舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

上品なフラ・ダンサーになるために

2014-03-18 05:25:53 | ダンス話&スタジオM
すみません。予告から間があいてしまいました
今日こそ「上品なフラ」についてのお話です。


そもそもこのネタに思い至ったのはアクセス解析の検索キーワードを見たのが発端で…って、そういえば、早速正しい「舞」蛙堂で検索してくださった皆様、本当にありがとうございます
さきほど最新のデータを見て、ワタクシ大変感激&感謝致しました
データからはどなたが検索してくださったのかまったく分らないため、この場を借りて御礼申し上げます。
これほど念入りにご高覧くださっている方にならば、きっとこの感謝の思いも届くでしょう


そんなわけで、拙ブログにどういった検索キーワードからお越し頂いたかが分る便利なデータを毎日楽しみに見ていたところ、その中に「日本人のフラって下品に見える」という一文が載っていたのですね。
う~む、確かに私ゃ二言目には「こういうフラは下品ですぞ」という話をしておりますから、それでググってこちらに辿り着くのは納得です。
その方が求めていた情報を得られたかどうかは定かではありませんし、これから書く記事もその方の意向に添ったものであるかどうか分りませんが、本日は「日本人フラ・ダンサーが上品に踊るために=下品にならないために留意すべき点とは」というトピックでお送り致します。


私はスタジオMの全生徒さんに上品なダンサーであっていただきたいと願っております。
それ以外の方に対しては、私ごときが意見する権限などもちろんありません。
しかし、世の中にはまだまだ「本物のフラ」を知らずに様々なステージで踊られるフラを目にする方が大勢いらっしゃるわけで、そういう方はその場で観たフラこそが「フラ」というものだと認識します。
たとえそれがどれほど品位を欠いたフラであってもです。

そう考えると、フラを身内での見せ合いっこや閉ざされた空間内での練習のみにとどめず、人前に見せるダンサーなのであれば、どれほど初心者であろうと趣味のサークルであろうと、観客に「フラってずいぶん下品なダンスなんだなあ」などと思わせてしまうようなものを見せ、フラの品位を貶めるべきではありません。

フラはハワイの文化であり、それを日本人がいわば部外者の立場から踊らせて頂く以上、ただ自分が楽しむだけの自己満にとどまってはならない。いえ、もちろん楽しむのは良いんだけど、本当に楽しむ「だけ」になってリスペクトの気持を忘れたのではいけないのです。

ただ、せっかくリスペクトの気持があっても必ずしも上品に踊れるというわけではないんだなあ、残念ながら(笑)。
したがいまして、私はフラ・ダンサーとしての心構えを説教するんではなく、の点でどうすれば上品なダンサーになれるか、ミもフタもなく解説しようと思います。



(1) 外見

まず最もミもフタもない話、ダンサーのヴィジュアルについてです。
といっても、ここではその人元来の容姿・体型・年齢については一切不問です。

私は正直、フラの世界でそんなモノはへの役にも立たないと思っています。
たとえば私が「フラモデル=フラモさん」と呼んでいるとあるダンサーの方など、見た目からいえばミスコンで幾つも優勝&入賞するのもうなずけるルックスではありますが、そんな彼女がメリモのミスアロハフラに2回も出たにもかかわらず、じっさいにミスになったのは彼女ではありませんでした。

もちろん、彼女に輪をかけて見目麗しい人が優勝したからではありません(スタイルが良い・目鼻立ちが整っている事を「美しい」というのなら、出場者の中で彼女が最も美しかったでしょう)。
純粋なる実力です。
私は2回とも現場で観ましたが、この結果には至極納得でした。

もっとも、今日は美の話ではなく、品の有る無しの話ですので、そろそろそちらの視点にもどりましょう。


ダンサーの容姿や年齢だけで「あんなブス/オバサンが踊っているなんて下品だ」などと断じるような人は、そもそもフラを見る目以前に人を見る目が無いのでどうでもいいですね(笑)。
もっと常識的な目を持った観客に見せる場合にどうすべきかというと、容姿や年齢に関わらず、やはり人前で踊るのに相応しく装う事が大切です。

少なくとも、練習着みたいな格好とか近所のスーパーに行くのと同じメイクや髪型でステージに立つべきではありません。
いくら若くたって、あまりみすぼらしい格好で踊るのはいただけませんし、ケイキろうがカヒコだろうがスッピンで良いわけは無く、厚化粧しろとは申しませんが、それに相応しく顔を整えるのがお客様に対する礼儀ってものです。
そう、外見にまつわる事は品の有る無しというより「礼儀」なんですよね。前の記事にも書いたけど。

