ゴルフィーライフ(New) ~ 龍と共にあれ

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いい作家見つけました/吉本隆明さん~その2

2009年04月20日 | 読書ノート
手ごわい。

シンプルなものが好きで、難しいことを易しく語ることこそ大切
(さして難しくもないことを、もったいぶって書いている文章は大嫌い)
だと考えている僕にとって、ひととおり通読してみたら手ごわい評論でした。

でも、僕のきらいな、(学術論文や技術仕様書でもないのに)難解な言葉を多用してことをややこしくするような
中途半端で不親切な(頭がわるいか、いじわるか、わかってもらう気がないのか)タイプのものでないことは分かりました。

吉川隆明さんは、語り口が平易で、ところどころ、はっとする部分があります。

そもそも、文学や思想、評論といったものは、廻りくどくてなんぼ、
見た目結果だけみれば10mしか進んでなくても、
実は地球を一周してもとの位置に戻ってきてからの+10mであれば、
同じ価値ではなくなってしまうような部分があるように思うので、
シンプルだからいいとも限らないようにも感じます。
ひとえに勉強不足でついていけない、といったところなのでしょうか。

過ごした時代背景の違いなどから、同時代体験や歴史観の共有に無理があるので、
そもそも理解しづらい部分があるのかもしれませんし、
あせらず、決めつけず、ねかせる(熟すのを待つ)ことが良策なのかもしれません。
ジャンルは違いますが、名盤の誉れ高いマイルス・デイビスの「kind of blue」の良さを味わいたくて、
「kind of blueの真実」という本まで読んでアタックしたのに、だめだった経験もありますし。。

でも、気になったフレーズを例によっていくつか書き抜いておきます。

・登場人物も(純文学に出てくるような病的な主人公でなく)比較的健全で、面白おかしい小説はたくさんあるんです。
でも、僕自身の中の中流意識は満足できても、僕のなかの深刻な部分は“あれ~!?”と思わざるを得ない。
やっぱり、主人公に“おまえ、そんな健全さでいいのか?”といいたくなっちゃう(笑)

・もし、ひとつの書物を読んで、読み手を引きずり、また休ませ、立ちどまって空想させ、また考え込ませ、
ようするにここは文字のひと続きのようにみえても、じつは広場みたいなところだな、と感じさせるものがあったら、
それは小さな世界だと考えてもよいのではないか。
そういう場所に行き当たった読み手は、ひとつひとつの言葉、何行かの文章にわからないところがあっても、
書き手をつかまえたことになるのだ。







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