写真①:明治43年の建築から今年で百年を迎えたJR筑豊本線直方駅
=福岡県直方市山部で、2011年4月23日午後0時50分撮影
きょう4月24日から、福岡県直方市の〈直方・町歩きスポット〉シリーズを掲載します。23日、同市内で行われた「福岡と直方を繋ぐ町歩き」(「博多津にぎわい復興計画研究会」主催)に参加し、旧長崎街道やレトロな町並みを「津屋崎千軒 海とまちなみの会」の仲間と歩いたリポートです。
〈直方・町歩きスポット〉 1
:直方駅
福津市の鹿児島本線福間駅から23日午前11時46分発の快速電車に乗り、北九州市の折尾駅で2両編成の普通電車に乗り換えて直方市山部(やまべ)の筑豊本線直方駅=写真①=に着いたのは、午後0時38分でした。
この直方駅(寄棟木造平屋)は、二代目駅舎として明治43年(1910年)に新築。筑豊の石炭輸送の重要拠点として、機関区や操車場が置かれた枢要駅にふさわしく、駅舎玄関中央に設けられた車寄せの柱=写真②=は、ギリシャ・ローマ時代のエンタシスを思わせるエレガントなデザインです。建物を解説していただいた土田充義・鹿児島大名誉教授(建築史)などによると、西洋建築は柱を美しく見せるように建てられており、この車寄せの柱は1本でも支えられるところを3本1対としてネオバロック風の格調高いデザインになっているという。大竹亮・国交省国土技術政策総合研究所住宅研究部長も「古い県庁や市役所の建物には車寄せがあるのに、今はない。直方駅では、車寄せの立派な空間を通って駅に入るわけで、うらやましい」と話されていました。
写真②:九州の明治時代駅舎に見られない車寄せの3本柱
=JR直方駅で、23日午後1時10分撮影
「博多津にぎわい復興計画研究会」の井澤洋一会長によると、直方駅舎は九州最古で、日本最古級の駅舎でもあり、明治22年に造られた初代博多駅舎を明治42年の博多駅改築の際に移築したとも言われています。直方駅舎の遺存状態が良く、建設時期や構造、デザイン性から国重要文化財クラスの価値があるという。しかし、直方市の直方駅周辺の整備事業に伴い取り壊される計画で、南隣に建築中の新駅舎=写真③=が29日開業の予定。このため、解体前に学術調査についての同意要望書をJR九州の唐池恒二社長に提出の予定。
直方駅舎は、今も平成筑豊鉄道や筑豊電鉄の走る筑豊交通の要の駅です。歴史的、建築学的に貴重な同駅舎が保存活用されずに姿を消すのは惜しまれます。このため、直方市がシャッタ-街化した中心商店街の活性化策として進めているレトロタウン構想や、直方の文化遺産活用に活かせるよう望む市民の声が増えているという。
写真③:29日に開業する新JR直方駅舎
=直方駅で、23日午後1時20分撮影
JR「直方駅」位置図
(十字の所)
学術調査がなされるのでしょうか、いつも建物が解体されるとき調査がなされないのは不思議です。
市民の皆様の声が届くことを祈ります。
JR直方駅旧駅舎の保存を求める市民グループのメンバーが6月15日、「現存する九州最古の駅舎」などとして、直方市とJR九州などに解体差し止めを求める仮処分を福岡地裁に申請しました。
直方市は、7月にも予定している解体工事を変更しない方針を示しています。