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イスラエルは苦戦している ―地上作戦を延期
イスラエルは明らかに苦戦している。
昨日のエントリー「 イスラエルが地上戦拡大へ 」で、「確認しておく必要があるのは、依然としてイスラエル政府内の不一致があることだ。さらに、その背景に、ヒズボラの抵抗が予想以上のものであることも記事によって明らかになるだろう」と書いたが、その基本方向がいっそう加速されている。
それはつぎの記事によっても裏付けられているように思う。
「イスラエル 地上作戦を延期 レバノン停戦決議案考慮」【産経新聞】
この記事はつぎのように切り出している。
イスラエル軍放送は10日、同国のオルメルト首相とペレツ国防相が、レバノン停戦決議案をめぐる国連安全保障理事会での外交交渉に時間を与えるために、9日に閣議承認したレバノン南部での大規模地上侵攻作戦開始の延期を決めたと報じた。同放送は期限には触れなかったが、イスラエル高官はAP通信に対し、「首相は今週末まで待つ用意がある」と語った。(以上、引用)
イスラエル政府内の2つの流れのうち、オルメルト首相らを現実派とよぶとすれば、彼らは、できるだけ早く国際軍にレバノン南部に駐留してほしいと考えている。だからこそ、先の記事のように「今週末まで待つ用意がある」という言明がもれてくるのだろう。
現実派はその際もこれまで主張していたのはアメリカの意向を受けたNATO軍の駐留であったが、国連軍の駐留を飲むところまで譲歩している。
しかし、アメリカはレバノン政府が受け入れられない「停戦案」を国連に出すなど、停戦がなかなか実現しない状況がもたらされているなかでの首相の発言としてみるべきだろう。
もっとも先の産経新聞の引用のあとで、同紙はつぎのように伝えている。
軍放送によると、作戦延期の決定は、首相が9日午後、ライス米国務長官と電話会談した後に下された。米政府は、国連での協議が続いている中でイスラエルが軍事作戦をさらに拡大すれば停戦決議案採択が遠のくことを懸念し、イスラエル側に強く延期を要請した可能性が強い。(以上、引用)
さらに付け加えると、現実派といわれるオルメルト首相でさえ、フィナンシャルタイムズのインタビューを受け、こう語っていた。
首相は「われわれの反撃ぶりは、レバノン国民に強烈な印象を残しただけではない。イスラエルをミサイル攻撃しようと一度でも考えたことのある全ての国に、強く記憶されたはずだ。攻撃されれば、われわれは反撃する。相手の国は、とてもとても、とっても、つらい思いをすることもある」
しかし、ここから先が重要だろう。以上の「公式的な見解」をのべたあとで、「できるだけ早く撤退したい」と語っていることだ。
このインタビューは8月2日初出とされている。かなり前からイスラエルは苦戦しているということだ。
アメリカが中東から撤退したら、イスラエルにしたら後ろ盾を失う。敵に囲まれてしまうことになる。7月12日のレバノン攻撃以来、イスラエルに対する中東全域の人々の批判、憎しみは日々強まっている。戦争が長期化するほど、イスラエルにとって取り返しのつかない事態も予想される状況にあるとみてよいだろう。
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戦略上どうしても地上軍の派遣が必要となりますが、ここからの戦い方はいはば肉弾戦です。
つまりゲリラ戦になり、正規軍(イスラエル軍)は不利です。
ベトナムしかり、イラクしかり、アフガニスタンもしかり、敵はどこからでも現れ、大衆を盾とすることも辞さないでしょう。
地上戦を境に泥沼化していくのがベトナム、イラクの教訓であるのに、軍人はなにも学ぼうとしない。そしていつも犠牲者は一般市民が大半を占めてしまう。
イスラエルの今回の行動は周りのアラブ諸国の軍事力や装備にたいする見方を、いままではせいぜいゲリラ戦に対応する程度であったものからより攻撃的な兵器保有に向かう動機を十分提供したという意味においても自らを危険な状態に置いたのではないかと思います。
ヒズボラについては詳しくは私は分かりませんが、ご指摘のような構図に現局面があることはまちがいないように思います。
遅々として前にすすまないようにもみえますが、私は確実に国際世論がたかまっているこように感じています。
日本ではこの問題のとらえ方はどうでしょう?
アメリカがどのようにこの先を考えているのかが、今後の事態の進行にとって重要だと思います。いうまでもなく、それはイスラエルにとってきわめて大事な条件といえるでしょう。
即事停戦の声を大きくしないといけません。