昭和の黒い霧・松本清張NO.３３・・・ドラマ「内海の輪」（出演：滝田栄）

■放送：１９８２年、ＴＢＳ
■監督：井上昭
■出演：滝田栄、宇津宮雅代、岡まゆみ、三ツ木清隆、他

主演の滝田栄は、どちらかというとはクリーンなイメージが強く大学の考古学の先生という役にはぴったりだと思います。ただ、一方で元兄嫁だった女と不倫を重ねて挙げ句の果てに殺人までを犯してしまう役でもあるので、欲望剥き出しのキャラでない分モチベーションとしての“動物的な部分”はあっさりしているようみ見えてしまいます。でも、案外そうしたキャラの方が実はスケベで粘っこかったりするのかもしれませんが。松本清張原作の「内海の輪」を映像化すると、一時間半の長さは長いのか、女子学生とのエピソードも新たに付け加えていました。

一方、蓬莱峡から落とされてしまうことになる美奈子を演じているのは宇津宮雅代。考古学者の宗三（＝滝田栄）と逢い引きを繰り返す年上の女を演じているから、その脂ののりはいろいろな点からいいんだけれども、如何せん口紅の赤さが気になります。一歩間違うと非常に下世話な女に見えてしまうことになりかねません。時代のファッションがそうであったのでしょうが、奈美子は情欲に乱れる女なのではありますが、家業の仕事もきっちりこなす、かしこい女性なのであります。真っ赤な口紅で足を組んで座って男を誘惑する様は色っぽくはあるのですが、奈美子という役柄を考えたときはどうなんだろうかと思ってしまいました。ちょっとやりすぎ感があるのは否めませんでした。

「内海の輪」は正直コメントが難しい作品だなぁと思います。話にさして変化がないといえば、ないような展開なので……。時間が長く感じた？メインは情欲に耽る男女でなので、そこを見たら後はどうしたらいいのって気になってしまいます。女子学生との不倫というエピソードを付け加えてはいるのですが、もっと変化がほしかったと思いました。

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