飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

永遠の妖女#57・・・「サロメ」(コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラハウス/指揮ドホナーニ)

2008-04-29 | サロメ
楽劇「サロメ」全曲

■指揮:クリストフ・フォン・ドホナーニ
■演出:リュック・ボンディ
■コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
■キャスト:キャサリン・マルフィターノ(サロメ)、ブリン・ターフェル(ヨカナーン)、ケネス・リーゲル(ヘロデ王)、アニア・シリア(ヘロディアス)他
■収録:1997年

舞台装置はシンプルで全体はどんよりと暗いイメージである。人物にスポットが当たるためか少数精鋭で進行していくイメージがあります。サロメを演じるキャサリン・マルフィターノは、中年太りがちょっと気になる小粒のサロメです。ヨカナーン演じるブリン・ターフェルはぶよっとしたアンコ型で原始人的なイメーが・・・。

音楽に疎いということもあり視覚的なところから入ってしまいます。その意味で見せ場である七つのヴェールの踊りでは、最初の段階で薄絹で透けた肌を見せてしまいやや興ざめです。やっぱり、だんだんとヴェールを脱ぎ捨てていくからこそ盛り上がりもあるわけなんで、最初から結果を見せてしまうのは面白さに欠けるよな、と思ってしまうのであります。また肝心の踊りのほうも、踊っているというよりはポーズをとっているという印象で、振り付けが悪いのか何なのかと。

しかしそれを埋め合わせるかのように別の側面からアプローチを試みており、サロメの官能性を強調していました。それは、まるで自慰をしているかのようなポーズで愛しいヨカナーンの名前をサロメは恋歌うのです。その官能性はヨカナーンを斬首した後も続き、サロメは高鳴る音楽とともにその足で生々しい首を何と踏みつけるのです。それはある種の極限の精神状態なのかもしれません。続いてサロメはヨカナーンの首を股の間に挟んで歌って見せたり、その首と戯れるときはヨカナーンに愛撫されているような動きをみせたり、その唇に接吻するときはヨカナーンと情交を交わしているかのような、そんな演技を見せていくのです。つまり象徴的な所作によってエロティシズムを喚起させる演出であったように見てとれました。そのサロメはラストにおいて、ヨカナーンが捉えられていた古井戸に頭を突っ込むような形で最期を迎えるのですが、情火の炎が消されて奈落に落ちていくサロメといった感です。

全体を通して光っていたのはヘロデ王を演じたケネス・リーゲル。ユニークで道化的な要素を導入しており、とても芸達者な印象を受けました。

思わせぶりな官能派サロメでありました。

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本当に「あの人」でいいの?




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