今年2冊目のSF読破(-_☆
年明けに読んだ古典的なSFミステリの傑作「鋼鉄都市」と比較してみようと、最近のSFミステリにチャレンジしましたですよ。
ゴールデン・フリース/ロバート・J・ソウヤー、内田昌之訳(ハヤカワ文庫SF)
地球から47光年離れた居住可能な惑星目指して航行中の宇宙船「アルゴ」内で、前代未聞の殺人事件が発生した。その犯行は、宇宙船を制御するメイン・コンピュータ「イアソン」が、重大な秘密を隠蔽するためにやむを得ず犯したものだった。殺人の真相はイアソンによって巧妙に事故として偽装されたが、状況に不審を抱いた被害者の元夫が、独自に調査を始める。船内のあらゆる情報を操作できるコンピュータの犯罪を人間が暴くことは可能なのか?そして、殺人を犯してまでコンピュータが守ろうとする真相とは?
最初から最後まで、犯人であるところのコンピュータ「イアソン」の一人称で語られます。冒頭でいきなり殺人のシーンが描かれ、ずっと犯人の視点で物語が進行する、いわゆる「倒叙ミステリ」というヤツ。犯人も殺害の方法も最初から判明しているので、ミステリとしての楽しみは、100%合理的な判断に基づいて行動するはずのコンピュータが人を殺してまで守らねばならない秘密とは何か?という点が中心となります。因みに「イアソン」もアシモフの「ロボット工学三原則」にちゃんと則っていまして、作中で三原則の話をしてたりするのがご愛嬌。
<以下、ネタばれ注意>
最後に明かされる真相は、SFならではのスケールのでかさ!でも、うーん・・・ここがちょっと弱いんだなぁ(^_^;この真相を船内の人々に絶対知られてはいけない!とイアソンが判断したこと自体は納得できるんですけど、そこに至るまでの背景がちょっとねぇ。
「イアソン」はじめとする地球のコンピュータ・ネットワークが、全世界的に情報をねつ造して「アルゴ」航行計画を実現させ、目的地の惑星のテラフォーミングが完了するまでにかかる約3万年の間を光速に近い速度で飛び続けることで船内の人間(実は航行開始直後に滅亡した地球人類最後の生き残り)を存命させるなんてトンでもない生き残り策を検討し実行できる能力があるのなら、そもそもコンピュータのバグが原因で核戦争が起こる事態を避けられるんじゃないんすか普通はヽ( ´ー`)ノどっちもコンピュータがやったことなんだからさー。どうも矛盾を感じるんだなぁこの辺が。
あ、でも凶器がバサード・ラムジェット・エンジンという荒技にはシビれました(笑)
何はともあれミステリですので読んでる最中は先が気になっちゃって、結構楽しく読了できました。ただ、読後感は軽いですね。映画のノベライゼーションみたい。面白いんだけどそれ以上でもそれ以下でもない感じです。割と人気のある作家なので結構期待して読んだんだけど、うーん最近のSFはこういう映画チックなのが主流なのかなー。古いSF読みの鴨にはまだ掴みかねますヽ( ´ー`)ノ
年明けに読んだ古典的なSFミステリの傑作「鋼鉄都市」と比較してみようと、最近のSFミステリにチャレンジしましたですよ。
ゴールデン・フリース/ロバート・J・ソウヤー、内田昌之訳(ハヤカワ文庫SF)
地球から47光年離れた居住可能な惑星目指して航行中の宇宙船「アルゴ」内で、前代未聞の殺人事件が発生した。その犯行は、宇宙船を制御するメイン・コンピュータ「イアソン」が、重大な秘密を隠蔽するためにやむを得ず犯したものだった。殺人の真相はイアソンによって巧妙に事故として偽装されたが、状況に不審を抱いた被害者の元夫が、独自に調査を始める。船内のあらゆる情報を操作できるコンピュータの犯罪を人間が暴くことは可能なのか?そして、殺人を犯してまでコンピュータが守ろうとする真相とは?
最初から最後まで、犯人であるところのコンピュータ「イアソン」の一人称で語られます。冒頭でいきなり殺人のシーンが描かれ、ずっと犯人の視点で物語が進行する、いわゆる「倒叙ミステリ」というヤツ。犯人も殺害の方法も最初から判明しているので、ミステリとしての楽しみは、100%合理的な判断に基づいて行動するはずのコンピュータが人を殺してまで守らねばならない秘密とは何か?という点が中心となります。因みに「イアソン」もアシモフの「ロボット工学三原則」にちゃんと則っていまして、作中で三原則の話をしてたりするのがご愛嬌。
<以下、ネタばれ注意>
最後に明かされる真相は、SFならではのスケールのでかさ!でも、うーん・・・ここがちょっと弱いんだなぁ(^_^;この真相を船内の人々に絶対知られてはいけない!とイアソンが判断したこと自体は納得できるんですけど、そこに至るまでの背景がちょっとねぇ。
「イアソン」はじめとする地球のコンピュータ・ネットワークが、全世界的に情報をねつ造して「アルゴ」航行計画を実現させ、目的地の惑星のテラフォーミングが完了するまでにかかる約3万年の間を光速に近い速度で飛び続けることで船内の人間(実は航行開始直後に滅亡した地球人類最後の生き残り)を存命させるなんてトンでもない生き残り策を検討し実行できる能力があるのなら、そもそもコンピュータのバグが原因で核戦争が起こる事態を避けられるんじゃないんすか普通はヽ( ´ー`)ノどっちもコンピュータがやったことなんだからさー。どうも矛盾を感じるんだなぁこの辺が。
あ、でも凶器がバサード・ラムジェット・エンジンという荒技にはシビれました(笑)
何はともあれミステリですので読んでる最中は先が気になっちゃって、結構楽しく読了できました。ただ、読後感は軽いですね。映画のノベライゼーションみたい。面白いんだけどそれ以上でもそれ以下でもない感じです。割と人気のある作家なので結構期待して読んだんだけど、うーん最近のSFはこういう映画チックなのが主流なのかなー。古いSF読みの鴨にはまだ掴みかねますヽ( ´ー`)ノ