メン・ピン・タンゴ ツモっ!

南米のパリ、アルゼンチンはブエノス・アイレスで起こる
お洒落(?)な出来事を毒談と偏見で綴るブログ

タンゴ・モデルノ  マニアック・タンゴ用語辞典  

2009年04月28日 03時27分05秒 | マニアック タンゴ辞典
だいぶ前に書きかけてほったらかしだったので取り上げておこう。





「モデルノ」というのは「モダンな」という意味である。

つまり「今風の」ということ。 

古くない踊り方、今の人のセンスに合う踊り方を指している。







ブエノスの流行はブエノスに住んで踊っている人たちがタンゴ・シーンを見ながら「今風」かそうじゃないかを判断するわけだから時代とともに変わっていくもの。




いつの時代も流行があって踊り方は変わっていく。

もちろん「トラディショナル」だって変わっていく。
(じぃさん達と若いサロンダンサーの踊り方が違うのは流行が違うからだ。
踊っていた年代や通っていたミロンガによって踊り方が違うともいえる)



国や地区によっても流行ってるものは違うはずなので、ホントにまったく定義のない言葉だな。





だいたい、ミロンゲーロのじぃさん、ばぁさんから見れば現在のトラディショナル(伝統的)ショーダンスは無茶苦茶「ヌエボ(新しい)」「モデルノ(近代的)」だし、

1941年までのリズム全盛期に踊ってた人からすれば42年以降に流行したメロディー系の「タンゴ・サロン」だって「ヌエボ」「モデルノ」だろう。




あとは若い人の間でも状況によって使い方が違ったりもする。


「ヌエボ」という言葉自体が「変わった技」や「派手なコルガーダやボルカーダなどの技」&「それを多様した踊り」を示すようになってきたのでそれと区別するために使う場合もあるし、


「ヌエボ」という言葉が独り歩きを始めてしまい、

「ヌエボは身体の使い方が違う」「トラディショナルは上品、ヌエボは下品」

ずっとクローズでヌエボなことを一切しなくても柔らかい身体の使い方をしただけで
「あれはヌエボだ」

などという人が出始めたので、そういう先入観を持たせないように使っている人もいる。





注) 今はもう「ヌエボ」な技を使っているからと言って新しいわけでも流行に沿っているわけでもないのだ。










つまりこのブログで使っている「モデルノ」は、現在ブエノスで若者達が集まるミロンガやプラクティカに通っているオレや一緒に踊っているダンサー達が感じてる「今風」ってことだな。










じゃぁ、何が 「今風」なのか?










それは身体の使い方であったり、リード方法であったり、洒落た音の取り方であったり、もちろんステップであったりもする。







現在流行っているのは、お互いの身体に(精神的にも)負担のかからない身体の使い方、リードシステム、より「ナチュラル(オーガニック?)」な踊り方である。





これは昔からミロンゲーロ・スタイルだろうとタンゴ・サロンだろうとリード&フォローの上手い人はみんな同じ。


分野を問わず、ダンサーによっては「察知式、合図式」「手リード、パワーリードなどで踊る人がいる。
こういうリードシステムは「今風」ではない。

これはもちろん技術力の問題も大いにある。
理解していても出来るかどうかは別だし、理解度のレベルもある。






ミュージカリティーも今やフレーズ、楽器の音、その流れや勢いを取って踊るのは当たり前。
観客を盛り上げようと音楽を無視して勝手に盛り上がったりするのは
「今風」ではない。






男性、女性どちらのアドルノも相手や音楽をほったらかして自分だけが目立つようなようなこと
       ...  は時代に合わなくなった。

どちらも相手との駆け引きや調和、音楽 を楽しんで使っている。










あとやはり使う技、ステップにも流行り廃りがある。

10年、20年前に流行っていたようなことは現在はショーダンスでさえあまり使われない。


3、4年前まで流行っていたチチョやナベイラのようなあまりに派手なコルガーダ、ボルカーダ、アトラパーダなど、ヌエボヌエボな技もミロンガやプラクティカではもう見なくなった。

(こういう大技は時間や場所を取るので踊り場での即興ではかなりの技術力がないとカッコよく見えない、音楽に合わせて使いにくい、という理由もある)
今の時代は人に見せるための派手な技より、踊り自体を楽しむ ミュージカリティ」が優先 なのだ。


ヌエボ技でも4ta.サカーダのように使いやすい技はウルキサなどのサロン系の人たちの間でも流行っている。



もちろん昔から使っていて今でも古さを感じさせないで使えるようなステップも多くあるし、古い技を「今風」にアレンジして使うことだってある。









出来るかどうかは技術的な問題もあるので別として、どんなスタイルだろうがヌエボ技を使おうが使うまいが、

  時代の感性に合ってるかどうか?


