鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

鴨のSF事始め

2011年01月09日 16時33分02秒 | ゲーム・コミック・SF
3年目に突入した通勤時間を利用してのSF読み、2011年もバリバリ行きます!(-_☆
今年最初の読了は、鴨にとって思い入れの深いこちらの作品。

鋼鉄都市/アイザック・アシモフ、福島正実訳(ハヤカワ文庫SF)


舞台は未来のニューヨーク。宇宙人の惨殺事件という前代未聞の事件の捜査を命じられた刑事イライジャ・ベイリは、宇宙人側からパートナーとして指名された人間そっくりのロボットR・ダニール・オリヴォーと共に困難な捜査に取りかかる。巨大な鋼鉄のドームの中、完全な管理社会で生きる地球人は皆生まれながらの広所恐怖症で、ドームを出て殺人を犯すことは不可能なはず。一方、ロボットはドームを出て殺人現場まで行くことが可能だが、「ロボット工学三原則」に縛られるため殺人行為をとることは絶対にできない。では、宇宙人を殺したのは一体誰か、そしてどのように殺人を実行したのか?

忘れもしないこの作品、鴨が生まれて初めて読んだSFです。小学校の図書館でジュブナイル版を借りて読んだんですよ。あまりの面白さにビックリして、その図書館にあったジュブナイル版SFを片っ端から読み漁り、お小遣いをもらえるようになってからは本屋に行くたびに水色と紫色の背表紙の棚の前でうんうん唸るようになり、そして現在に至る。とヽ( ´ー`)ノイライジャ・ベイリとR・ダニール・オリヴォーの名コンビは、今でも大好きなキャラのひとつです。一つオリジナル版も読んでみようと、30年ぶりに手に取りました。SFマガジン初代編集長・福島正実氏が翻訳を手がけています。

この作品、あらすじを読めばお分かりのとおり、ストーリー展開はミステリに他なりません。SFの世界観の中で論理的に謎を解いていく、いわゆる「SFミステリ」の傑作のひとつに数えられます。特に、アシモフのSFミステリは、彼が考案した「ロボット工学三原則」の縛りの中でロボットが絡む事件をどう解決していくか、という謎解きの視点がポイントで、鴨が最初に読んだジュブナイル版もこの「謎解きの面白さ」と「ベイリとダニールの友情物語」を強調して、子供にもわかりやすくスリリングな作品にまとめていました。だから、鴨がこの作品に対して抱いていたイメージはミステリの要素の方が濃いものでした。
でも、この歳になって他のSFもさんざん読んだ上で改めて再読したら、ミステリとしての謎解きの面白さはもちろんのこと、SFとしての懐の深さにシビれましたね!物語はシンプルなミステリではありますが、その背後を構成し、謎解きにも密接に関係する世界観が深い。まぁ、ジュブナイル版ではそこまで書いてなかったんでしょうけどねヽ( ´ー`)ノ極端な人口過剰社会を維持するために閉塞的な管理社会の中で歯車のように生きる地球人と、現在の生活レベルを維持するために徹底的な人口統制で少人数社会を堅持する宇宙人(この作品中では、宇宙に移民した地球人の子孫を「宇宙人」と位置づけています)との確執・・・高性能なロボットに職を奪われ、過激な懐古主義へと突き進む地球人側の不穏な動き・・・双方の社会の停滞を打破するために、宇宙人側の一部が企てるブレイクスルーの目論み・・・こうした社会背景が、「SFっぽくしないとアレですから」というお飾り程度のものではなく、本筋の謎解きと一体不可分の関係として物語に強固な骨格を与えています。ミステリですからラストシーンは事件の解決なわけですが、そんなありがちなラストシーンのその後に、再び宇宙に挑む人類の壮大なビジョンが二重映しに広がります。SFミステリにしかできない離れ業です。

すごい!やっぱりSF面白い!

初心に返って懐かしの作品を読んで、そして改めてSFの面白さに目覚めたこの年末年始でございましたヽ( ´ー`)ノ
今年もガンガン読みますよ!
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