maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

喜愛香港-051 香港のお葬式(殯儀)

2004-04-25 16:20:38 | 虚々実々-喜愛香港

深水捗に行く前に「冠婚葬祭」のもう片一方の「葬祭(殯儀)」もサラッとご紹介する事にします。
「婚」だけやったら片手落ちやもんね。

どうも、香港人の宗教観はどちらかと言えば日本と似てますねぇ。
道教の神さんと日本の神さんが似たような位置を占めてるように思います。
中には「他宗の祭壇には参らん」という、特定宗教に操を立てる信心深い人もいてます。
旅行する前には天后廟にお参り、子供の受験には文武廟、盂蘭盆には道端のお供えを出して、クリスマスは楽しく騒いで、病気になったら車公廟、死んだら殯儀館で仏式の葬式というのが多いみたいですね。
「楽しい事は大歓迎。効き目がありそうなことは何でもしたらエエやんか、効かんで元々、ご利益あったら儲けもん!」
節操が無いと文句を言うより、Open mind、自由闊達とほめたいですなぁ。

ずっと昔は、下町の街角の広場見たいな所で葬式をしているのに出くわした事が有りましたが、最近はそういうのは殆ど見掛けません。
日本みたいに自宅とか高層団地の集会所での葬儀も聞きませんね。
私が知らんだけかなぁ?
そもそも、団地に集会所が有るのんかいな?
新界の田舎に行くと今でも野天にテント張り、パチンコ屋の開店祝いみたいな花輪を立て並べた葬式もあるんですが、市街地ではもっぱら殯儀館という葬式場。
九広鉄路のホンハム駅の近くにも殯儀館が一つ有りますが、これがでかいビルで、何件もが同時進行するから賑やかな事。
経営者は大儲けして「殯儀大王」と言われてるんやそうです。

葬儀場は大規模で処理能力は日本のそれとは桁違いとはいえ数が少ないし、人口密度も高いので、下手をすると1週間や10日は会場が取れん事も有ります。
仏さんをその間どないするねん?と思えば葬儀場に冷凍ロッカーがちゃんと用意されていて預かってくれるんです。
亜熱帯やから、ドライアイスを抱かすくらいではとてもとても・・・。
それにしても1週間も10日も間があいたら、その間は仕事をせんならん。
遺族も参列者も式までに気抜けしてしまいまっせ。

葬式に行くとなると、気になるのは参列する時の衣装とお供え。
香典の袋は白(まれに茶色)で、金額は奇数の紙幣。
お札の色は赤系統(100$)は厳禁、青系統の50$札等の奇数枚数に1ドル硬貨を1枚足します。
服装は出来れば男、女性共ダークスーツ、ネクタイは黒。
日本式の略礼服などは全く居ません、普段着の人もそこそこいます。
お通夜もありまして、この時は服装の決まりも少しユルメ、日本と一緒ですなぁ。

葬儀場へ行くと、建物の周辺に花屋の客引き=供花のキャッチセールスが、申し込み用紙の束を手にウジャウジャ居てます。
式に参列する人に片っ端から声をかけて、親戚、友達、会社関係夫々に適した供花の注文を取るんです。
日本の否応無しのボッタクリ供花に較べると、半分以下どころか3分の1、4分の1以下の値段です。
同じ花を使い回してるんやろか?
デカイ字で会社名を書いたユニホームを着てるから「お金を払ったのに花が来ん。騙された!」てな心配無用。
この商売は信用第一、不始末があれば葬儀場からお出入り差し止めを喰らいます。
注文した本人が受付で香典を渡す頃にはもう式場に搬入するという早業。
葬式でも色とりどりの華やかな花を使うから、その供花の派手な事!

葬儀場内には各階に沢山の部屋が並んでいて、夫々で葬儀をしてるんですが、ドアは開けっ放しで廊下(ロビー?)には参列者、花屋、食べ物飲み物を運ぶ人が入り乱れて右往左往してて、おまけに香港人は総体に声がデカイ。
到底「しめやか」という雰囲気や無いですねぇ。
看板をよく確かめないとマゴマゴしてたら他所の葬式に参列してしまう。
地元の人でも間違う事があるそうですわ。

受付で香典を渡すと、小さな金封をくれます。
これは「吉儀」という御会葬御礼。
中には1$硬貨と飴(ドロップやキャラメル)が入っています。
飴が入っていない場合はその1$硬貨で飴玉を買うんです。
飴を舐めるのが、清め塩の代わり??
飴が一緒に入っている場合は「吉儀」の1$硬貨は何に使っても良いんですが、必ず使わないといけません。
ケチって家に持って帰たら不吉だと怒られます。
それと葬儀場から真っ直ぐ家なり会社に帰ってはいかんのやそうで、コンビニなり、茶餐庁なりとにかく何処かの店屋に立ち寄ってから帰るんです。

さて遺族の側ですが、仏教・道教では、遺族は白い服を着ます。
息子は白シャツ白いズボンで靴も白、上から白木綿の陣羽織みたいなのを重ねて、もう一枚下の服が透ける位目の粗い麻の平織りのを重ねて白木綿の帯で締めます。
頭には、白い木綿の鉢巻、これが長い!鉢巻の端が腰の当りまで垂れてるんですねぇ。
娘や嫁も同じ白装束で、鉢巻の代わりに防空頭巾(若い人には通じんかなぁ)みたいな先の尖った白木綿の頭巾をかぶります。
嫁は旦那と同じグループに入りますが、婿は次の段階のグループになります。
これが、故人の娘婿と孫世代になると、目の粗い麻の平織りのは無しで、鉢巻、頭巾に赤い丸印が付きます。
もう一段離れた孫の婿や曾孫世代はダークスーツ。
故人との近さが服装で直ぐ判るんですね。
装束は道教、仏教同じみたいです。
キリスト教のは知りません。

道教の場合は道士、仏教なら僧侶が大抵複数(3~5人)でなにやらお経のようなものを唱えながら、遺族に指図して、祭壇に礼拝をさせます。
それが1回や2回と違うんです。
香港の遺族は葬式の間かなり忙しいでっせ。
参列者はその間に、三々五々祭壇に向かって式場の人の指示に従って3拝し、遺族席に向かって1拝。
より念を入れたい時は、祭壇で線香に火をつけて3本供えます。
この線香が芯に椰子の軸や竹ヒゴが入ってて太くて長い、ホンデ滅法煙たい。 焼香はしませんなぁ。

ちなみに「3と7」が葬式につき物の数字やそうで、ラッキーセブンは通用しません。
年寄り(80歳位)で天寿をまっとうするとロウソクは赤を使います。
拝礼が済んだらそのまま帰ってしまう人も有りますが、会場内の椅子に座って、用意してある軽食や飲み物をいただきながら一寸時間を潰して、帰る時に祭壇に向かって3拝、遺族席に向かって1拝。
これで終了。

祭壇の傍らには小型の焼却炉?が置いてあって、あの世の暮らしで使えるように、紙製の家財道具、自動車、仕事に関連したもの、例えば海運関係なら船、事務系ならコンピューターなどと、「金が無いのは首が無いのと同じ」という香港らしく、あの世(冥界)で通用するお金、四角い紙の真中に切手位の金箔.銀箔をはったものを燃やして故人の元へ届けます。

最近は何が無くともクレジットカード(当然紙の偽物)、携帯電話(紙製)は絶対外せんそうです。
三途の川の渡し賃、六文だけを持って旅立つ日本とはエライ違いですなぁ。

さて次回はホンマに深水捗(シャムスイポ)へ行きまっせ。

2004/04/25

喜愛香港-052 深水捗-1

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