あとやっぱりまた別の記事で書いたとおり、あまりヒワイな服装もよろしくありません。
観光客向けルアウショーのおねーちゃんじゃあるまいし、地域のお祭りやデパートのイベントなんかで闇雲に露出されたって誰も喜ばないってば。

こないだも某イベントでそういうヒワイな服装の方々がこれまたヒワイに踊ってらっしゃるのをものすごくカブリツキで見なければならないという精神衛生上かなり危機的な状況に陥りまして、振付の中でその方々がまたまたヒワイに投げキッスなぞするものですから掴んで投げ返しました


(2) 姿勢

さて、人前に出るに相応しい装いになったら、次は踊る際の姿勢です。
姿勢が悪いと下品にも貧相にもなるので注意が必要です。

フラには様々なスタイルがあり、ウチのように重心が比較的高く、お尻を後ろに出さないで真っ直ぐな状態で踊るスタイルもあれば(カムエラのクネヴァ様もそういう系統です)、膝をかなり深く曲げて重心を低くし、お尻を後ろに引いたのが基本ポジションのところもあります。

しかし、どんなスタイルであっても姿勢を良くする事の重要性に変わりはありません。

たとえば「ウチのクムはお尻を後ろに出すスタイルだ」と認識した日本人が、その目立つ箇所だけを安直に真似してただお尻を出っぱらかして踊ったらどうなるか。
下品になります。っつーかそれじゃゴリラだよ。もはや人間ですらないよ。

お尻を後ろに出すスタイルにも、そのスタイルに合った「姿勢の良い踊り方」が必ず存在します。
ウチはお尻を出さない系統なので、どうしてもお尻を出す踊り方は見慣れていないせいか綺麗に思えないなあと思いながら観ていると、それはたいてい踊り手が下手だからで、クムや正しく習得しているダンサーが踊れば、同じスタイルでもちゃんと上品に美しく見えるものです。

そういえば、故カマレイ・サタラカ先生が20年ほど前、ワークショップの際に「チチ(乳)アップ!!!」を連呼していたのが未だに鮮明に記憶に残っています。
カマレイ先生といえば、コミックフラで名高いクム。
どれほどウケを狙った踊りを踊ろうと、フラにおいて良い姿勢は決して失われてはならないという事ですね。


個人的な認識を言うなら、フラは胸の上にプライドをのせて踊る踊りだと思います。
「プライド」って書いてある風船を胸の上にのせて、常にそれを落とさないように踊っているイメージです(笑)。

あと頭の位置も重要ですね。
身体を横から見たとき、決して背骨より前に来ていてはなりません。
たんに姿勢が悪くて前に来てしまっているだけなら貧相に見えるだけですみますが、コレと出っ張ったお尻のコンボはもう最低。絶望的なまでにゴリラにしか見えなくなってしまいます(笑)。


(3) スウェイ

コレも上品なフラのために大変重要な箇所です。
というより、ココでしくじると一気に下品フラになりますから、細心の注意が必要です。

まったくフラを知らなくても、フラといえば腰を振っているもの、という認識が多くの方にあるでしょう。
しかしダンサーはそれじゃダメです。ダメダメです。
フラの腰は「揺らす(swing)」ものではなく、「揺れる(sway)」ものなのです。



swingとswayの違いは簡単。作為的に振っているか、ステップに伴って自然に揺れているかの違いです。
正しくswayしているヒップは、これまたスタイルにより揺れの大小や揺れ方の微妙な差異はあれど、自然にステップのあとからついて来るように揺れている点において一致しています。

また、自然に揺れた場合、ステップが変わってもこれまた自然に繋がります。
これが作為的に振っている状態だと、ステップの切り替わり時はもちろんの事、右から左にスイッチしただけでわざとらしく動きが止まります。
ちょうど遊園地に昔あったバイキングみたいな感じで振りの頂点で止まってしまいます。

swingの悲劇はとりわけケイキ~若い人に起こりやすいですね。
ケイキは主におバカな先生(ごめんねプロに対しては特に口が悪いんだ)や無責任な親などの大人達によって、「子供がいっぱい腰を振るとウケがいい!振り方なんかどうでもいいからとにかくバンバン振らせちゃえ」という安直な指導や自主トレが行われた結果の悲劇の産物である事が多いです。
私ゃコレもつい最近某イベントで見たよ。子供達が全員見事にswingしてた。たぶんあの年齢からswingやっちゃってたら、いつかもっとマトモに踊りたいと目覚めたとしても一生swayにはなれないだろうし、そもそもそれ以前に腰を痛めて長く続けられないと思います。

