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言葉の位相

2010年09月16日 | 物語愉楽論
最近、kichiさんと(USTREAMで主題に出した)アニメ『School Days』の主人公・誠というキャラの評価の話をしていて、そこでの会話で、以前から、ここに書こうと思っていた『言葉の位相』の話が出たので、機会を得たと思って、ちょっとここで書き出してみようと思います。

(↓)togetterにまとめ、論旨の部分を分かりやすいように抜き出して、記述順等入れ替え整形しました。また、会話の前提として実は以前にもkichiさんとは、この話題でけっこう話し合っていて、誠というキャラの所作/動作は検証していて、今回はそこをすっとばして話をしている所があります。そのため分かりづらい部分もあると思いますが、本論では、誠というキャラの真相は基本的に問題点としていないので、どういう意見の食い違いが起こっているか?想像して読んでもらえたらと思います。

【アニメ『School Days』についての意見交換かな?】
http://togetter.com/li/50826
LDmanken◆【アニメ『School Days』@漫研ラジオ】他愛もないアニメですがかなり目一杯語りました。(=´ω`=)


ito_kichi◆他愛もないって言っちゃうんですかw 一見他愛もないけど実は練り込まれまくった作品、かとw ……ちなみに昨日聞いた感想ですが、大筋では以前聞いてた通りでしたが、細かい部分の詰め方とか興味深かったですね。刹那のキスが分かれ目というのは言われてみればなるほどでした。
◆……ただまぁ、“誠を普通の男の子と見る”と最高に綺麗で面白いということは理解し最大限尊重しつつも、やはり私はその説に“乗れない”という点は譲れなかったですねw 私としてはやはり誠も世界さんと同等くらいに“異常”と思わざるをえないです。
◆誠の異常さが何かというと、“自分の罪を認識できない”というのが一番で、これは刹那の恋の件をすっかり忘れてしまえる世界さんの異常とやはり似たものに思うんですよね。
◆あと、私が誠の個性を感じた最初の部分って“世界が言葉との話をもちかけてきた時「自分が言葉を好きだった」ことに自分の認識をズラしやがった!”と思ったことだったんですがw、そういう意味で誠のキャラって最初から最後まで一切ブレがなかったと思うんですよね。
だから、誠から超誠に変わっても、その力や効果範囲は大幅にパワーアップしたけど本質自体は何も変わってないというのが私の認識ではあります。完全に受身であるから、その効果範囲の変化による周りへの影響力の変化が絶大なだけというか……。
◆まぁ、そんな感じで、最初書いた通りそう読む魅力は尊重しつつも、客観的に見てというか、いわゆるファクトとしては“誠は異常”と読む方が正しかろうと思えるという所は譲れなそうです。ここ譲るとなると私の“普通”観を(悪い方にw)変えなきゃならなそうですしw


LDmanken◆ああ…普通か、異常か、ってゲージで表現するのは難しいですけど、誠の悪ではあると思います。僕も誠の態度に血管ぶち切れそうになりましたしw
◆誠が「そう変化した以上その本質を持っていた」って本質話は『位相』があって、言葉表現が違っても最終的にどちらも同じものを観ている状態だと思います。僕の方としては、それまでは加藤が好きだった誠は居ると思っていて、それが失われてしまったという話かなと。
◆変化した以上、変化可能性因子を持っていたという指摘からは逃げられないものですよね。ただ、まあこの場合、誠にも良い面と悪い面が内在していて、僕やルイさんの話は変化以前は良い面が表立っていたねという話になるかなと思います。


ito_kichi◆ ……う~ん、ちょっと微妙な話ではあるんですが、私は本質的には「誠は変化してない」って言いたいんですよね。因子という話じゃなく、最初から行動パターン自体は一貫してると思うんですよ。逆に、超誠状態だって良い面が消えたわけじゃないとも思ってまして……。
◆ ああ、世界さんに触れることで、目覚める必要がない“異常”……というか、めだかボックス的に言えば“マイナス”でしょうかw、が、本格的に目覚めてしまった話、という風に考えていますね。世界さんに触れさえしなければ、あるいは一生開花せずに済んだマイナスなのかも……。


