Go The Distance!

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ウッドキャビンの部屋にようこそ!

越えなくてはいけないモノ(完全版)

2010-03-07 14:28:05 | かの地の出来事

3月1日、フルマラソン当日


この日のために11月からランを意識したトレーニングをしてきた
アイアンマン出場を考えた時どうしても越えなくはいけものがあった
それがランとスイム
ランはフルへの苦手意識
スイムは3.8キロを泳ぎきるスキル
どちらも越えなくはいけない壁だ
逃げていては前に進めない
そのためにまずはフルマラソンをサブスリーで走りきること
それが出来れば、ひとつ前に進めるはずだから

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5時起床
窓から外を見ると、路面がぬれている
雨だ
昨日の晴天が嘘のような冷たい雨

ネットこの国の気象庁にあたるページで天気をチェックする

気温4度
体感気温1度
降水量が1時間15mm~ということだから、日本でいう大雨注意報の手前あたりといったところか

体重計に乗ってみる
53キロ
体脂肪7%
ベストとは言えないが、これ以上どちらも落としてもスタミナがもたないだろう

スタートが8時半なので、3時間前にあたる5時半に朝食
おにぎり2個に餅入りみそ汁

スポーツバルムのレッド2をたっぷりに塗る
脚はもちろん、腹や背中、腕、首周りなど
これで少しでも体温低下を防げればいいのだが

自宅を6時20分発
タクシーで最寄の高速バス乗り場へ
6時半のバス乗車
40分(7時)でレース会場近くの市街地到着
そこからシャトルバスでスタート会場まで20分
7時半には到着
1時間アップ
…の予定だった

自宅をタクシーで出る前に軽量化したかったのだが、あまりトイレに行く気もなかったので
そのままタクシーに乗り込む
時間には余裕があるから会場で済ませればいいと思った

タクシーでは
ワイパーを全開で回しても前が見づらいくらい雨が降っている

バス乗り場に到着すると
ここでハプニング発生
バスの時刻が変更されていた
雨の影響かどうかは分からないが、この国の言葉に堪能なYOMEでも
事態がよくわからないということなのでしょうがない
20分遅れの8時50分発
それでもまだ時間に余裕があるだろう…と思っていた

少しウトウトしていると時計の針は7時50分を刺していた
自分の目を疑う

こちらの予想よりもバスの時間がかかっている

これはアップできるとか言ってるレベルじゃない

会場の近くの市街に到着したのが、8時10分
スタート20分前だ

急いでタクシーをつかまえ、会場へ向う

スタート時間に間に合えばいい
この時間だとギリギリだ

迷っている暇はない
タクシーの中で全ての準備をしなくは

ズボンを脱ぎ
レースシューズに履き替える
上着を脱いで…

心拍計はガーミンとスントの二つ装着済み
スントT6とガーミンFRを両方つけていった
必然、心拍計も2つ

バストバンドを張り、上着をCW-Xのトライアスロンウェアに着替える

腕には、スキンズのパワースリーブを装着

トライウェアなので背中のポケットを有効に使わなくては

背面ポケットにパワーバージェルを3ついれる
万が一スタートに間に合わない場合、そのまま走り出し途中で軽量化をしなくてはいけない
野外トイレのために水にとけるティッシュもポケットに入れておく

凍えるような寒さなので手袋をつけるかどうか迷ったが
雨でぬれると身につけるものはどんどん重くなる
手袋はしないことにした

後は、帽子をかぶり…と出発準備整った頃
調度会場に到着



到着したのがスタート5分前

YOMEの出場するハーフはフルよりも後なので
荷物を任せて
タクシーから降りると、その格好のまま走り出す
ダッシュでスタート場所となっているスタジアムへ

スタジアムゲート入り口にトイレを発見

屋外で軽量化よりも、せめてヒトらしくいたかったので
トイレに向う

昨年の5月のハーフマラソンでは
スターターのおじさんのトークで号砲が5分ほど遅れた

今回をそうあってほしいことを願いつつトイレに駆け込む

外からは分からなかったが、中は長い行列

日本のレースの時は、
フルのゼッケンつけていたら(一番はじめのスタートだから)譲ってくれたりもしたが、
この国ではそんなことはありませんでした

ギリギリトイレの入れたのが、スタート2分前

最後の軽量化をして、スターと地点のスタジアムへ

ゲートの入り口に入ったあたりで、
ピストルの音が!

