワー/Robin Trower (guitar)
デヴィッド・ナイツ/David Knights (bass)
バリー・J・ウィルソン/Barrie "B. J." Wilson (drums)
キース・リード/Keith Reid (lyrics)
------------------------------
アメリカ盤A01「青い影」のみ
ゲイリー・ブルッカー (vocals, piano)
マシュー・フィッシャー (organ)
レイ・ロイヤー/Ray Royer (guitar)
デヴィッド・ナイツ (bass)
ビル・エイデン/Bill Eyden (drums)
キース・リード (lyrics)
■収録曲
☆イギリス盤
A01 征服者/Conquistador
02 シー・ワンダード/She Wndered Through the Garden Fence
03 フォローイング・ミー/Something Following Me
04 メイベル/Mabel
05 セルデス/Cerdes (Outside the Gates Of)
B06 クリスマス・キャメル/A Christmas Camel
07 カレイドスコープ(万華鏡)/Kaleidoscope
08 サラダ・デイズ/Salad Days (Are Here Again)
09 グッド・キャプテン・クラック/Good Captain Clack
10 ヴァルプルギスの肖像/Repent Walpurgis
※ 作詞=キース・リード(①~⑩) 作曲=ゲイリー・ブルッカー(①~⑨)、マシュー・フィッシャー⑩
--------------------------------------------
☆アメリカ盤
A01 青い影/A Whiter Shade of Pale ☆
02 シー・ワンダード/She Wndered Through the Garden Fence
03 フォローイング・ミー/Something Following Me
04 メイベル/Mabel
05 セルデス/Cerdes (Outside the Gates Of)
B06 クリスマス・キャメル/A Christmas Camel
07 征服者/Conquistador
08 カレイドスコープ(万華鏡) ~サラダ・デイズ/Kaleidoscope~Salad Days (Are Here Again)
09 ヴァルプルギスの肖像/Repent Walpurgis
※ ☆=シングル・カット
※ 作詞=キース・リード①~⑩ 作曲=ゲイリー・ブルッカー②~⑨、ゲイリー・ブルッカー&マシュー・フィッシャー①
■チャート最高位
1967年週間チャート アメリカ(ビルボード)47位、イギリス26位
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私はアルバムは聴いた事がないんですが、下のオジサンズが並んだシングルを持ってます♪
あ、確か、サラ版、ジョー・コッカー版もあったかも。
アルバムもこういうタイプの曲が多ければ聴きたいですが、例の南部のオジサンたちのような曲なんですか?(汗)
アルバムって聴いた事なかったんですが、MINAGIさんのご紹介で、これまた聴いてみたくなりましたよ。
あ、やっぱり持っておられましたか。サラ版、コッカー版まで押さえておられるとは流石ですね(^^)
R&Bがベースになっているとはいえ、ハモンド・オルガンが全編にわたって活躍しているので、ギター中心の南部のオジサマたちのサウンドとはまた違った香りがしますよ。
このアルバム、アメリカ指向とはいっても、もろブルーズを演奏しているわけではなくて、やっぱりイギリスのバンド特有の暗さというか、クラシカルな部分も根っこにあるようなサウンドだと思いますよ。(^^)
小学校の頃、親戚のオネエチャンの家に行くと、いつも聴かせてくれました。当時は、洋楽とは思ってませんでした。
オヤジさんも小学生の頃からこれを聴いてたんですか。
ぼくはたぶん姉が習っていたエレクトーンの教本でこの曲を知ったんだと思います。いずれにしろ、ロック好きじゃなくても、どこかで耳にする名曲ですよね。
一人ではフロアーに居られませんからね^^;
いつからチークタイムの曲と決まったのでしょうかね?
ぼくは主に演奏の方でしたから、チーク・タイムは羨ましい気持ちでフロアーを見ながら弾いてましたよ(^^;)
「青い影」ってスローで雰囲気があるから、自然にチーク用の曲になったんでしょうか。
オンデンさんがチークタイムの時にひとりになるのってなんとなく意外です~。声かけられたりしたでしょ、本当は
私のブログのコメント欄にMINAGIさんのURLを入れといて下さい。リンクしますのでヨロシクです。
もしかしてコンピレイション・アルバムじゃないですか? レンタル・ショップで借りたことあります~。シリーズ化されてませんでしたっけ。収録されている曲も雰囲気のある佳曲ばかりですね。
>URL
了解いたしました~