空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「猛禽の宴」楡周平 角川文庫

2012-10-01 | 読書

 

 

「朝倉恭介×川瀬雅彦」シリーズの三作目。これは「Cの福音」で登場した朝倉恭介のストーリーになっている。


 ***


 彼が考えた日本でのコカインの販売ルートは、7年後も順調に販路を拡大して、ニューヨーク・マフィアのボス「ファルージオ」にも信頼が厚かった。


だがファルージオの組織には亀裂が入り始めていた。 中国マフィアなど多くの人種で構成される組織との共存状態を、安定した形で仕切ってきたファルージオが襲撃され、半身の自由を失ったファルージオは、ボスの座を譲らなくてはならなくなる。


この機会を待っていた、部下「コジモ」の暗躍は、「ファルージオ」の失脚を初めから見込んだものだった。
彼は恭介のビジネスから上がる莫大な利益まで取り込むことを画策する。


恭介は「コジモ」の不快な命令から、ファルージオに対するコジモの卑劣な仕業に気づく。


 恭介は休日を楽しむためにターキー・ハントに出かけたケンタッキーで、同じ趣味のために来ていた「ギャレット」という男に出会う、彼は元海兵隊の戦闘へリ、コブラのパイロットだった。だが、薬物兵器に耐えるという薬剤を支給されて、強制的に飲み続けたため、今も副作用に苦しみ、筋肉の激痛に耐えていた。


かれを助けた恭介に軍の最高機密の入ったフロッピーを手に入れたことを話す。彼の仕事は軍の廃棄物の銃器や機器を、指示書どおりに分解処分することだった。しかし軍の管理の杜撰さで、機密書類が捨てられていることもある、払い下げられた機器や銃器は闇ルートで組み立てられて再販されていた。 恭介は日本の商社マンだと身分を隠して、そのフロッピーの内容によっては高価な取引が成立するとギャロットにもちかける。


 彼は「コジモ」の「ファールージオ」に対するやり口に復讐するために、ギャロットにフロッピーの前金50万ドルを渡し、払い下げ品を組みなおしたコブラをギャロットから手に入れ、パイロットを頼む。


優秀なパイロットだったギャロットは力強い身方だった、二人は別荘で寛いでいた「コジモ」を襲い、家ごと爆破してしまう。 廃品で改造したコブラで低空飛行する「ギャレット」の操縦は漫画やアニメで見たヒーローとダブってくる、レディはどこに(笑)


ギャング同士の抗争と、恭介が選んだ闇の世界、それに絡む人たち、恭介にあてがわれたチャーミングな高級娼婦の悲惨な境遇、さまざまな要素がダイナミックに展開していく。


一面、恭介の暴力的な凶暴さは、平常は深い心の裡に冷静に秘められているだけに、今回のような命の爆発力のすさまじさにはやはり読んでいても身を伏せたくなる迫力がある。


 静かに水面下で展開する恭介の麻薬ビジネスに、引き寄せられその犠牲になる、弱い人間を餌にした冷たい現実も見える。


 * * *


 登場する人物たちが、恭介の周りで彼の作戦通り動いていく様子は、物語だと思いながら、マァそうなるでしょうね、と納得、爽快な気分にさせられてしまうので、ストレスの解消になる。 フロッピーには何が入っていたのだろう、次で開くのかな。


 


 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「クーデター」楡周平 角川文庫 | トップ | 「神去 なあなあ 日常」三... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事