■日時:2009年12月19日(土)、14:00~
■劇場:ザ・スズナリ
■原作:寺山修司
■脚色・構成・演出:天野天街
■音楽:J・A・シィザー
■芸術監督:流山児祥
■出演:大内厚雄、伊藤弘子、栗原茂、木内尚、流山児祥、他
不思議なお芝居であったというのが正直な印象です。舞台上で行われていることは、現在・過去・未来の時間は交錯しているし、空間は捻れるように歪んでいる。時空間が溶解し自在に変化している。言葉までも意味が崩壊しはじめ自ら遊びはじめているようだ。そうしたことを表現するのに映画的といえばいいのか、映像の編集的手法を思わせるような方法を取り入れている。それによりこの時空間が溶解した難解なお芝居が歯切れのいいテンポを持ち得ているように感じました。
だからか、ボクはこのお芝居を見ていて、まるで映像の編集機のモニター画面を見ているようだなと思った。編集機は、コマ送りで映像を見せどこで映像を切りどれと繋げていくかをしていく作業をする機械とするのなら、舞台上で繰り広げられていることは、まさに編集作業がなされているかのようで、編集用のモニター画面を見ているかのような錯覚を呼び起こられる。だから場面は何度でも再現が可能でやり直すこともできるし、お芝居にしたって毎日演じる順番を変えることが可能なのかもしれない。いや、実際にパーツ、パーツの順番が変わっていたとしてもおかしくないのではないだろうか。
演出の天野天街は、寺山修司の原作「田園に死す」の構造を借りてきて、別のものを作ったのだと思う。“構造”だから夢の中の世界のように時間と空間が歪むが、たとえば寺山の作品によく見られる母親殺しとか、東北的な暗さ、恐山的な死生観、思春期の性への関心などは、ほとんど重点がおかれず断片的な要素にとどめられている。そこにはあまり関心がないようよといった風に。
圧巻であったのはラストの所。映画ではJ・A・シィザーの音楽「和讃」とともに新宿の街並みが忽然と現れるが、このお芝居は今まさに役者が演じ観客がいる劇場「ザ・スズナリ」の入口が舞台上に現れるのである。これにより出口のない夢幻空間を永劫回帰的に漂うしかなくなってくる仕掛けに陥ってしまう?これは天野天街による寺山修司の虚構世界への一つの解釈と見ればいいのだろうか?そう思うにはあまりにこの劇の構造が複雑なので、ボクなりの解釈が導かれないでいる。もしかしたら、同業者好み、演出家好みであったのかも。ボクは、ただただ不思議なお芝居であったという印象が残るのみで…。
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■原作:寺山修司
■脚色・構成・演出:天野天街
■音楽:J・A・シィザー
■芸術監督:流山児祥
■出演:大内厚雄、伊藤弘子、栗原茂、木内尚、流山児祥、他
不思議なお芝居であったというのが正直な印象です。舞台上で行われていることは、現在・過去・未来の時間は交錯しているし、空間は捻れるように歪んでいる。時空間が溶解し自在に変化している。言葉までも意味が崩壊しはじめ自ら遊びはじめているようだ。そうしたことを表現するのに映画的といえばいいのか、映像の編集的手法を思わせるような方法を取り入れている。それによりこの時空間が溶解した難解なお芝居が歯切れのいいテンポを持ち得ているように感じました。
だからか、ボクはこのお芝居を見ていて、まるで映像の編集機のモニター画面を見ているようだなと思った。編集機は、コマ送りで映像を見せどこで映像を切りどれと繋げていくかをしていく作業をする機械とするのなら、舞台上で繰り広げられていることは、まさに編集作業がなされているかのようで、編集用のモニター画面を見ているかのような錯覚を呼び起こられる。だから場面は何度でも再現が可能でやり直すこともできるし、お芝居にしたって毎日演じる順番を変えることが可能なのかもしれない。いや、実際にパーツ、パーツの順番が変わっていたとしてもおかしくないのではないだろうか。
演出の天野天街は、寺山修司の原作「田園に死す」の構造を借りてきて、別のものを作ったのだと思う。“構造”だから夢の中の世界のように時間と空間が歪むが、たとえば寺山の作品によく見られる母親殺しとか、東北的な暗さ、恐山的な死生観、思春期の性への関心などは、ほとんど重点がおかれず断片的な要素にとどめられている。そこにはあまり関心がないようよといった風に。
圧巻であったのはラストの所。映画ではJ・A・シィザーの音楽「和讃」とともに新宿の街並みが忽然と現れるが、このお芝居は今まさに役者が演じ観客がいる劇場「ザ・スズナリ」の入口が舞台上に現れるのである。これにより出口のない夢幻空間を永劫回帰的に漂うしかなくなってくる仕掛けに陥ってしまう?これは天野天街による寺山修司の虚構世界への一つの解釈と見ればいいのだろうか?そう思うにはあまりにこの劇の構造が複雑なので、ボクなりの解釈が導かれないでいる。もしかしたら、同業者好み、演出家好みであったのかも。ボクは、ただただ不思議なお芝居であったという印象が残るのみで…。
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