今何処(今の話の何処が面白いのかというと…)

マンガ、アニメ、特撮の感想ブログです。

「物語」を愛する者

2009年12月22日 | 物語愉楽論
【ロマンティスト宣言】
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20091213/p1

【「坂の上の雲」日本人なら一度は触れて欲しい物語】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/3b6faa922eec158b89c0e4f65c711feb

【「のらくろ」豚の国大戦争編】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/c213e7526f8d40d76c1e59888058822a

海燕さんの「Something Orange」で、僕の「坂の上の雲」に関する記事を取上げてもらったので、この話題についてもう少し語っておこうかなと考えました。…そう考えてから、もう随分時間が経ってしまったワケですが…orz 気を取り直しつつ綴ってみたいと思います。

まず、海燕さんが解説してくれたように、先の記事は、ひとつの史観、ひとつの政治思想を墨守しようとするような記事ではなく、むしろどのような思想からも、「物語」の豊かさを守り抜きたいと考えて書いたものです。また、それがより本質的な意味において、共感や賛同を得る事が難しい一般的感覚から幾分離れたものである事も理解しています。それは何かっていうと僕は「ロマンティスト宣言」の下の引用のような、「病」あるいは「化け物」という部分に共感するんですよね。
ぼくの魂は、それでは満たされえない。ぼくの病は、それほどに重い、と。

けっきょくのところ、ぼくは単なる「読みたがり」の化け物、幼く、未熟な魂を抱えた、「もっと」の化身に他ならぬのかもしれぬ。

ここから先はあまり他の人を巻き込むべきではないのかもしれませんが……海燕さんや僭越ながら僕は、「言葉」を操る事がある一定のレベルに達している「言葉使い」だと思っています。だから、あたかも自分が正しいかのような「言葉」を綴れてしまうのですが(それは自分を作為的に正当化しようとして書いているワケではなくって、自分の考えを他者に理解して欲しくって「言葉」を選ぶと自然とそうなる…って意味ですが)本当の所、それは「病」であり「化け物」の感覚に過ぎないのですよね。
歴史観や思想に左右されない…なんて程度の話なら、まだ何とな~く正しそうな話を語れていられるのですがwさらに、どんどん話を突き詰めて行くとどうしようもなく“人でなし”の感性が剥き出しになってきます。そして僕は、それが“人でなし”だと言うなら、是非“人でなし”になりたい、“化け物”になりたいのだと常々思って生きています。

…と、ここまで書いたところで「この厨二のナルシストは何を言っているんだ?w自分を特別だとでも言いたいのか?」と笑う人もいるかもしれませんけどね。もし、僕のこの感覚が“普通”のものなら、それはそれで構いません。“普通”で誰もが感じている事なら、どうか、その誰もが感じる感覚のままに「物語」たちの在り方を守ってあげて欲しいです。一連の記事の目的はそれです。

「トムとジェリー」というアニメがあります。僕はこのアニメが大好きで、子供の頃僕の地方ではこのアニメが繰り返し繰り返し放送されていたのですが、全く飽きる事なくその繰り返しに付合い続けました。そして今、手元にレーザーディスクがあるのですが、大人になって観ると、改めてその表情の豊かさ、ポーズの愉快さ、描線の美しさ、動画の細やかさに感動して涙をこぼす程です。しかし、その表現の一部は規制され、今はもう観る事はできません。ヤカンに顔をツッコムと爆発して顔が黒人になる。トムのシッポに火がつくと一気に燃え広がってインディアンになる。大きな鍋蓋がトムの上に落ちるとジャ~ンと銅鑼が鳴る音と共にトムが中国人になって現われる…こういった表現はもう観ることができません。それを思う時、僕の心は激しい哀しみと怒りで胸がいっぱいになります。もし、この気持ちを共感してもらえるなら嬉しい事この上ありません。

「ダビデの星」というマンガがあります。最近、ようやく文庫サイズで完全復刻されましたが、このマンガは復刻が企画される度に途中で“何らかのストップ”がかかって最後まで刊行されてこなかった作品です。でも僕はこの「物語」を愛しています。…内容は……ちょっと悩みましたが、すみません、今回のこの記事では“共感してもらう事”を優先して語るのを止めましょう。一言言えば、とても反社会的なマンガです。繰り返し潰される程に…。機会があったら読んでみて下さい。僕の“人でなし”具合が分ります。
このストップ…単に売れなくて立ち消えという可能性もあるのですが、それにしては復刊へのトライと途中ストップの回数が多すぎます。もし何らかの圧力でこれが行われていたとするなら、僕はそれをした者たちに激しい哀しみと怒りを感じます。もし、この気持ちを共感してもらえるなら嬉しい事この上ありません。

中には(良心的な?)「トムとジェリー」の話は分るけど、(反社会的な?)「ダビデの星」はダメだろ、とか言う人もいるかもしれません。しかし、僕はそもそも、そういうのが嫌!!なんです!!それが僕の“人でなし”だろうと“病”だろうとです!

僕のこのブログを読んでくれる人は、それぞれの見解に多少の差はあれ「物語」を愛している人たちだと思います。しかし、運良く僕が今感じている“哀しさ”を直接感じる事なく生きてきた人も多いかもしれません。現在に描かれている「物語」たちは、現在の価値観は大抵パスするでしょう、しかしそれも時代が変ってしまえば分らなくなります。そして“別の価値”を持つ人たちは確かに僕たちよりも多くいて、彼等は「物語」歪めたなどとは気付かない程無神経に「物語」を傷つけて行こうとします。

今、何をしろという事もありません。(僕も大した事をしているワケではない)しかし、この“戦い”がある事は是非、心に留めておいてもらいたいです。そして“何か”あった時は声を上げて守ってやって欲しいのです。「物語」を愛する者なら。

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