フツーの見方

フツーの論理で考えれば当然だと思うことが、なぜかマスコミでは出てこない。そんな意見を書き残しておきたいと考えてます。

FMチューナーはオワコンか GT8編

2021-04-12 | Weblog

 KT1で満足した後、そういえば30Tの前、最初に買ったチューナーがあったことを思い出した。部屋の奥から探しだしたのがトリオが組立キットとして発売したケンクラフト/GT-810。これに関してもほとんど記憶がないのでネットで情報を探すと、
Kencraft GT-810 '73年発 定価\39.8K
 仕様:FM4連AM2連バリコン搭載 キットモデル W400×H140×D330 約7kg ~中身はTrio KT-6005('72発 \49.8K)とほぼ同等らしい。そのSpecは 歪0.3% SN70dB Sep≧38dB MPX部=ダブルスイッチング・デモジュレーター方式(D.S.D.) レシオ検波 非PLL MPXで回路はディスクリート
(参考)
BLUESS Laboratory https://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2012/10/kencraft-gt-810.html
オーディオの足跡 https://audio-heritage.jp/TRIO-KENWOOD/tuner/kt-6005.html

 さて30Tと交代して以来ほとんど通電もしてなかった物だ。アンテナがM型端子になってるのはトリオが通信機メーカだった名残。もう持ってないので300Ωフィーダーで接続。電源オンすると、なんと我が家で受かる77.7~89.7MHzの放送がキレイに受信できた。周波数もほぼ正確。音質もKT1に近い切れの良い音でびっくり。Specや回路方式が音質の全てではない事が分かる。
不具合点としてはSTEREOランプが点灯しない、Sメータが振れない、照明ランプが一部切れてる位。Tメータは振れ、音はちゃんとステレオになってる。
これなら新たに買う必要なかったかと思った位だが、切り替え試聴するとKT1の方がレンジが広く分解能が高い印象。やはり時代は進歩してたようだ。でも単独で聴いている分にはそれほど不満を感じないレベル。30Tはこれに勝る音質だったはずでやはり相当劣化していたのだろう。
ひろくんの説に反して40年経っても調整が余りずれてないのは「キットで調整不要とするため高級部材使用」という事らしい。再調整すればもっと良くなるかと中を見たら調整部はガッチリ固定されてたので断念。キットといってもコネクタ間の配線をした位で回路そのものは基板で完成していたと思う。
作業してたら電源が入らなくなり壊したかと思ったがヒューズ部の接触不良で挿し直したら回復した。今の製品はヒューズなんて使ってないので時代を感じる。当時はACラインにはヒューズを入れる事が法律で義務付けられていたと思うが、いつ廃止されたのかも記憶にないな。
基板の目視では異常はなく、接触不良を疑い基板コネクタにもスプレーして挿し直ししてみたがSメータは回復せず。断線の疑いもあるがコネクタ部を分解するのは大変すぎ、メインで使う予定もないので再度お蔵入り。

その後スペアナが使えるようになったので改めて特性測定してみたら、やはり10年以上経つと半固定VRはズレてたようでセパレーションが15dBしか取れてなかった。まあこの程度でも聴いてステレオ感はある。実際の音楽はL/Rが混じり合ってるのが普通だからだろう。KT1と比較すれば音が中央に寄り気味に聴こえるのでさすがに特性不足か。
歪も2kHzが-40dB,3kHzが-30dBも出ててちょっと酷い。0.3%Specとしても調整すればもう少し良くなりそうだが、使うわけでもないので断念。
Pilot漏れは-80dB以下と超優秀。
あとスペクトルで、通常出力はLPFにより16kHz超でガクンとレベルが下るのが、REC出力側だと20kHzまでスムーズに見える。私の耳では全く判別できないが。
切替比較してるとKT1の方が色々な周波数でピークが立ち易く、GT8では全般になだらかなスペクトルという印象。特に19kHz近傍の応答は全く違う。回路方式の違いだろうが、これも音の違いとどう関連するかは不明。まだ十分使える音質と思えたが、再々度お蔵入り。

 しかしスペアナ見てると放送局によって高域の落ち方が大きく違う事も判って面白い。ローカル局の方が15kHz超で急激に落ちてる印象。
今や特別なアプリでないとネットアクセスもできないXpノートでも WaveSpectraは十分使えるので古いPCの余生としては上出来だ。ちなみに家庭内LANではWinXpはWin10とWin98の両方からアクセスできるという利点もある…と言ってもWin98を使ってる人も殆どいないだろうが。

(追記)
 改めて Sep調整してみた。幸いなことにSep-VRは縦配置のMPX基板の上方にあって分解しなくても調整可能だった。スペアナ見ながら調整して45~50dBが確保でき、音場が左右に大きく広がった。SNも十分な静寂感。感度もかなり高く、今でも十分聴ける音質だ。シンセのKenwoodとは一味違うが剛直で艶感のあるイイ音と感じられた。線が細く透明感がありアタックが鋭い点は今のKenwoodに通じる音かな。
555ESと比較するとボン付きは無く素直な低域、高域は少し荒くESの方が上品。元気が良い音ともいえる。
FX711と比較するとアタック速度・分解、無音時のSNで負けてるかな。やはり価格と時代の差はあるようだ。
 STEREOランプは単なる球切れで12VのR入LED(赤)を繋いだら無事点滅するようになった。元の電球は固定部ゴムをカッターで切断しないと抜き出せず、リード長もギリギリで交換修理を全く考慮してない設計のようだ。最終的に赤の"STEREO"が点灯するとパネル全体の色バランスが取れて締まった印象になる。
 Sメータの方は感度調整VRを少し回してみたが反応なく、必要性も薄いので断念。
 Muteレベルが低過ぎるせいか信号が強いと選局中ノイズが消えない。ゴーストも受信する。調整できる筈だが面倒なので略。あとオン直後は周波数が目盛と少しずれる。暫く使ってると正常化するので温度の影響だろうか。この辺は時代なりだな。

コメント
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