LDmanken◆「誠は変化してない」|はい。僕はこういうのを『位相』と呼んでいるんですが、ここで僕は「変化」という言葉に拘って「でも乙女は見限ったよ?(それは変化では?)」って言えるんですが、これは「変化」という言葉の取り合いみたいになっていて、今、実際は僕もkichiさんも誠の何が変化して何が変わってないか、分かっている状態だと思うんですよね。アプローチが違ったから最後の結論として出た言葉に『位相』が起こっているだけで。
◆そこで最後のフィーリングまで合わせるために『言葉』をとり合っても詮無いかなと。多分、互いに近い所は観ているよねで収めるのがよいかなと。…逆に「誠には一切変化がない」という話ならそれは位相ではなく対立なので話し合う必要を感じますw


ito_kichi◆……う~ん、位相の話は理解しましたが、今回の話がそれレベルの違いに収まるのかどうかという点は疑問を感じます。少なくともルイさんは異を唱えそうw LDさんもルイさんも「本質」の部分から変化を見ているように思えるのですが……。
◆ちなみに乙女の変化に関して私の視点から説明しますと、どちらかというと乙女の情報不足的な話だと思うんですが、世界に触れる前はそもそもその情報を得るのが不可能、みたいな話に思うんですよねw
◆最初書いた通り誠の異常は「自分の罪を認識できない」ことが一番だと思うんですが、そもそも罪を犯してなければその性質は現れようがないわけで、世界さんに触れるまでは誠は特別大きな罪と呼べるようなものは犯してなく、比較的善良だったのだろうと思うんですね。


LDmanken◆「変化した以上、変化可能性因子を持っていたという指摘からは逃げられない」と述べたのは、kichiさんへの意見の対立ではなく、たとえ僕が今の誠の経緯を「変化した」と表しても、変化した以上、「最初からそうだった」(つまり変化していない)というkichiさんの指摘からは逃げられないという話をしています。つまりkichiさん言いたい事はわかる。しかし、ここで普通/異常という評価ゲージを使うと個々人の評価が分かれる。誠に非があり、かつそれに無自覚な事も分かるし同意します。しかし、それはどう表現するからは、上の共通認識があるなら位相だね、と思うんですね。
◆乙女の話で言うと彼女は誠が「責任転嫁をする奴じゃなかった」所は目撃してる。そういう情報は得ている。だから「責任転嫁」をした時、それは乙女には変化と映る。僕もそう評したわけですけど。そこを詰めて「いや、根が出てなかっただけ」と言う事は可能です。でも、これは僕もkichiさんも、誠の何が変わって、何が変わってないか、分かっている状態だと思うんです。だから最後の腑に落とす言葉「変化」の取り合いをしても、それは位相の話だなと思うんですよね。


ito_kichi◆……う~ん、本当に微妙な領域の話になってますね。どうも私には誠の何が変わったかの「何」の部分が私とLDさんルイさんでは違う所を指しているようにも思えるんですが……それがどっちか確定する術はなさそうという意味では確かにこの話を詰めても栓無さそうではあります……。


LDmanken◆ニュアンスやフィーリングまで完全に一致させるのは無理として、問題はそれが本当にニュアンスやフィーリングレベルか?という話ですよね。それは実際には僕にも分かりません。僕は大体いい認識合わせまで達しているんじゃないかな?と経験から判断しただけです(汗)
◆「変化」という言葉を焦点にするから拙いかもしれませんね。→誠に非があり、かつそれに無自覚な事は同意です。それを異常と呼ぶかは個々人の評価な気がします。僕は非がある上で“分かる”と思いました。ここに齟齬があるなら、もう少し詰めた方がいいかもしれません。

説明に入る前に何点か押さえておくと、まず、今から僕はkichiさんの主張を僕の思考で想像しつつ話を進めて行くわけですが、これは常に誤解の可能性がつきまといます。これは『言葉は不完全なツール』なので、元々、あらゆる会話について回る事象で今更言う事でもないんですが、今回の話は細部の意識合わせの領域に入って行く話なので、その誤差の意味がかなり大きくなるという事です。
…というか既にkichiさんから「今回の話がそれレベルの違いに収まるのかどうかという点は疑問を感じます」と言われていますw(無論、kichiさんの側でも僕の話を誤解している可能性がある)しかも、今回、『言葉の位相』を説明するためのリライトを行うので細かな意味合いはかなりずれてしまうと思われます。ただ、それは説明できる形に直す事を優先するからです…って事を先に言っておきます。

『言葉の位相』とは言ってしまうと、互いに全体(『実相』)の認識は合っているのに観る角度や評価の仕方などで違う『言葉』を選んでしまっている現象を指しているのですが「そもそも厳密には互いの認識が完全に一致する事はない」ワケです。じゃあ、何で『位相』なんて話を持ち出すのか?はこれから説明して行きますが、結局「どこまでの認識合わせで良しとするか?」の話なので、それはその人のセンスが問われる部分なんでしょう。

