ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国気功初体験事情

2010年10月25日 | 米国○○事情
生まれて初めて、気功というものを体験してきた。

旦那が仕事をしているオフィスは、うちから車で5分ぐらいの所の、大きなギリシャレストランの二階にある。
そこは、健康に関することならなんでもありまっせ~空間で、それと同じ階にある、ヨガや各種エクササイズをしている大部屋を借りて、マリアムという元ピアノ教師が気功を教えるというので、旦那と一緒にそのクラスを受けることにした。
マリアムには以前、彼女の自宅で行われている太極拳を教えてもらっていたのだけど、木曜日の夜というタイミングがどうしても合わずに尻切れとんぼになっていた。

薄暗い照明の中、中高年の男女7名、思い思いの服装で参加していて、どうも初めてというのは、大柄の黒人のおっちゃんとわたしだけの模様……とほほ。
でもまあ、太極拳に比べると動きがシンプルだし、彼女が言っていることもわかりやすいので、なんとかなるべ、と集中する。

海水をすくいあげたり波を押したり、月を引き寄せたり、大地、天からの良いエネルギーを体の中に取り入れては、いらないもの、悪いものと一緒に体の外に押し出す。
イメージすることがとても大切。
そういうのってけっこう好きな方だから、もしかしたら続けられるかもしれない。
旦那はというと、んなこと言われてもさぁ~と思う方なので、さてさていかに……。

今日教わったことは全部、わたしにとっては初めてのことだけど、中でも自分で自分の内臓を癒すための気功が一番興味深かった。
肺や心臓や腎臓や肝臓、それから消化器官のある場所に気を集中させて、ちょっと変わった動きをするのだけれど、それぞれに色と音が決まっていて、その臓器を癒すことは怒りや哀しみ、心配症やはしゃぎ過ぎを緩和するのだそうな。
前に少し、内臓と感情のつながりを学んだことがあったけれど、多分これも同じところからきている考え方だと思う。


さて、始めたからには、少しぐらい気功のことを知っておかにゃ~と、ウィキペディアを覗いてみた。

すると、なにやらとても恐ろしいことが書かれていておったまげてしまった。
『法輪功』という、1980年以降にできた宗教気功の中の一つの団体なのだが、共産党に批判的だったため、中国政府はこの法輪功を弾圧し、それが高じて1999年の法輪功事件に至った、という話。
この『法輪功』という名前を、もし中国で検索しようものなら、懲役を食らう可能性もあり、ということらしい。ししははちゃん、やっちゃだめだよ!

この政府による弾圧は今現在も続いていて、国連拷問特別調査官のノーワック氏の立ち入り調査書には、『法輪功学習者たちは、心不全を起こす薬物を注射され、臓器を摘出されている間、あるいはその後に殺害されている』と記載されていた。
ノーワック氏は、「強制労働収容所に監禁されている人の大多数は法輪功学習者で、彼らは裁判を受ける権利も与えられない。また、法輪功学習者は国内の拷問被害者の約3分の 2を占めている。これらの状況は、自分自身が中国から出た後も、まったく好転していない」と現在も訴え続けている。

新聞もウィキペディアも丸々素直に信じてはいけない、と重々承知だけれど、そもそも心身を癒すために行われている気功が、なにか思想や宗教観の違いでこんなふうに迫害を受け続けながらも、世界各地で根を広げていることに驚いている。
来週行ったら、彼女にこの『法輪功』のことを尋ねてみよう。