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永遠の妖女#46・・・つかこうへい作・戯曲「サロメ」

2008-04-14 | サロメ
つかこうへい作・戯曲「サロメ」
つかこうへい戯曲シナリオ作品集(白水社)


あの、そうあの、つかこうへいと言っていいでしょう、観客に圧倒的な支持を得、現代演劇史に燦然と輝く巨星である彼が、サロメを書いていたのであります。小劇場なんて言葉が死語になってしまっている今ですが、第一世代と呼ばれる寺山修司、唐十郎らが展開したアングラ演劇、その暗さを突き破ったのが第二世代と呼ばれたつかこうへいで、現在の演劇のスタイル形の礎を創りあげたといっても過言ではありません。続く80年代の小劇場ブームへと繋がる道筋を作った功績も大きい、もはや神様的存在でもあるのです。

ボクなどは、つかのあの被虐的な笑いをとりながらも最終的には感情にダイレクトに訴えかけてくるその手法は、一方でお笑いなどのエンターテイメントの世界にも大きな影響を与えていると思えるのですが。一時期テレビで見るコントなどのお笑いは間違いなくつかこうへいのスタイルを真似ているとよく感じたものだ。

そして、かくゆうボクも25年以上も前になる学生時代、演劇サークルに所属し、つかこうへいの傑作「熱海殺人事件」を上演した想い出があります。今でもその台詞ひとつひとつの面白みや哀しさは、その記憶は薄れたとはいえその感触というか手触りは残っており、こう無意識の部分で影響を受けているのかなと思います。

その御大つかでありますが、サロメの踊りの部分とヨカナーンの断首という設定は残しつつも、よくもわるくも彼らに多大な影響を与えたているイエス・キリストを影の存在として大きくクローズ・アップさせています。彼、キリストは非道徳が当たり前のようにまかり通っていた時代に、人々に後悔という感情を植え付け発見させ、それを軽減するには懺悔という手法をとるしかないといったという風な切り口で、人間の感情と道徳観に対して価値観の転倒を計らんとした策士として描かれています。そしてそれは、一介の伍長でしかなかったヒットラーが第三帝国を建国しヨーロッパを蹂躙したのにも似ていると書いている部分があって、ヒットラーとキリストをもってきたところに彼の独創的な視点を感じ、ハッとしてしまうのであります。

このユニークなキリスト感に対してつかこうへいは一体何を訴えようとしているのでしょうか。この劇に見えない力としてキリストの存在が重くのしかかっていることについては自信をもって間違いないと言えるのですが・・・。

つかの戯曲においては、その彼に対する感情を軸に、サロメ、ヨカナーン、ヘロデらは振り回され命を落としていくのであります。つかは基本的な登場人物らの描写をより明解にその心情を語らせ吐露させることによって、この不可解なドラマをより分かりやすくしているようであります。それは、つかにとってはキーとなる人物にまず共感させることが劇的な感動を引き起こさせる生命線であり、最もつかこうへいらしい芝居であるわけですから。しかし、その点ではこの「サロメ」はうまくそれが機能していないようにも思えます。もともと不条理なサロメであるのですから、その不条理性を押し出し展開するにはやや無理があった、そんな風な印象を持ったのがこの戯曲であります。

それにしてもこの戯曲を書いたのは昭和53年、つかが30歳の時、あらためてその才能にびっくりしました。



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