もう一つ。僕はなるべく相手に伝わるような、分かってもらえそうな『言葉』を選んで説明を行うように気をつけていますが、この話って、そういう“分かりやすい言葉”によって起こる齟齬の話なんで、分かりやすくまとめる事ができてしまうと、その『言葉』に取り込まれて、分かりにく問題を分かりやすい問題のように受け止めてしまうんじゃないか?という危惧があります。
「一言で言い表すと、こう!」なんて言い方がありますけど、その一言の『言葉』による認識の差異を放置する事によって起こる問題の話をしているので、本当は分かりやすく話してしまうのは“毒”かもしれないんです。え?お前の文章なんか最初っから分かりづらいから気にする事ない?wまあ、それは置いておくとして…。

状態が説明しずらいね…という話を“説明できてしまう”と「いや、今、説明できたじゃん?」みたいな?いや、まだこれ一方(僕)のまとめであって、検証していないし?それに今回、“話す機会”としたのは説明しずらい所をそれなりに説明できるレベルのサンプルを得られたからと思ったわけで、際の話だし?みたいな?w説明できた範囲を延長しイメージを広げて説明しずらい齟齬の領域をイメージして欲しくって、説明できた範囲に留まる「分かった」は毒だよ…って言っている事、分かります?

え~っと…言葉は(伝達のための)ツールであって、実体そのものでないから『言葉』を認識するのではなく『実相』を認識する事…って話かな。言葉によって“伝わってきた事”を言葉そのものでなく『実相』に変換しなおして認識しようと意識する。この人は何を言っているのだろう?と想像する…そのもう一歩背面くらいの感じ?w…そうすると「あ、これって使った言葉が違うだけじゃん?」といった状態が観えてくる事もあるかな~とか思ったり思わなかったり…。(´・ω・`)(←何故、自信なくなる?)

…んんん。先に押さえておく話でえらく文字数とってしまったし。しかも、ここでまとめてしまった気もするけど(汗)…まあ、以下、実例っぽく(?)語って行きます。上の議論を、仮に「本件の主題の説明しやすさを優先して簡略化/変換」し、図で示してみると、たとえばこんな(↓)モデルになってくるかと思います。



L「物体CはAラインからBラインに変化した」

K「物体CはBラインに変化する事はAラインの時点で描かれている。故に物体Cは連続した存在であり変化はしていない」

図は“言葉認識”からくるイメージ世界と思って欲しいですが、本当にこんな簡素なイメージではなく、今分かりやすく説明するために簡素な図に置き換えただけで、実体はもっと混沌としている事をイメージして下さい。この図を見るとLくんとKさんの主張の違いの両方を比較できるように直されているかと思います。
Lくんが「物体CがAラインからBラインに移動した。故に変化した」と言うのに対し、Kさんは「物体CがBラインに行くことはAラインにある時点で分かっていた。それは変化とは言わない」と返している感じでしょうか?
こういう意見対立の議論って指示している対象を分解検証して話を進めていってみると大抵、違う場所と違う場所で「変化している」、「変化していない」を論じていたりするんですが、もう少しややこしい状況というのがあって…。

実は、今、このモデルは「変化していると主張するLくん」の立場からLくんの視点に合わせてKさんが自分の視点を説明してくれていたから問題の焦点を分化できている面があるのですが、本来、「変化していない」からロジックを組んでいるKさんの主張は変化したと理解させるAラインとBラインというモデルをイメージしないはずなんですね。
A、Bなんて2本の軸があってそこを移動したら、そりゃ変化だろう…って話にもなりかねないんですが、それは対立点を明確化するために2本軸の視点に合わせた上で、変化のない解釈を説明しているからであって、Kさんの本来的なイメージ世界は変化のないDライン一本をイメージして、それで物体Cはこのラインを通るから「変化はない」と主張する事になるはずなんですよ。

KさんがLくんに“譲って”A、Bライン視点から自分の主張をする事は可能だし、実際、相互理解というものはこの手法で前進して行く面も大きいのですけど、でも、この手法をとる限り、真にKさんの中にあるDラインのイメージは、一向にLくんへ伝達する機会を得られないワケです。果たして「Dラインイメージ」は本当に俎上に上げなくていいイメージなのか?

まあ、譲れる程、互いの主張を理解したなら譲ってしまうのも対応の一つだとは思います。しかし、AラインBラインが存在するイメージと、Dライン一本のイメージは本来全然別物で、その上、人の中にあるイメージというのはその人だけのモノで、今、A、B、Dラインと言う言い回しで比較が可能になっているけど、実際はラインなんて共通化可能な状態ですらなく、もっと様々な要素が絡んだ動かし難いものであるはずです。そのため、ず~っと「認識が合わない」として互いの主張を続ける場合がある。…ありますよね?

