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死刑台のエレベーター

2012-04-21 23:57:07 | ★★★★★★☆☆☆☆

監督 ルイ・マル
キャスト モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー、リノ・ヴァンチュラ、ジョルジュ・プージュリー、シャルル・デネ
1957年 フランス
ジャンル:サスペンス

【あらすじ】
不倫関係にある社長の右腕ジュリアンと社長夫人のフロランスは、邪魔者の社長殺害を計画。完全犯罪のトリックは成功したかに見えた。フロランスとの待ち合わせに急ぐジュリアンは、重大なミスに気づいて引き返すが、無人となったビルのエレベーターに閉じ込められてしまう。一方、ジュリアンの車を盗んだ若いカップルは、衝動的に犯罪を犯す……。

【感想】
サスペンスを鑑賞する際に物語のプロットを追うことしかできなくなっていることに気がつかせてくれる貴重な作品。ゆったりと鑑賞できる本作は個人的にはとてもありがたい存在です。

完全犯罪がテーマのサスペンスということで主人公が計画した完全犯罪が成立させることができるのか、その緊張感に期待してしまう人が多いと思います。しかし多くの人が期待するような緊張感を味わうことはできません。(当時としては最高にスリルがあったのかもしれませんが・・・)本作は完全犯罪の緊張感ではなく、洗練された音楽や登場人物達の振る舞いによって生み出される雰囲気の良さを楽しむタイプの作品なのかと思います。ゆったりとしたテンポの中で流れるマイルス・デイヴィスの音楽が心地いい。事件の現場を猫が見ていたなどスタイリッシュな演出も沢山あります。雰囲気はとても洗練されています。本作の最大の魅力はこの部分でしょう。

シナリオに関しては矛盾が多いです。特にラストでジュリアンと社長夫人が一緒に映っている写真が見つかっただけでその場で社長の自殺が殺人にひっくりかえるのは明らかにおかしい。キーアイテムは上の階に上るのに使ったロープだったはず。唯一の決定的な証拠になり得るロープがどうなったのかには一切触れていません。ただフィルムの現像で浮かび上がった写真での2人の表情はとても楽しそうで2人の仲を解釈するには十分なラストシーンでした。

完全犯罪をテーマにしたサスペンスとしては草分け的な存在だそうで歴史的価値の高い作品であるといえるでしょう。緊張感には期待しないでもらいたい。

お薦め度:★★★★★★☆☆☆☆

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