フツーの見方

フツーの論理で考えれば当然だと思うことが、なぜかマスコミでは出てこない。そんな意見を書き残しておきたいと考えてます。

痒みの研究

2023-07-19 | Weblog

 夏なので蚊に刺されるリスクも増えるだろうからタイムリーなネタに走る。多分参考になると思うが、個人差もあるかも知れない。あくまで自己責任で、十分注意して実験してもらいたい。

 我が家も庭があるので暑くなって生垣や雑草が伸びてきたら刈るのはご近所の手前ノルマでもある。当然庭に出れば蚊によく刺される。痒みというのは厄介で、理性では我慢しようと思っていても知らないうちに引っ掻いてたりする。蚊の害以上に引っ掻きのダメージが長引く事も多い。市販の虫刺され薬を塗っても放置してた場合と比べて「痒み」に関してはそれ程有効という感じがしないし。
 と悩んでたらネットで、患部を熱すると痒みが収まるという情報を見つけ、ものは試しで実行してみた。
80℃以上の温度でないと効果がないとあったので、火傷しないように高熱に晒す方法として、布巾に熱湯を掛けてそれを患部に押し当ててみたら、驚いたことに嘘のように痒みが消えた。再現性も私の場合ほぼ確実。玉石混交のネット情報としては大正解だった。お陰で庭仕事の憂鬱が一つ軽減された。

 私のやり方は、乾いた布巾かタオル(濡れてると温度が下がるのでNG)の一部に沸騰直後の熱湯を掛け、掛かっていない所を持って、患部に熱い面を最初は叩くように素早く当て、少し慣れてきたら我慢できる限界まで当てては離しを数回繰返す。これでほぼ瞬時に痒みが消える。虫刺され薬とは比べ物にならない劇的な効果だ。
ただしぬるい湯や少量すぎると効果が薄い。少なくともずっと当てていられる温度では痒みは消えなかった。
しかし熱湯面を長く当てれば本当に火傷になってしまうので加減が難しい。ベチャベチャに濡らして湯滴が皮膚に残ると非常に危険なので皮膚に湯滴が付かない濡らし加減を自分で見つけてもらいたい。万一湯滴が付いたらすぐに乾いたタオルで拭き取る事。液体の水は比熱が大きいので大変キケン。サウナ80℃なら耐えられても風呂だと60℃でも確実に大火傷になるのは気体と液体の熱容量の差。
 皮膚が薄く火傷耐性の弱い子供には危険なのでこの方法は使うべきではない。多少ヒリヒリしても大丈夫な大人が、自分の感覚で加減する事が大前提で、他者には使えない。
 一箇所消えるとその近傍が痒くなる事もある。多分複数刺されていて強い痒みにマスクされていたものが表に出てくると思われる。同じ様に繰返し処置すれば良い。

 元の情報では熱で蚊のアレルギー物質=タンパク質が変性して解毒されるという推測が付いていた。タンパク変性は大体50℃以上から起きるので、だから80℃が必要なのか、とその場では納得したのだが、蚊のタンパクが変性するなら当然皮膚タンパクも変性して火傷になる筈で、この説明は疑問。
 その後、蚊以外の 蕁麻疹やアレルギー的な痒み、ゴムかぶれ、汗かぶれ、と言った症例にも試してみたら同様に痒みが消える or 大幅軽減する事が判った。但し皮膚病的なケースでは暫く(30分~2時間位)すると痒みが戻ってくる。この点からもタンパク変性とは考えにくい。結局直接原因を治す効果はないから炎症がある場合は塗り薬も使った方が良いだろう。
 という事で、タンパクを変質させているのではなく、痛覚を強く呼び起こす事で痒みを感じる神経が一時的に遮断されているのではないかと推測している。
一般的な蚊(イエカ)の痒みは大体数十分あれば自己治癒するので再発した事は無い。
不快な痒みを我慢しなくて良い点、引っ掻く事を回避できる点に有用性がある。
原因がはっきり判らないが痒くて我慢できない時にも有効。引っ掻くと皮膚が傷ついて却って痒みが長引く恐れがあるので間接的な治療になる。ただし痒みが戻ってくる場合は真の原因と治療法を探した方が良い。
欠点は一々湯を沸騰させるのが面倒なぐらい。ステロイドのような副反応が無い点は安心できる。

 当然ながら蚊による伝染病対策にはならないので、その疑いがある場所で刺されたら素直に病院に行くべき。
 痒みも警報の一つなので、原因について確認する事は必要。軽い痒みは問題ない事が多いだろうが、何か重篤な病気が隠れているケースも無いとは言い切れないから。

 私は医学は専門外なので、以上はあくまで個人的な推測である。自己責任を徹底してもらいたい。

 科学的な興味で、いざ調べてみると意外にも痒みの仕組みは正確には解明されていないらしく、ごく最近になって痛覚とは別の神経系があるとか、アトピーの場合の受容体が特定できたとか、現在進行中の分野のようだ。よって情報収集では検索順以上に記事の年次にも注意を払う必要がある。

【特集】かゆみのメカニズムを理解する(冨永 光俊)ファーマスタイル 2022年12月号
https://www.credentials.jp/2022-12/special/
 痛みとは別にかゆみを伝える感覚神経線維がある事、痛みによってかゆみが弱まる機構が働く事が言及されている。最近の医学系雑誌なので一応信頼が置ける。

