METALTEACHER Blog

メタル好きの高校教師がいろいろ書いております。

Pagan Metal Horde vol.3

2018-05-14 20:56:54 | 日記
東京で遊ぶ時は、出来るだけイベントを重ねて入れるようにしている。例えば、芝居やライブなら昼に1本、夜に1本。映画なら1日で3本ぐらいは回れる。そしてその間に、こことあそこのラーメン屋に寄ろう・・・・・・なんて具合だ。今回はライブが17時開演だから、昼間に入れられるのは映画くらいか。で、いろいろ調べた結果、シネマート新宿で『タクシー運転手 約束は海を越えて』を見ることにした。
4月21日(土)、新宿でのライブ参戦はいつ以来だろう。もしかして・・・・・・新宿厚生年金会館?(古っ) 劇場や映画館、あと「ロフト・プラスワン」なんかはここ数年で何度も来ているのだが。で、今回の会場はHoliday Shinjuku。当然場所がわからないので、昼間に予め行ってみたのだが、目当ての番地あたりをグルグル回っても、それらしい看板が見つからない(ラブホテルやホストクラブはたくさんあるのだが)。で、「サムライミュージアム」という怪しい建物があるなー、と思っていたら、運良くHoliday Shinjukuの地味な看板と、地下2階に続く狭い階段を発見。いやー行っておいて良かった。映画の終了時刻からライブの開演まで余裕がなかったので、下手をしたら開演に間に合わなかったかもしれない。
ところで映画の方は、上映初日だったこともあり超満員。ここで予めチケット屋を何軒か回って前売鑑賞券(当日券より安い)を買い、その後、早めに映画館の窓口に行って座席を確保できたのは、我ながら適切な判断のおかげだった?(たんにセコいとも言える) 映画の内容は、1980年に韓国で起こった「光州事件」における、民衆への弾圧を世界に伝えようとするドイツ人ジャーナリストと、彼を乗せるタクシー運転手の物語だ。個人的には大満足、というか、ボロボロ泣けた。そして、このような作品を作れる韓国映画界は羨ましい、と思った次第。

さて、肝心のライブだが、フェスのタイトルに「ペイガン・メタル」とある。「ペイガン・メタル」とは、ヨーロッパにおける土着の宗教や文化を強くイメージさせるようなメタルのジャンルのひとつ。メロディについては、勇壮なものもあれば、エキゾチックなものもあり、また、歌って踊れる民謡みたいなものもある。メタル以外のジャンルでいうと、ワールド・ミュージックのそれに近いと思う。また、民族楽器を使ったり、毛皮を着たりするバンドも多い。
そんなクセのあるジャンルに対する人気は結構高く、この日のフェスは早い段階でソールド・アウトとなっており、開演前のフロアは既に観客でギッシリ埋まっていた。
さて、最初に登場したのは日本のALLEGIANCE REIGN。戦国武将をコンセプトにしているらしい。ライブのことを合戦と呼び、ステージ衣装は鎧姿、MCでも「・・・・・・でござる!」といった口調だったり、「エイエイオー!!」と勝ち名乗りを挙げたりしていたが、雰囲気としては売れる前の聖飢魔Ⅱに近い。メロディはSABATONやAMON AMARTHを彷彿とさせるが、ボーカルはハイトーン。歌詞は日本語にした方が良いと思う。
次に登場したのはベルギーのITHILIEN。メロディック・デスメタルに民族楽器を導入したフォーク・メタルといったところか。特にボーカルを挟んで演奏する二人の女性に視線が集まるだろう。一人はバイオリン。そしてもう一人は、丸っこい楽器を抱え、左手でハンドルのようなものをグルグルと回しながら、バグパイプのような音を出していたのだが、右手は観客に隠れてよく見えない(あとで調べたら「ハディ・ガーディ」という楽器で、右手は鍵盤を弾いていたのね)。もう一人、男性が民族楽器っぽい笛を吹いており、まさにヨーロッパの深い森の奥から聞こえてくるような雰囲気。ただし、これらの民族楽器が入らないパートになると、楽曲的には印象が弱くなりがち。ボーカルの力量も課題だと思う。
三番目のバンドはハンガリーDALRIDA。長髪、ひげ面に毛皮を着た兄ちゃんたちが登場。ボーカルは女性で、クルクル回りながら踊る姿に見とれてしまったのだが、ボーカル自体はいま一つ。ちなみに歌詞が英語でないのはまったく問題なし(ペイガン・メタルのボーカルは自国の言葉で歌うことが多い)。ステージングは堂々としていたし、楽曲も素晴らしかっただけに残念。
今回のフェスは東京で2日間、大阪で1日間行われたが、東京ではトリをORPHANED LANDとMYRATHが分け合い、この日のトリはMYRATH。というわけで、四番目に登場したのはORPHANED LANDである。彼らはイスラエルのメタル・バンドであり、デス、ゴシック、プログレッシヴの要素を持つ一方、中東独特のメロディ、弦楽器の導入、そしてボーカルの歌い回しにより強烈な個性を発揮している。特にこの日のライブで印象に残ったのは、フロントマンであるコビ・ファーヒ(Vo)の圧倒的な存在感だった。その巨体から発するグロウル、そしてこぶしを利かせた伸びのあるハイトーンがとにかく素晴らしい。また観客に対しては、変拍子のリズムを自ら手でたたいて合わせやすくしてくれたり、サビのメロディを歌わせたりして盛り上げようとする工夫が随所にみられた。セットリストに関しては、1曲目の”The Cave”で一気に最高潮に達してしまった感じがする。この曲は最新アルバム「UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS」のオープニング・ナンバーで、女性の静かな歌い出しからアラビア風のメロディにつながり、ノーマル・ボイス、グロウル、コーラスを繰り返しながら、終盤畳みかけるように劇的なエンディングを迎える、まさにアルバムの目玉となる楽曲である。ライブでは弦楽器が入っていなかったが、脳内で補完しながら彼らの作り出すサウンドに聴き入っていた。もちろん2曲目以降も十分堪能。このバンドはまた観たい。
ところで、この日のセットチェンジでよく流れていたのがRAINBOWの”Gates Of Babylon”。もちろん当日のラインナップに相応しいナンバーだ。それにしても、いつ聴いてもあまりに素晴らしい曲構成に、心を持っていかれてしまう。
そしてついに、MYRATHの出番・・・・・・なのだが、最初に出てきたのは何と、チュニジアのバンド、に合わせてセクシーな民族衣装を着た日本人のダンサー。妖艶な振り付けに、少なくとも俺の目は釘付けだ(たぶんほとんどの男性客も同じだと思う)。で、会場がヒートアップしたところでメンバーの登場とともに1曲目がスタート。このバンドもボーカルの存在感が際立っており、彫りの深い顔に髭を生やした見た目と、美しく伸びのある高音で、客席前方に陣取っていた女性ファンをえらく熱狂させていた。また、個人的にはギタリストの容貌とテクニックも印象に残った。一方、楽曲はORPHAND LANDより比較的コンパクトにまとまっており、セットリストがテンポよく進行していたと思う。そして合間には日本人ダンサーも登場し、サウンドのみならず、視覚的な演出も総合させて、ライブの完成度を高めていたのが素晴らしい。

ひさびさのかなり充実した1日に大満足。そして、新宿はやはり俺に合っている!

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