という問題である。







つまりそういう分類があるわけでも、決まった踊り方、技などがあるわけでもない。






日本語で「モデルノ」という言葉を使い始めたのはオレなので、このブログを読んだ人が解釈を間違えて広まっているんだと思う。



たしかにヌエボな技や身体の使い方だけを見て

「トラディショナル」ではない = 「ヌエボ」 = 「モデルノ」 と取らえられやすいが、

前記したように 「ヌエボ」 という言葉はかなり強い固定イメージを持ち始めているのでそれとは区別したい、という考えである。











ま、ようするに 「今風」 ってことだ。



すぐにその時代の流行の良い部分は「トラディショナル」に取り込まれて新しい流行が出てくる。



流行り廃りをくりかえしタンゴは進化していく。 











ウルキサ・スタイルの本拠地、「スンデルランド」でタンゴを学び、
そのスンデルランドでクラスもやっていたブルーノ&マリアンヘレス



ウルキサ特有のシャープな動きではなく、一つ一つの動きが柔らかく、音に合わせて硬くなったり軽くなったりもする。
そして4ta.サカーダや小さいコルガーダなど軽いヌエボ技とサロン系の技を上手く組み合わせている。
ガンチョを3発入れて2歩で着地するところなどすごくシャレた音の取り方は大拍手もの。
最後のバリエーションの部分もショーダンサーのよくやるヤツだが動きが軽く、しつこくもないので古く感じさせない。


オレ的表現だと彼らの踊り方は

「モデルノ系(今風の)トラディショナル」 「モデルノ系(今風の)サロン」 などとなる。








クルバ!  アルセ & モンテス

2009年04月20日 02時51分40秒 | マニアック タンゴ辞典
もう大分前になるが、3月の頭にセバスチャン・アルセ&マリアナ・モンテスのクラスがあった。



去年の終わり頃からユーチューブ でチェックしてて2人ともすごく上手くなってて、ちょうどオレの中で旬だったのでナイスタイミング!


ブエノスでオープン(一般開放)のクラスをやるのは8年ぶりらしい。
もちろんオレは取ったことなかったのでめっちゃ嬉しかった。






でも場所が狭い上に床が悪く、メチャクチャ暑い上に当然のことながらスゴイ人だった ので最初の数回を逃してしまった。

クラスがあったのは月曜から土曜の6日間X2時間X2回。



ようやく行けるタイミングを掴んで行き始めたのが木曜日。
でもちょうどその日から腹痛になってフラフラしながらクラスを取った。




オールレベルとは言ってたがやってることは完全に上級者向けのクラスだった。
かなりムズかった。。。
しかし説明がすごく上手くてシークエンスが出来なくても聞いてるだけでもすごく勉強になる。

全部取りたかったな。。。








内容はすべてサロン系でヌエボなことやガンチョなど派手なことはいっさいなし。

テーマは 「クルバ」 (カーブ)。


直線状でやれば対して難しくない(難しいのもあった)シークエンスを曲線上でやる。








考え方としては、


すべての「曲線」は、「円」の一部。



円を描くためにはその中心点が必要。  「回転軸」

と回転する物体。     この場合「男性「女性 もしくは「2人
 
&回転方向。       「時計回り」もしくは「反時計回り」

2人とも回転するならその「位置関係」。        

あとは進行方向。    「前」「横」「後ろ」 




となる。

現在描いている曲線の動きが上記各項目のそれぞれがどれにあたるのか考えながら動く。








この円運動(曲線運動) は、なめらかに踊るための基礎になる。

直線の組み合わせだとカクカク になるでしょ。





どれだけ精密にそのときどきの回転軸にそって円を描けるか、
がリード&フォローの正確さともいえる。






簡単な例を上げれば、


普通に正面に組んでサロン(丸いサロンだとして)を反時計回りに男性が前進、女性が後進していれば回転軸はサロンの中心。
(大体のサロンは四角いので長いストレートの部分もある。コーナーの部分が円運動で向きを変えることになる)


「男性軸のヒーロ」は男性を中心(回転軸)に女性が前、横、後ろと向きを変えながら回転している。


etc...




