ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ソフトバンク×iPod携帯が実現するものとは?

2006年05月14日 | コンテンツビジネス
唯我独尊の両代表の話し合いで、ソフトバンクがiPod携帯を発売するとの記事が…PC側からスタートしている企業としては「iTune」という存在は非常に大きい。何とかこの「iTMS」の資産と手を組みたいというのは当たり前のことだろう。これまで個人的には日本でiPod携帯が出るとしたらドコモからかな、と思っていたのだけれど、ボーダフォンのソフトバンクによる買収の結果、流れは大きく変わってしまった。孫正義としては、対NTT(ドコモ)を実現するためには、これまでのボーダフォンの戦略を全て否定してでも「可能性」をとったというところか。さてこの顛末は成功するのか。

アップルがソフトバンクと携帯電話で提携?--広報は「ノーコメント」 - CNET Japan

「iTunes」が「i-mode」に接続される日

「iTunes携帯」を巡るそれぞれの思惑

まずソフトバンクがiPod携帯が提供した場合、何が実現するのか。

当然、iTMSから楽曲が購入できるということになるのだろが、この携帯とネット上の楽曲配信サービスとの関係を考えた場合、楽曲の提供ルートとして電波(AIR)を通じて携帯に直接ダウンロードするパターンと、楽曲配信サイト→PCにダウンロード→携帯に転送というパターンが考えられる。前者の代表が「着うた・着うたフル」であり、後者の代表がMotorolaが「ROKR」を使って実現しているやり方であり、あるいはボーダフォンライブ!BBだ。

前者はAIRを通じて配信サイトと携帯が直接結びつくことから課金回収も携帯キャリアが行うことが一般的だが、後者になると配信サイトでの課金が中心となる。

ソフトバンクとしては、PC側としてはYahoo!という巨大なポータル、Yahoo!IDという会員をもち、また現ボーダフォンの会員も囲い込めることからどちらでも対応できそうだが、これはそう単純な話ではない。

まずパートナーとなるiTMS側からすれば、携帯電話にiTuneのライセンスを与えるにしても、iTMSの課金回収はiTMS側で持ちたいと考えるだろう。iTMSが直接クレジットカード会社と提携すれば課金回収コストは4~5%くらいだろうが、携帯電話会社が絡めば9~12%になってしまう。楽曲配信サービスの利幅が薄いことを考えるとこの乖離は大きい。

またPC向けポータルサイト「Yahoo!」では楽曲配信分野でソニー系の配信サービス「Mora」と提携している。もちろんSonyとAppleは音楽配信分野での天敵であり、こちらの整理をどのようにつけるか。仮に「ROKR」のように端末メーカーのオリジナル規格であってソフトバンクの正式サービスではありません、というのであれば言い訳も成り立つが、ソフトバンクとして楽曲配信をiTMSと提携しますというのであれば、当然、SONYは反発するだろう。

また楽曲を提供する側のレコード会社としても、iTMSに提供している価格で携帯に楽曲を提供することは抵抗があるだろう。現状、日本の楽曲配信市場の95%は「モバイル」であり、iTMSを含めた「PC」向けの市場はたかだか5%に過ぎない。にもかかわらず「モバイル」での楽曲の価格は300円前後、「PC」では150円前後となっている。つまりiPod携帯が提供されたとしても「PC」の価格帯で楽曲が提供されたとしたら、単純に考えると、95%×1/2+5%=52.5%に市場が縮小してしまうのだ。レコード会社としては到底受け入れられないだろう。

そう考えると、

1)Motorola「ROKR」と同じようにiTMSで課金・DLされた楽曲をPC経由で携帯に転送できる端末が登場するが、着うた・着うたフルなどのAIRサービスはこのまま存続する。「Yahoo!」ではMoraを担ぐこともあり、iTMSとの関係は携帯電話をiPod代わりに使えるというものにとどまる。

2)Moraがモバイルへの楽曲転送を可能とした上で、ソフトバンクモバイルの端末ごとに「iTMS」「Mora」「WMA系」へのいずれかに対応する。課金は全てYahooID、あるいは携帯課金とするが、着うた・着うたフルなどのAIRサービスもそのまま存続する。

3)Moraとの関係を解消し、Yahoo!での楽曲配信、モバイルのAIRサービスを含めて、iTMSとがっちり組む。課金はYahoo!IDもしくは携帯課金に対応。但し日本のレコード会社からは相当の反発が来る。

あたりが考えられそうな形だろうか。しかも2)も3)もソフトバンクやApple以外の要素が大きいため現実的には厳しいところも多い。仮に1)のような形でしか落ち着かないとすれば、今回、ソフトバンクとappleということで相当派手なインパクトがあったものの、落ち着いてしまえば「なぁーんだ」といったところになってしまうかもしれない。

ただ最初にも書いたけれど、唯我独尊社長のいるところなので、何が起こるか分からない。当分、目を離せないことだけは確かだろう。













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