ウチの四代目にはもちろんそんな事させない。というか、昔からウチのケイキクラスではそういう指導は行わなかったので、ケイキから大人クラスに入った生徒さんはみんな、大人になっても同じスタイルのまま(もちろん腰を痛める事も無く)自然に踊ってます。
本来、子供は大人より先入観に囚われず素直に見たままを真似できるので、正しい事を教えれば正しく踊れるようになるはずなんですよ。
ただただ大人ウケを狙ってヘンテコswingをさせられているケイキチャンは本当に可哀想です。

それと若い人。いくら若くても、第二言語がもはや外国語としてしか覚えられない年齢(十代後半~二十代)になるともう覚え方は「大人の覚え方」になります。

コレは決して悪い事じゃない。私はそれこそ第二言語以降の言語は全て外国語として学んだけど、子供には出来ない理詰めの覚え方をしたからこそ上達しました。特に発音なんて大学で発音記号とにらめっこして身につけたものです。
でも、見たままを素直に真似するのではなく、自分の頭で考える過程が入るからこそ、先入観に誤誘導されてしまうことがしばしばあります。

これがフラの世界で起こると、「フラはセクシーに腰を振る踊りだ」という認識が先立ち、それを一生懸命実践しようとしてしまうのですね。
なぜか若い人ほどその傾向が顕著です。よって、十代後半~二、三十代のワヒネダンサーに、過剰な方向で残念な人が多発しやすいです。
つい最近のイベントでもそういう若い人達を見ました。彼女達はプロのショーダンサーとして活動している人達でしたから、特徴を捉えようとする熱心さが裏目に出たのでしょう。

そして、どれほど子供や若い人であっても、下品なものは下品です。
百戦錬磨のクプナダンサーがわざと下品に「しでかす」のと違い、本人はすっかり二の線だと思い込んで下品な踊りをしているのは痛々しさエベレスト級です(笑)。

自分のヒップがswayなのかswingなのか自信が無いという人は、とりあえず腰について考えるのをやめ、基本に忠実にステップの練習をしましょう。
上半身の動きを抑え、自分のスタイルに従った正しい体重移動でひたすらステップの練習をしていると、やがて何も作為的な事はしていないのに腰が揺れるようになって来るはずです。それがswayです。


(4) 抑制

ヒップの動きと対になっている重要な事、それは「余計な部分の動きを抑える事」です。
ヒップをどれほど必死に動かそうと(そもそも必死に動かそうとする事自体間違っているのは前述のとおりですが)、上半身が一緒に動いていては台無しです。
逆に、ヒップの揺れが僅かであっても、ムダな部分が動いていなければきちんと揺れているのが見えます。

最も犯しやすい間違いは、ヒップと反対方向に上半身が逃げる事です。
コレは本当に見苦しい。大変下品な動きです。
上半身は体重移動に伴って静かに動くものであり、ヒップの揺れとは一切連動しません。
特に胸から上は、剣道の達人のごとく静かであるべきです。

また、肘や膝も必要以上に動かすと品が無くなってしまいます。
「この人の踊りなんかウルサイなあ」と思ったら、まずヒップと上半身が連動して逆方向に動いていないか、続いて肘や膝がいちいちバタバタしていないかチェックすると良いでしょう。
踊り方のウルサイ人はたいていこのいずれかまたは両方に該当します。

特に膝の動きがウルサイ人は、タイトスカートやスリットの入ったスカートをはいた時に下品さが強調されます。
あと、メレフラでパンツルックで踊った時イヤに下品な下半身になるダンサーもそうですね。
普段の練習でパウしか穿いていなかったりすると、膝の動きが過剰で下品になっている事に気づかない事が多いです。
もし教室の指定で練習時にパウしか穿けないのなら、ぜひ家に帰ってから鏡の前でタイトスカートなど膝の動きがよく見えるものを着て練習してみましょう。

実を言うと、動きを抑制する事は目一杯動くより遥かに難しい事です。
しかし、フラにおいてはどんなスタイルであっても抑えるべきところを抑える事がとても重要ですので、クムや指導者の手本を見るときは派手に動いているところばかり見ず、「どこを抑えているか」にもしっかり注目しましょう。


(5) リラックス

最後の3項目は日本人が特に苦手なものです。
一つめがこの「リラックス」。コレが出来ない日本人ダンサーは本当に多い
肩や腕に力が入っていたり、より大きく腰を振ろうとするあまりガッチリ固まっていたりするのです。
そして、ムダな力の入った踊りはおよそ品がありません。

また、派手に踊るためには力一杯踊らなければならないと思い込んでいる人も多いです。
でも本当はそんな事ありません。むしろ逆です。適度にチカラの抜けた伸びやかな動きの方が、ゆったり大きく見えるものです。

先ほど良い姿勢で踊る事を力説しましたが、この良い姿勢も力ずくで保っているわけでなく、背筋を使って胸の位置を高くしたら、あとは本当に楽に力を抜いて流れに任せています。
まあ、あとは適度に膝を緩めた姿勢を保つための太股の筋肉くらいですかね、使っているのは。