この「クルバ」をひたすら6日間X4時間やったらしい。


ちょうどオレがクラスを取り始めた木曜日はマリアナの誕生日 だったらしく。
この日だけ最後にマリアナの好きなミロンガのステップ をやった。








というわけで「2XTANGO」の人も解説に「2匹のモンスター」と書いてるように、間違いなくタンゴの歴史に大きく名を残すこの 「超大物」 2人の踊りを今回は、


「クルバ」

を中心にビデオを良く見てもらいたい。 

すべての小さな曲線に対して上記の項目それぞれがどれ(どこ)になるのか、ということ。






セバスチャン・アルセ & マリアナ・モンテス







ちなみに比較対象はこちら。


ハビエル・ロドリゲス & アンドレア・ミッセ




この二組の踊りはすごく似てる。

やっぱり「クルバ!」







おまけの参照ビデオ。


アルセ&モンテス ワルツ




お気に入り振り付け

アルセ&モンテス ミロンガ





「クルバ、クルバ!」  





腰痛

2009年04月17日 09時29分54秒 | その他
去年、数年ぶりにエラい腰痛に悩まされて 

「踊る時の身体の使い方が悪いんじゃないか?」


などと思ったりもしたが実はチョー以外なところに原因があった。






1つはベッドマット。

どうもオレは中途半端にスプリングの強い硬いマットはダメらしく、新しいマットが体に合わなかったようでボロくてよれよれの古いマットにしたら大分楽になった。







2つ目はその硬いベッドで寝てる時に気付いたんだが、寝る姿勢に問題があったようだ。

オレはいつも右側を下にして寝ていた。
その寝てる時にすごく腰と肩を縮めて寝ていたらしく、それが硬いベッドで寝るとなおさら身体に負担がかかっていたようで、すごく肩が凝って腰が痛くなっていたというわけだ。


左側を下にしてあまり身体を縮めないようにして寝たとたんすごく楽になった。






けっこう気付かないところに原因ってあるもんなんやなー。


ン恋をした夜は

2009年04月06日 16時26分07秒 | アルゼンチンタンゴ
オレはミロンガが苦手である。


んにゃ。


苦手なタイプのミロンガがある。





なんか分からんけどちょーノリノリ に踊れる曲と結構よく聴いて知ってるはずなのにノれない曲がある。





ずぅ~っと、

「なんでやろう?」

と思ってた。






んで一昨年 Kumita と知り合ってよく一緒に踊るようになったんで分析 してもらった。




すると、簡単に結果が出た。




オレが苦手なのは小節の最初が休符で始まるリズム だった。(もちろんそれだけじゃないが)
1拍丸まる休みならまだマシだけど半拍とか4分の1拍とかの休符だとかなり難しい。

つまりミロンガで良く使われる「ン、チャ!、ン、チャ!」という後ノリタイプのリズムや
「ンタララ、ンタララ」などといったやつである。




そうそうピアソラのリーベルタンゴなんかもオレは、

「タララ、ララララッ、タララ、ララララッ」



と歌ってたのだが Kumita に



「ンタララ、ララララ、ンタララ、ララララ」


だと修正された。




実際当時はリーベルタンゴも踊りにくかった。
(今は踊り易いとか難いとか以前に完全に休憩時間)








そんなことを思いながら、


「それでもよく音楽聴けるようになったよなぁ~。
  昔はリズムってものの存在すら知らんかったのに。。。」



とカラオケブームだった暗い青春時代を懐かしんでいた。








                       








そうあの頃は、なんかあると絶対、カラオケ!」の時代だった。

控えめに言っても「ちょーオンチ」のこのオレ様にはツライ時代だったのだ。







酒も飲めないし唄も歌えないのに、事あるごとにみんなにカラオケ屋に誘われる。


こんなに苦痛なことはない。






「唄わなくていいから一緒に来い」



と無理矢理引っぱられ連れて行かれ、
ツマミをつつきながら他人がデキあがっていくのをボーっと見ているのだ。




しかも手拍子が叩けない(リズム感が悪すぎて)ので適当に合わせて叩いていると

リズム感のいいヤツに

「他人が叩くの見てから叩いてるから遅れてる」

などと突っ込まれる始末。
イヤイヤついて来てるのに。。。








結局、 酔っ払った連中に 


「ヘタでもいいから一曲唄えっ!」


と無理矢理歌わされて、笑えないくらいのオンチさにみんな引いてしまうのだ。




「言わんこっちゃない。。。」  




しかしサムくなるのは自分も一緒だった。。。













そんな折り、ある友達が

「この曲簡単だから歌ってみ。

と選んでくれたのが 江口洋介の「恋をした夜は」だった。







当時のカラオケはすでにガイド機能が付いていて、歌い始めの前に手印が出る&歌詞の色が変わっていくのだ。




音程は外しまくるがなんとかスピードには着いて行ける。

「ははっ、オレ様もこれくらいは歌えるのだっ!
                見たか、酔っ払いども!!」 


と調子にノっていたら、サビの部分で出遅れてしまった。


「あれっ?」 


と思って2番のサビがやってきた。

手印が出る。

しかし、、、


「あれっ? また出れない。 なんでや!?」 


結局、最後までサビの部分が合わずにいつも通りストレスだけが溜まってしまった。









そんなエピソードを思い出し、「もしや!と思いユーチューブチェーック!!






