(ほとんど)シネマ日記

できるだけたくさん映画を見たいという希望をこめて

許せらざる者

2013-09-14 16:33:12 | 映画や行
クリント・イーストウッドの「許されざる者」は、映画館ではなくビデオで観ました。そのためというわけでもないでしょうが、面白いというよりは、救われない映画、最後の西部劇と言われているのにすっきりしない映画だと思っていました。今回の渡辺謙版は、そんな名作のリメイクとしては、非常に良くできていると思いました。かなり引き込まれました。
まず、開拓時代の北海道という設定が嵌っています。官軍の追っ手を振り切って北海道の奥地に隠れすむ男、アイヌ出身であることを隠して賞金稼ぎの仲間になる青年。冬の生活の苦しさや倭人のアイヌへの弾圧を背景に、賞金稼ぎに賭けざるを得ない男たちの設定が原作以上に自然な感じがするのです。
配役もよかったです。主演の渡辺謙は、重厚ではありますが、この役にしてはちょっと太っていたかな。モーガン・フリーマンに対抗する柄本明はさすがに上手い、敵役の佐藤浩市もまあよい出来でした。でも、一番印象的だったのは、アイヌの青年役の柳樂優弥でした。最後はちょっと原作とは違う終わり方でしたが、これも彼の役を大事にしたのかもしれません。
気になったのは、何故か残酷な場面が多いこと。骨折した足から骨が飛び出していたり、アメリカ映画では絶対に見せそうにないシーンがあるのです。一方で終わり方は、原作のような厳しさはなく、最後に若い二人が結ばれて子供達の元に行くのは如何にも日本的な甘さが感じられます。これが国民感情の違いなのでしょうか、何だか不思議ですね。



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