もちろん、力を抜いているからといって、本当に手抜きをしているわけではありません。
ひとつひとつの動きを丁寧にする事も大切です。
しかしこれまた力ずくでやっているわけじゃないんですね。
このあたりのさじ加減は、上手なダンサーやハワイのダンサーなど良い手本から学んでいくしかありません。


(6) タイミング

日本人が苦手なものその2、タイミングです。
ご存知のとおりハワイには「ハワイアンタイム」というものがあり、フラもそれに相応しくゆったりとしたタイミングで踊る踊りです。

カウント「1」に遅れず動くとか、もっと酷いときは1よりも前に準備万端にしておくとか(笑)、そういうキッチリした踊り方は日本人の好みではあるかもしれませんが、まったくハワイ的じゃありません。
どれほどせっかちな人も几帳面な人も、ひとまずはそれらをステージの外・教室の外に置いて、ハワイらしいのんびりしたタイミングで踊りましょう。

これを実現するためにも、私はあまりノートを取る事をお勧めしてない(あるいは最低限にとどめる事をお勧めしている)んですよね。
ハワイらしいタイミングって絶対ノートには書けないですもの。
ひたすらハワイの人の踊り方を観て、そのタイミングを自分の身体に覚え込ませる、それが重要です。
で、そのタイミングだと結構踊りながら歌詞を聞いた上で順番を考えても間に合うので、それほど躍起になって順番を覚えなくても良かったりする(笑)。


(7) mino'aka

最後はミノアカ、そうです「笑顔」です。
これも日本人は苦手ですねえ。
笑えないって意味じゃないよ。笑ってても笑い方が凄くおかしい人が多いんだ(笑)。

一番キツいのは、おそらく指導者から「笑え!」と命じられているのであろう、道化師の仮面を被ったかのごとく張り付いている無表情な笑顔ですね。
いや~アレは怖い怖い(笑)。
あと決められたタイミングで決められた回数だけ眉毛を動かすのとかも怖い。悪夢に出て来そうです。
だいたいの歌は初耳でも大まかな意味が分る身としては、明らかに悲恋の歌なのにギラギラ笑っているのを観たりすると、恐怖のあまり気絶しそうになります。

それと、キツいと言うかイタいのが、前述の(1)~(6)に挙げたような項目が絶望的なほど出来ていない残念な踊りなのにも関わらず根拠の不可解な自信に満ちあふれたドヤ顔で踊っている人(笑)
えええ、あなたの自信はどこから来るの
羨ましい。30年近くやってるのに未だ劣等感に苛まれ、自分と母の踊りを見比べては嘆息している私にその自信を分けて欲しい。切実に(笑)。

そういう人はだいたい歌詞内容とは関係なく「どう私の踊り凄いでしょう、上手いでしょう」という表情をしており、あ~自分に酔っちゃってるんだな~という感興しかもたらしません。
だからまあ、自信というよりは自己満なんでしょうね。きっと。

似たような下品なものを最近見たぞ…。
ああ、そうだ。ミュージッ○ステー○ョンに出た某アイドルグループの、卒業を宣言した某センターの人だ。
その人がカメラの前に滑り込んで来て、ドヤ顔で足をおっぴろげてスカートの中を丸出しにして歌ってるんだけど、その人の顔もスカートの中身もひたすら汚いだけで、「凄いでしょう」と思い込んでるのは本人ばかりなり、という大変痛々しい映像でした。
まあ、あの人は国民的歌番組で空気も読まずにどうでもいい卒業宣言とかしちゃう人だから仕方ないのかもね。



とりあえず、(1)~(7)を意識して踊れば、品位の欠けたダンサーにはならないですむと思います。
もっとミやフタのある話、つまりフラにおける精神論とかアロハの心がどうとかそういう方向から品位について語りたい向きは、私より遥かに適任の方がこの業界には大勢いらっしゃると思いますのでそちらに譲ります。







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2 Comments

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Unknown (hula dancer)
2014-03-18 08:12:44
good job!(図々しい言い方でごめんなさい)

いちいちうなずきながらの拝読でした。
プライド、スウェイ、タイミングが特に同意。
勿論、他の項目も。

いつもひっそり読ませてもらっています(笑い)
ありがとうございます! (lanarana@店主)
2014-03-18 18:49:23
>hula dancerさま

good job頂きまして大変光栄に存じます!
そのうえ共感いただく事が出来て嬉しいです♪
プライドもスウェイもタイミングも、上品なフラ・美しいフラにはとても重要ですよね。

またひっそりお越し頂ければ幸いです(笑)