江口洋介 「恋をした夜は」








やっぱし!!

  「恋をした夜は」 は 「ン恋をした夜は」 だったのだ!!





またひとつナゾが解明!




でもいまだに上手く歌えん。。。 
(しかも自分では合ってると思ってた他のところも全部ズレてたようだ)





それにしても当時からキモいと思ってたロン毛の江口洋介、今見るともっとキモい。


役者としては大好きなんだが。。。







マリオ&アナベラ vs エステバン&クラウディア

2009年04月01日 08時48分27秒 | プラクティカ X
先週のデサフィオ、4番目の対決は


マリオ&アナベラ vs エステバン&クラウディア
http://desafiosmaestros4.blogspot.com/





一昨年も対決したこの2組。


エステバン&クラウディアのクラスを取ったことがなかったので今回はクラスから参加。


テーマは「エヘ&フエラ・で・エヘ」

「軸上と軸の外」
いわゆる「コルガーダ&ボルカーダ」である。
テーマがテーマだけに2組ともシークエンスのクラスだった。







しかし後半、

お互い少し離れて自分のまわりに空間を作ってその中で倒れない範囲(軸の中)で前後左右に動く。

自分の軸内での前後の体重移動とフォロワーのそれ、つまりリーダーの体重の位置を鏡映しにコピー(フォロー)することによって前傾、直立、バックバランス、で2人のバランスを取り合うというE&Cの説明がよかった。



                        



「エネルギー」の押し合い、引き合いで2人が助け合って(コネクトして)踊れるということ。

そしてこれが一人で立っていられないところまでいけば軸の外、コルガーダ、ボルカーダと呼ばれる。

軸内だとアブラッソの前傾~直立~バックバランスのポジションが決まるわけだ。








質問タイムではあまり質問がなかったのだが、エステバンがマリオたちに

「さっきの君たちのシークエンス、
        ここが難しいんだけどどうなってんの?」


と訊いていた。




これはすごく「エラいなー」と思った。



他人の作ったシークエンスをこなすのは難しい。
他のクラスなどでも出来ないことはほったらかして休憩してたりするダンサーが多い。
先生達もプライドがあるから出来ないところを生徒達に見られたくないもんね。




しかしエステバンはちゃんと出来ないところを皆の前で質問していた。
もう40歳といい年で名前もかなり売れているのに向上心があってエライと思う。

その後マリオも難しいところをエステバンに質問していた。










デモの先攻は
 マリオ・コンシグリエリ & アナベラ・ディアス オフマン


5年ほど前から組んでいる美男美女カップル。
アナベラは オレ・マイ・ベスト 美人タンゴダンサーズ の1人。
ちょー美人! 

マリオも柔道部系のガタイに甘いマスクの好青年。

ブエノスとシアトルを拠点に活動しているらしい。







素晴らしいミュージカリティーとテクニック!!

いつもデサフィオではとても完全即興とは思えないようなデモをする。











後攻は エステバン・モレノ & クラウディア・コデガ

よくタンゴシーンで使われる写真のモデル。

フォト・モンテレオネ 
http://www.photomonteleone.com/tango/


この頃は完全振り付けのショーダンサーだったがチチョやセバたちと共に練習することにより、インプロ能力を身につけた。
得意技はボルカーダ。

パリを拠点に活動していたが最近はブエノスに戻ってきている。



Esteban Moreno & Claudia Codega 1









  カンビオ・で・パレハ


今回のデサフィオではエステバンが最初からパレハ交代を申し出る。

かなり長い間交代状態で踊っていた。






4人とも2年前をそのままレベルアップ した感じ。

気になる人は2年前のユーチューブ チェックしてね。








そうそう今晩対決するはずだった チチョ&フアナ vs フリオ&コリーナ

フリコリがブッチしてただの チチョの即興ショー になってしまった。

みんな楽しみにしてたのに残念。。。。