やばいスタートしてしまった

ガンタイムならここからタイムの計測が始まる
急いで腕時計のスタートを押す
ネットタイムであることを祈りつつ…

スタート地点のゲートをぐぐり走り出そうとすると、
ゲートの少し手前に計測チップを測定するアンテナらしきものをを発見

急いで引き返し、アンテナをくぐる
(計即チップの測定をしなくては、ゴールしても認められないため)

再びスタートゲートをくぐり走りだす

これが5ヶ月もの間、トレーニングを重ねてきたレースのスタートなのか…
自分が情けなくなってくるが、そんな思いはすぐに頭から振り払い
レースに集中

スタジアムを一周して公道に出ると、少し冷静になってきた
何度もシュミレーションしてきたレース運びをもう一度考えてみる

まったくのアップなし
加えて雨

始めの頃は、ペースが安定しない
加えて、雨とこの寒さだ

アップがてら1キロ4分20秒前後をキープして走る
(サブスリーを達成するには、1キロ4分10秒で走りきらないといけない)

最初の折り返しポイントを過ぎ徐々に前に出る

と言っても、自分のペースをキープしていただけで周りが落ちているようだ
慌てて飛び出したランナーが落ちていく

2つ目の折り返し(たしか10キロ)を過ぎてから、YOMEともすれ違う

YOMEはハーフに出場。ほんの少しだけコースがかぶるのだ

このあたりから、登りでは、1キロ4分20~30秒
平坦では、4分10秒前後
下りでは、3分50秒前後で走る

タイムは、5キロごとにラップをとるようにした

前日にサブスリーを達成するには、
4分10秒ペースで走りきらなくてはいけないことは分かっていた

そのためには、5キロを20分50秒で通過しなくはいけない

その後は、10キロごとに41分40秒というように、足していけばいい訳だ
レース中も自分のペースを把握してそれをキープできればいい

最初の10キロのあたり(はっきりとわからなかった)が、49分50秒だった

これでは遅すぎる

しかしアップもかねて最初は走るつもりだったので、
ここから上げようと思っていたのでそれほど慌てていなかった

このペースは、遅い
わかってはいたが、身体が温まらないうちは無理は禁物だ
ちょっとした焦りで後半がボロボロになるのは経験済み

15キロ過ぎあたりから、二人のランナーに追いつく

そのうちの一人がとてもいいペースで走ってくれる
しばらくその人について走る
よく見るとランシャツには、「Sub-3.com」の文字が



もしこけおどしじゃなかったら、彼についていけば、サブスリーというわけか

20キロと思われるあたりが、1時間16分18秒。
予定では1時間23分20秒で通過できればいいと思っていたので、
ひょっとしたらいけるかも
かすかな希望が見えてきた

20キロ過ぎあたりから尿意がどうにも我慢できない

無理してもしょうがないので、21キロ地点で止まってトイレ休憩

これが良い刺激になったようで(軽量化もしたから?)、
そのまま4分5秒ペースで走っていく

一旦は、サブスリー.COMの彼に追いつくが、ペースが4分とかなり速い
このままついていって潰れては元も子もない

一人旅覚悟で、4分15秒ペースでいく

途中でスントの心拍計が表示されてないことに途中で気付いて、再度コネクトした
この場合は、あとでPCで見ても、心拍が表示されないのは、分かっていた
とりあえず、その場では、心拍が見れるようになった

一人旅状態で、30キロを超えた

去年の荒川では、ここからまったく足が動かなくなった

今日は、まだしっかりと動く
身体が脚が腕が、半分自分の意思を越えて動いてるような気さえする

タイムは徐々に落ちているが、30キロの通過が、2時間00分58秒
目標としていた2時間5分よりも5分のアドバンテージだ

このままなら、4分30秒ぺースでもサブスリーだ

イケル!