慢性的なかゆみの新しい神経系メカニズム(津田 誠,白鳥 美穂)生化学 2016年10月
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880654/data/index.html
 学会誌の論文だが短めで比較的解り易く書かれている。専門外でも「はじめに=Introduction」と「終わりに=Conclusions」だけ読めば何とか概要理解できるのが論文の書法~どんでん返しは御法度。通常「Abstract」も付く事が多いがこの論文誌では略されてるようだ。
 かゆみの神経化学的基盤の説明から、痒みで引っ掻くことの悪循環が説明されている。即ち引っ掻くのを止めるだけでも治癒に近づくという事だ。

蚊に刺された時のかゆみの強さ(遺伝子検査マイコード)
https://mycode.jp/fumfum/itch-intensity-for-mosquito-bites
 蚊に刺されるとなぜ痒くなるのかの説明は納得。個人差は遺伝子だけで説明できるとも思えない。ちょっと宣伝誘導気味なので要注意。

わずか「45秒」でかゆみが消える! テクノロジーで「虫刺され」の対処法が変わる(GetNavi web)
https://mainichi.jp/articles/20180830/gnw/00m/040/001000c
 明らかに商品宣伝だが、熱で症状が改善される事に言及してる。ただし米国の研究と書いてる元ソースが不詳で論文なら失格。原理的には近いので有効そうな気もするが、私は実際に使ってないので保証は出来ない。
 検索したら類似品も多数あり、ポイズンリムーバ~蚊の唾液タンパク質を破壊すると原理説明している物もあった。これは上述の通り、間違いと思う…がタンパク変性以外の理由で50℃程度で毒性が変化する可能性も否定はできない。
 別の類似製品では、熱+振動を与える事で局所的な血流と循環を高めて痒みを緩和するという説明もあった。かぶれによる痒みは風呂で軽減する事もあるので、血流の影響も否定はできないが、熱布巾では瞬時に痒みが消えるので血流で説明できるかは疑問。
 私の体感では40~50℃では温度不足と思うが、実際効いてるとしたら、肌に局所的な接触熱刺激+振動の相乗効果で熱布巾と近い効果が起きるのかも知れない。これも実験してない以上肯定も否定もできない。
 まあ理由はともあれ、使ってみて効いたならラッキーというシロモノだ。一応効いたというレビューも複数あったし。
加熱条件の再現性は高いと考えられるので、まず低温×極短時間から始めて効果を確かめながら使うには良いかも。これなら子供でも試せるかも知れないが、私は実際使ってないので保証はしません。

虫刺されによるかゆみが止まらないときの対処法は?症状や原因も解説(スギ薬局)
https://www.sugi-net.jp/sugi-channel/415
 炎症に対し冷やす事を推奨。冷却も痛覚を呼び起こすので有効だろうと推定するが、私は熱の方が効果が手っ取り早いと思う。自分で試してみて有効だったなら使えば良いだろう。

吸う 冷やす それとも貼る 「蚊に刺されたかゆみをとめる 裏技」(花岡歯科医院)
http://www.hanaoka-shika.com/original44.html
 歯科医なので専門外ではあろうが思考法は科学的なので参考になる。
 絆創膏を貼るのは試した事が無かった。早速実験してみると確かに効くような気もする。ピンポイント的なので複数刺されたり、場所がぼんやりとしてる痒みには熱布巾の方が手っ取り早いだろう。刺された場所が明確に判るケースなら良いかも。
ただこの方法も長時間経つと痒みが復活してきた。火傷リスクはないが、長時間貼ってると接着面がかぶれ気味になる欠点もある。私はあまり使いたいと思えない。数十分で剥がしてしまうべきかも。
花岡氏の仮説だけでは経時変化は説明できないので、正確な原理は不明だ。接着刺激でも神経系が切り替わるのだろうか。
 医学研究が目的ではないので理由は不明でも自分で試して有効性と再現性があれば自己責任の範囲で利用すれば良い。
 タバコの火は熱布巾と同じ原理と思うが、火傷リスクが寧ろ高いと思われるのでいつもタバコを吸ってる人以外はお勧めしない。
 ストローは面倒そうであまり試したい方法とは思えないのでパス。気になる人は自分で実験を。
「熱や痛みなど、かゆみよりも強く感じる刺激を利用した裏ワザ」という視点に私も同感。最初の文献にもあったが、痛覚の方が痒みより生命維持に緊急性があるので、進化の結果として、強い痛覚刺激があった場合に一定時間痛覚が優先され痒みはマスクされる神経系の仕組みがあると推測する。命の危険がある時に痒いなんて言ってたら生き残れないだろう。現状確証はないが、大きな矛盾なく説明できるので門外漢としてはこの解釈で満足。

 さらに完全な憶測になるが、なぜ「痒み」が必要になったかというのも蚊に対する対策で生まれた進化ではないだろうか。ネット検索によれば、人間自身を除けば、人類を最も殺してきた生物は蚊である。ならば蚊等の伝染病系の虫の存在を検知して多数繁殖している場所を回避する能力は種の生存に有利に働くと考えられる。ただ蚊の害を「痛み」として感じると、蚊の完全回避は当時の生活環境では不可能なので日常生活にも支障をきたす事になるだろう。だから痛みより弱い不快な感覚として警報を出す機能が発達したのではないだろうか。
 うーん、なかなか壮大な世界に繋がった。

 ついでに調べてみたら、吸血する虫でもマダニは噛まれても自覚症状が出ないらしい。多分、マダニのリスクは蚊に比べれば圧倒的に小さいから進化の過程では無視されたのか、あるいは蚊より長時間吸血する必要があるのでマダニ側の適応進化かも知れない。

 一方、アトピーの痒みは生存に有利な反応とは思えないのでなぜ起きるのか不可解。これまでの進化時には存在してなかった人工化学物質が人体メカニズムを誤作動させるのだろうか。こちらは現在も医学研究が進行しているようなので将来に期待しよう。


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