…でもねえ。こうまで認識が合わない世界とか語っておいて何なんですが、もし互いに対象の『実相』を掴んでいるのならば、僕はもうこれ、使っている言葉が違うだけで同じものを観ている…でいいんじゃないかと思うんですよね。
ここでアニメ『School Days』の誠の話に戻ると、僕とkichiさんは以前の会話で、誠が物理描写としてどういう変遷をしたのかは共通認識が取れているはずなんです。故に焦点は、誠の内面の話になっています。
LD「誠は元々はいい奴だったんだけど変わった」kichi「いや、見る限り元々いい奴だったとは言えない」が、焦点だと思う。しかし、実は個々も既にかなり分解検証していて、どこを持っていい奴と述べているのか、どこをもっていい奴だっと言えないのかも確認されているんですよね。(少なくとも僕はそのつもり)

これ「人それぞれの話」みたいなモノとはちょっと違うのですが…。そのキャラクターについて相応の所まで『読み』解いて検証する。その際に『言葉』というツールを使う。互いの視点が違うのだから言葉で組み立てられる表現も違う。上のモデル図のように同じ対象を観ていても「二本軸で構成されている」「いや、一本軸だ」くらい違う。
そうやって『読み』進めて行って、そのキャラクターの『実相』が掴めたなら、ツールである言葉表現が何故違うのか観えるし、観えてしまえば、それは『言葉の位相』というもので、状況に応じて変じればよく、偏にそこに拘って言葉の取り合いみたいな事をする必要はなくなる。

ある不明な実体について話し合って実体を掴もうとする。その際に有効な伝達手段である『言葉』を使う。言葉で表すために実体は(自分から見える)一面のみの写しで、かつ“わかりやすく”(伝えやすく)加工されて述べられる。しかし、実体が掴めたなら、“不完全なツール”である『言葉』によって加工され、形を変えられた表現に必ずしも拘る必要はなくなるよね?

『実相』を掴んでいるならそれはもう『言葉の位相』だよね?と…。
あっと。『実相』の説明が残っていました。『実相』というのは何か?…ここで言いうと誠というキャラの『実相』について語ってみると、彼が「変わったのか?」「変わらないのか?」それはハッキリしている。「変わった部分もあり、変わらない部分もある」が誠の『実相』でしょう。「○○さんは良い人か?悪い人か?」→「良い面もあり、悪い面もある」が『実相』ですよね。それで何らかの都合により「良い人か?悪い人か?」をはっきりさせる必要が生じる場合がある。でも、それは『言葉』の加工であって『実相』が変じるわけではない。
何が変わり、何が変わってないか、明確に認識しているなら、実相を掴んでいるなら、話を分かりやすくしたり、文脈に載せるための加工法である“言葉の評価”に拘泥する……というか、とにかく“言葉の取り合い”をする必要はなくなる。状況に応じて変じればいいはずなんです。

…と、ここまで書いた所で「『実相』を掴むなんて本当にできるの?そんなの幻想じゃね?」という話が出てくるんですけどね(汗)(ちなみにその幻想は『真相』と呼ぶ)まあ、僕は他にも「共通認識が得られた」なんて言葉を使いますが、これも「真の共通認識はあり得ない」事を前提で使っている言葉で、ある一定のレベルで、まあ、そう言っても良いだろうという判断に基づいて用いている言葉ではありますね。
実際に「まだそこ(共通認識)まで、至っていないんじゃないの?」というkichiさんに対して、僕が答えられるのは「経験からすると、まあ大体話し尽くして、認識もそれ程ブレていないとして良いと思いますよ?」くらいではあるんです。「あ、そこまだ詰めてなかったわ」という示唆があれば、すぐ認識改めますしね。

ただ、この『言葉の位相』を認識する事によって、意見交換、意思伝達のある程度の効率化を図れると思います。
『言葉』というのは“分かりやすく伝達する”ために、あるいは自身が“分かる形で分かる”ために、『実相』を加工整形して成り立っている。そういうツールである面がある。故に状況によって『位相』が起こるし、『実相』を掴めば『位相』の仕組みは見えてくる。その意識を持てれば、もう、散々話しあって『実相』は互いに完全につかめているのに、何故か、言葉の取り合いを延々とやっている…みたいな状態を早く脱する事ができると思うんですよ。


【絶対視思考と相対視思考】
以前、『言葉の位相』に触れた時の記事です。あまり上手く説明できていませんが…(汗)
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/06fb37c8864a033a789f1a794f41dd07

【言葉はツール】
繰り返し引っ張り出される『物語愉楽論』の超定番記事
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/338f2a8d55210bab964216e766e26e9f

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