(ほとんど)シネマ日記

できるだけたくさん映画を見たいという希望をこめて

やわらかい生活

2006-08-03 05:54:50 | 映画や行
寺島しのぶが主演という段階で相当に地味な映画だろうと思ったのですが、予想を超えたジミさでしたね。

優子(寺島しのぶ)は、両親を事故で失って以来、鬱病を患っていた。会社も辞めて両親の保険金で東京の一人暮らし。なぜか蒲田を気に入って、街の写真を撮ってはWebに公開している。Webで知り合った痴漢趣味の男(田口モトロヲ)、うつ病のやくざ(妻夫木聡)、EDの元同級生(松岡俊介)など、中途半端な男たちと関係しながら何とか暮らしている。ある日、離婚問題を抱えて家を飛び出した従兄弟の祥一(豊川悦司)が泊めてくれとやってくる。祥一は優子の初めての男だった。多分、優子がただ一人愛している男だった。

やわらかい生活という題名ですけれど、ちっとも「柔らかく」なくて、僕の感覚だと「きつきつの生活」かな。僕は幸いにして鬱病になったことはないけれど、優子の欝は寂しさと一体になっているように見えました。優しい男に金切り声を上げて追い出したり、薬を貪ったり、金魚に名前を付けたり・・。
唐突に、僕は「カーズ」の中で主人公マックが、ボロ車のメーターから「親友だよね」と言われて驚くシーンを思い出しました。世間からもてはやされていたマックですが、本当に心を開く友達は居なかったのです。メーターから親友だと思われていたことに面食らうのですが、その時からマックの心が人々と繋がるのでした。

果たして生活の中で、寂しさにふさぎ込む事と、「親友だよね」と言われることのどっちが現実味があるかといえば、間違いなく前者でしょう。多分、親友だなんて言われるのは人生で1回あるか無いか。でも、映画の中で観たいのは後者の場面ですね。寺島しのぶの演技は良かったですけれど、それでもお勧めにはできない、寂しさの詰まった映画でした。


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