初めて、実感がわいてきた

34キロすぎからコースが(往路の折り返しではなく)変わり、
前との選手とも離れてきた

Y字の道で左右どちらに行っていいのかわからず困っていると
後ろから追いついた選手が右と教えてくれる

彼にはあっという間に離されてしまったが、帰りの道しるべとなってくれたので、
その背中を追いかけながら走る

37キロあたりから、手足が急に回らなくなってきた

疲労が脚にきたわけでなく、寒さで感覚が麻痺してきたようだ

このあたりから、精神と肉体が離れるような不思議な感じがだった

正直ここか先はほとんで覚えていない

苦しさとか寒さとか、そういったものから解放されて、夢の中に居る気分だった

何とも不思議な感覚だ

現実味がまるでない

ただなんとなく声のする方へ
意識と身体が分離したような状態のまま進んでいたような…気がする

最後の登り、メインスタジアムへ



この写真、ハーフを終えたYOMEが撮ってくれたらしいのだが記憶にない



ただ前へ前へ
そんな思いが身体をつき動かしてしたのか



少しこのあたりは覚えている

金コーチの言っていた、
『登りでは、腕ふりの角度を開き、振り子のように下へ下へ』

何かそんなことを無意識にやっていたような気がする

そして永遠と思えるようなメインスタジアムの半周?







まわりの声援がやけにスローに聞こえた…ような気がした

ただ、ひとつはっきり覚えているのは、ゴールする瞬間



天に指をかかげ、アイツの名前を叫んだ



どうだ!
見ていたか!!

これが生きるってことだ
決してカッコイイもんじゃない

どんなに無様でもそれでも俺は生きてるぞ

これが生きてるってことだ

これが俺だ

誰にも話さないで勝手に向こうに行きやがって
そこからしっかり見ていろよ

その後、ゴールすると


YOMEに抱きかかえられバックヤードへ

そのまま倒れこみ、ただただ震えていたらしい

それが尋常でなかったらしい

周りの人が毛布をかけ、お湯をのませ、身体を拭き、足をもんでくれていたらしい
日本人だと知ってのことだ

今日は、この国の独立記念日
日本人は本来外を出歩くなと言われている日だ

一人の人間として必死に介抱してくれたようだ

ほどなく、救急車で運ばれた



目覚めると体中を温められ点滴をしていた



低体温症だったらしい
あと少し運ばれるのが遅かったら命を落としていたかもしれない

この国の人に救われた

ありがとう



YOMEから初めてサブスリーを達成したと聞かされた
自分で止めていた腕時計を見る

本当だ



その後…高速バスでもどり、いつもの温泉へ行った

たっぷりマッサージをしてもらう

普段は決して食べない(胃がもたれるので)ケーキを買って家でささやかな祝杯



私はサブスリー
YOMEはハーフで自己ベスト

アイアンマンに向けて、
一つ目の壁を越えることができた



距離:42.195 km
時間:2時間51分38秒
平均心拍165 最高203
エネルギー消費2110kcal

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3 コメント

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Unknown (BK)
2010-03-08 00:06:44
おおー、また凄いムチャされましたねえ(笑)
しかしながら、過酷な条件の中でのサブスリー達成、素晴らしすぎます!
おめでとうございます!

ブログを拝見する限りでは、肩の調子はそこまで悪化していないようですが、その後いかがですか?
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Unknown (ウッドキャビン)
2010-03-08 00:26:32
>BKさん

ありがとうございます
およそ自己ベスト30分更新
といったところでしょうか

>肩の調子はそこまで悪化していないようですが

爆弾抱えているようなものでしょうか
ちょっと背中に手をまわしたり
右手で何を取ろうとしたりと
ごく自然な動作でも
ズキっと痛むことがあります

まだ恐くてスイムでクロールでは泳げません

ただ5月にレース(トライアスロン)に出場する予定なので
そろそろスイムも始めなくては…と思っています

様子を見ながら無理せず
やっていこうと思います
返信する
超えてはいけないモノ (YOME)
2010-03-14 00:12:46
毎度ご心配をおかけ致しております。
実に本人、記憶のないことが多々ありまして、あとから説明するものの、「そうだったんだぁ」と他人事のようであります。

対策法をお教え願いたい!懇願
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