ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

オリンパスは「iモード」を目指す ― デジタル家電の行方

2004年12月09日 | ビジネス
デジタル家電全体の動向については一度書きたいと思っていたのだが、そんな折、ふと目にした12/11号の「東洋経済」の「デジタル家電 失速の深層」がなかなか読みごたえがあった。この特集では、薄型テレビやDVDプレーヤーなどデジタル家電ごとに書かれていたのだが、実際はことはそんなに簡単ではない。一度、この特集を読んでもらって、それを抽象化してもらえば分かることだが、その根底にある課題・環境条件というものに共通する部分が多い。激烈な競争時代に突入した以上、この共通課題にどう取り組むかということが必要となる。それについてはこの特集では十分には触れていない。そのあたりについては別途書くとして、今回はその特集から。



デジカメ世界シェア15%を握るカメラメーカーの老舗オリンパスは、デジタルカメラ単体の販売だけでは収益が得られないとして、印刷をより簡易にできる専用プリンターを販売、デジカメとのセット販売を勧めているという。これは何を意味しているのだろうか。

1つには、顧客1人あたりの販売単価を上げることだろう。デジカメ単体、プリンタ単体では激しい競争が続いている。もともとお客さんはデジカメでとった写真で年賀状を作ったり、印刷するのが目的の場合が多い。だったらその要望をより容易に、かつ一度で満たせるようにしてあげようというのが原点だろう。その結果、多少高くてもお客さんは買ってくれるのではないか、あるいはセットで値引きしたとしても、販促コストなどを共通化でき利益率が上げられるのかもしれない。

そしてもう1つが消耗品など付属部分で儲けようというものだろう。プリンタを買えば当然インクが必要だ。多くの市販プリンタが専用のカートリッジを用意し専用のインクを販売している理由はここにある。インクの原価を考えれば、たったあれだけの3色カートリッジが700円~1000円もするわけがない。しかしそれが許容されているのが「専用」という障壁を設けているためだ。カートリッジの形状を共通化し、あらゆるインク会社が参入できるようにすれば、部品のコストは下がるし、インクの提供価格もさがるしと消費者にとってはメリットは大きい。しかしそれをどこもしないのは、メーカーにとっては美味しい収益源だからに他ならない。

更にオリンパス 小宮社長は「課金ビジネス」にも取り組みたいとのこと。ハードウェアメーカーからすると、例えばiモードのようなサービス業というのは憧れなのだろう。メーカーの場合、1万円の製品を1000個売れば1000万円の収入となるが、1個も売れなければ在庫の山だ。iモードのようなプラットフォームサービスの場合、使う使わないに関わらず基本料として毎月一定の収入が約束される。さらに使えば使うほど収入は上がる。今回のデジカメとプリンタという組み合わせの場合、一度購入されてしまえば、どんなに写真をとられたとしてもせいぜいインク代としての収入くらいしか期待できない。ましてメール添付で写真が流通してしまえばそれさえ期待できなくなる。

この写真が流通していく循環の中に、お金を払ってでも使ってみたいサービスを組み込むことができれば…というところだろうか。

これがホスティング(ネットアルバム)のようなものなのか、写真を彩るオプションの提供なのか、ラボの代わりに高品質の印刷などを提供するようなものになるのか、あるいは音楽や音声といったものをミックスさせるのか、アイデアはいろいろあるだろう。いずれにしろ、あらゆるところ、あらゆる思惑に競合は存在しており、自分のもつ商品やサービスをいかに上手く結び付けていくか―この結び付けていく工夫こそ大事になっていくのではないだろうか。





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